【インタビュー】マリオン・コティヤール「マクベス夫人を演じる日が来ると信じていた」

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『マクベス』(C)2015 / STUDIOCANAL S.A. - Channel Four Television Corporation 2015
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『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』で第80回アカデミー賞主演女優賞に輝き、その後も、カンヌ常連のダルデンヌ兄弟監督作『サンドラの週末』で2度目のアカデミー賞ノミネートを受けたマリオン・コティヤール。彼女は、フランス人でありながらも「いつかマクベス夫人を演じる日が来る」と信じていたという。

ウィリアム・シェイクスピア没後400年にあたる2016年、荘厳なロケーションのもと、スクリーンに蘇る『マクベス』。これまで、黒澤明や手塚治虫、そして先日亡くなった蜷川幸雄など、日本の有名クリエイターにも多大な影響を与え続けてきた至高の名作で、王座をめぐり野心に取り憑かれたマクベスの妻“レディ・マクベス”を演じたコティヤールは、自らの願いを叶えた。

2011年のアカデミー賞で作品賞などを獲得した『英国王のスピーチ』のスタッフと、CMやミュージック・ビデオで活躍し、デビュー作『スノータウン』(’11・劇場未公開)が世界的に注目を集めたオーストラリア出身の気鋭ジャスティン・カーゼル監督が贈る本作。

劇中、戦地で3人の魔女と出くわしたマクベスは、やがてコーダーの領主となって出世し、スコットランド王になるだろうと告げられる。それを知った夫人は、マクベスの領地インヴァネスにやってくるダンカン王(デヴィッド・シューリス)を暗殺しようと謀略するのだ。

「演技クラスの学生だったときに『マクベス』を観たわ」と、コティヤールはふり返りながら語る。「いつかはマクベス夫人を演じる日が来てほしいと思っていた。来ると信じていたの。でも正直なところ、それは舞台だと思っていたの。しかもフランス語で。だから、この映画とこのチームでオファーを受けたとき、この上なく素晴らしいチャンスだと思った。シェイクスピアの言葉で、“英語”でマクベス夫人を演じることができるなんて素晴らしいチャンスだわ。思いがけなかったけれど、いまだと思った。やらなくてはならなかったの」と明かす。

しかも、マクベスを演じるのは、彼女が長い間称賛してきた演技派マイケル・ファスベンダーだ。「マイケルは素晴らしい俳優だわ。俳優として、彼が役作りをしたり映画を組み立てたりするときの秘密の部分を見ることができて、とてもラッキーだったと思う。それに彼は、正真正銘、クリエイティブな人なの。彼はキャラクターの魂を理解する。『マクベス』にもたらしたものは常に真実味があって並外れていた。彼が提示するものに毎日、本当に驚かされたけれど、素晴らしい経験だったわ」。

確かに、マクベスが次第に狂気を帯びていくさまには震撼する。夫に王を暗殺させ、野望を叶えて王妃となった夫人とは裏腹に、マクベスは知勇を兼ね備えた親友バンクォー(パティ・コンシダイン)の存在を恐れていた。魔女は、バンクォーの息子フリーアンスが“未来”の王になるという予言もしていたのだ。マクベスは刺客を放ち、親友の命は奪うものの、息子フリーアンスは取り逃がしてしまう。その夜の晩餐会でバンクォーの不気味な幻影を目の当たりにしたマクベスは、錯乱状態に陥っていく。

そんなマクベスの常軌を逸した振る舞いは、かつてダンカン王の暗殺をそそのかした夫人の目にさえ、狂気の沙汰に映った。絶望した夫人は、みるみるうちに衰弱して息絶える――。

「この映画は、人間の魂を理解し、それを共有することを描いていると思う。シェイクスピアがしたようにね」とコティヤールは言う。「私たちは何者なのか、恐怖や怒りや挫折にどう折り合いをつけるのか、そして暗闇への扉はどうしたら開くのか、それを見事に映し出しているのよ」。

人間の欲望や野心、恐怖や怒りなどを内包する『マクベス』は、大きなやりがいがあったとともに、大変でもあったことを彼女自身も認めている。「この映画を作るのは楽しかった。とても楽しめたけれど、同時に辛くもあったわ。それは、あれほど暗い人物と一緒に生きなくてはならなかったからなの」。

スコットランドやイングランドのロケ地で、毎日撮影が終わると、彼女はこのキャラクターを忘れるように努力していたという。「それが一番難しかった。毎日誰かと一緒に過ごしていると、内面的に影響を受けてしまうから。私は“メソッド俳優”ではないから、その日の撮影が終われば、自分自身に戻る。でも、何か違うものを抱えてしまうの。それに気づき、それを必要としない人たちに撒き散らさないようにしなくてはならなかったわ」。

とはいえ、シェイクスピアの文章を話すのは、「光栄だった」と彼女は言う。「それは、音楽家がモーツアルトを演奏しているときに、偉大なものや達人に触れているような感覚だと思う。彼が書いたセリフを言うことができて幸運だと感じたわ。あの特別なリズムは、まるで心臓の鼓動みたいなの。あるいはパンチみたいなもの。それが愛を、人間に対するシェイクスピアの理解すべてを、そして彼のビジョンや詩を象徴している。とても幸運だったわ」。

コティヤールが予言を叶える形で演じた、シェイクスピアが生んだ“悲劇の夫人”は、自らの罪にもかかわらず、愛した夫の狂気に耐えかね、絶望の中に堕ちていった。彼女やファスベンダーが体現したものは、誰もが心の中に抱えかねないものだ。そんな“運命共同体”の夫婦を見事に演じてみせた2人は、カーゼル監督の最新作となる人気ゲームの映画化『Assassin's Creed』(原題)でも、再びタッグを組む。

『マクベス』は全国にて公開中。
《text:cinemacafe.net》

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