戦争末期、中年兵として徴兵された男松山啓太は、フィリピンへ赴任することのなった森川定からに妻・友子の一枚の手紙を託される。「―今日はお祭りですが あなたがいらっしゃらないので 何の風情のありません。友子―」とだけ記されてあった。終戦後、友子を訪ねると、家族を全員失い変わり果てた女の姿が。 反戦のメッセージと共にスクリーンに映し出されるのは、全てを失ってもなお、たくましく生き抜く人々の生命力には圧巻。美しいラストシーンに込められた「希望と再生」へのメッセージは観る者に大きな感動をもたらす。
新藤兼人