『WISH I WAS HERE/僕らのいる場所』の主人公エイダンはまさにそんな男。何年も前にフケ用シャンプーのCMに出演して以来無職。理解ある妻も、さすがにそろそろ現実を見てくれたらな…と思っています。子どもたちがユダヤ系私立学校に通っているのも、孫をユダヤ教徒に育てたい父親が安くない授業料を払ってくれているおかげ。ところが、ガンにかかってしまった父親から、新しい治療の費用がかさむため、もう授業料は払えないと告げられてしまうのです。そんな、いろいろな意味で一大事を迎えたエイダンは、いつまでも夢見がちな少年のままではいられないことに初めて気が付きます(遅すぎますが…)。そして、父を通して死に直面し、人生をリアルに感じ始め、これまで自分が避けてきた大人の役割について意識しはじめるのです。自分の周囲は勘違いだらけだったことにも。