昭和15年2月のある夜、東京に暮らす野上家では、夫の滋(坂東三津五郎)と妻の佳代(吉永小百合)、しっかり者の長女・初子(志田未来)と天真爛漫な次女・照美(佐藤未来)が笑いの絶えない楽しい夕食を囲んでいた。まさかそれが、家族揃った最後の晩餐になるとも知らずに。翌朝、ドイツ文学者である滋が治安維持法違反で検挙されてしまう。目の前で縄をかけられる父を呆然と見つめる娘たち。黙って見送るしかない佳代。そして昭和16年、野上家は初めて滋のいない正月を迎える。太平洋戦争の波に巻き込まれながら、それでも佳代は希望を捨てず、ひたすら滋の帰りを待っていた…。昭和を生き抜いた一人の母を通して描く、家族愛の物語。
山田洋次