都会で次々と起きる変死事件。いずれの被害者も、検死をしても、何一つとして証拠が出てこない不可解な状況で、唯一の共通点は事件現場で必ず目撃される黒スーツの男。その名は宇相吹正。彼こそがSNSでうわさの“電話ボックスの男”だった。とある電話ボックスに殺人の依頼を残しておくと、彼が現れ、ターゲットを確実に死に至らしめるという。その死因はどれも病死や自殺に事故――宇相吹の犯行は、すべて立件不可能な犯罪、「不能犯」だった。 そんな中、警察はようやく宇相吹の身柄を確保し、任意で取り調べを始める。多田と部下の百々瀬が見守る中、宇相吹を前に上司の夜目が取り調べを始めるが、次第に夜目の様子がおかしくなり、最終的に宇相吹は解放される。彼の正体とはいったい――。
白石晃士