C・ノーラン、『ダンケルク』は生き残りをかけた“撤退”の物語

映画

『ダークナイト』で正義と悪の概念を覆し、『インセプション』で重力を操り、『インターステラー』では時間と空間をつないでみせたクリストファー・ノーラン監督。その稀代の映像作家が、初めて史実に挑んだ最新作『ダンケルク』から、劇場用本ポスターが到着した。

本作で描かれるのは、相手を打ち負かす“戦い”ではなく、生き残りをかけた“撤退”の物語。容赦なくナチスドイツ軍勢が迫るなか、陸海空の3視点で描かれるストーリーが同時に進行する。時間描写において、ほかの監督とは一線を画すノーラン監督らしい緊迫のタイム・サスペンスが、IMAX65ミリ・カメラとラージ・フォーマット65ミリ・カメラによるリアルな撮影手法により圧倒的な臨場感で描写。観客は、あたかも兵士の1人となって、1940年の仏ダンケルクの浜辺にいるかのような“究極の映画体験”をする。

このたび、その劇場用本ポスターが完成。砂浜に這いつくばる若き兵士の横顔をアップでとらえたインパクト抜群のビジュアルだ。ドイツ軍の総攻撃まであとわずか。彼の視点の先には、ドーバー海峡、そして先には故郷イギリスがあるはず。地上では、空爆によって火花が散り、砂塵が舞う砂浜には兵士たちがうずくまり、海上では、敵軍によって爆破された船から煙が立ち上がる。絶体絶命の地ダンケルクで、時間との戦いを描く緊迫感あふれるポスターは、7月1日(土)からのムビチケカード発売にあわせ、全国の劇場で一斉に掲出される。

ダンケルクの“空”で激戦を繰り広げるパイロットに、怪優トム・ハーディ、イギリス本土から船で救出に向かう市民に、オスカー俳優マーク・ライランス。その民間船に救出される兵士役に、ノーラン組常連のキリアン・マーフィー。ダンケルクの若き兵士40万の状況に危機感を募らせる軍人に名匠にして名優ケネス・ブラナーなど、英国を代表する名優たちが集結。また、観客の案内人となる兵士役には、本作が初主演となるフィオン・ホワイトヘッドが大抜擢。ほんの1年半前までは皿洗いをしながらオーディションに通っていたという正真正銘の無名俳優が、本ポスターでも鮮烈なデビューを飾っている。また、フィオンと同じくオーディションから選ばれ、映画初出演を果たすのは、世界で最も有名な新人俳優ハリー・スタイルズ。共に、生きて故郷に帰ることを誓った若き兵士を演じていることも注目を集めている。

また、徹底した秘密主義で知られるノーラン監督は、『ダンケルク』に影響を与えた11本の傑作映画を自らセレクトし、その理由とともにコメントを発表、話題を呼んでいる。「皆さんは戦争映画のセレクションを期待するかもしれません。しかし、私は『ダンケルク』を生き残り(撤退)の物語としてアプローチすることを選択しました。芝居がかった大仰な演出による映像で現実世界の戦闘を見せることの危険性がすぐにわかるはずです」と語っており、ノーランの並々ならぬ映画愛と究極の映画体験となる『ダンケルク』への揺るぎない自信が伝わってくる。

キーワードは“緊迫感”と“映像表現”だ。デジタル化が進む映画業界だが、ノーランはフィルム上映にこだわり続けており、今回セレクトされた11本の映画は、現在でもフィルム上映を続けるロンドンのBFIサウスバンクで、35ミリまたは70ミリでフィルム上映される(現地時間7月1日~31日まで)。

革新的作品で観客を熱狂させ続けてきたノーランが初の実話に挑み、圧倒的臨場感で観る者を“ダンケルク”の地へと誘う本作。ノーランがセレクトした11作品にも注目しておきたい。

<クリストファー・ノーラン セレクション>
■人間性を問う、「戦争が人間性を奪う」という普遍的なメッセージと映画表現
・『西部戦線異状なし』(1930年) ルイス・マイルストン監督 アメリカ
■タイムリミット・サスペンス&圧倒的な緊迫感→巧みな技巧により、観客を引き込む。
・『恐怖の報酬』(1953年) アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督 フランス・イタリア合作
・『エイリアン』(1979年) リドリー・スコット監督 アメリカ 撮影はイギリスのシェパートン・スタジオ
・『スピード』(1994年)  ヤン・デ・ボン監督 アメリカ
・『アンストッパブル』(2010年) トニー・スコット監督 アメリカ
■映像で物語を伝える映画表現(映像言語術)
・『グリード』(1924年) エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督 アメリカ映画 サイレント
・『サンライズ』(1927年) F・W・ムルナウ監督 ドイツ サイレント映画
 →2作品共に映像だけで物語を綴るサイレント映画だからこその映像表現
・『ライアンの娘』(1970年) デヴィッド・リーン監督 英国映画
 →寒々しい浜辺、打ち砕ける波など、まるで生きているかのような海の描写、絵の力でストーリー、心象を表現
・『アルジェの戦い』(1966年) ジッロ・ポンテコルヴォ監督 イタリア・アルジェリア合作
 →主人公に共感せずにはいられないドキュメンタリー・タッチのドラマ
・『炎のランナー』(1981年) ヒュー・ハドソン監督 英国映画
 →映画の語り口に変革をもたらした傑作
・『海外特派員』(1940年) アルフレッド・ヒッチコック監督 アメリカ映画
 →飛行機が海に墜落するシーンに注目。『ダンケルク』で参考にした。

『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。
《text:cinemacafe.net》

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