第二次世界大戦末期、敗色濃いベルリン。国家存亡の危機が迫る中、ナチスきっての宣伝大臣・ゲッベルス(シルヴェスター・グロート)は、国民の戦意を高めるべく、5日後に迫ったヒトラーの演説を撮影し、プロパガンダ映画に仕立てようとしていた。だが、肝心のヒトラー(ヘルゲ・シュナイダー)は、自信喪失しており、とてもスピーチなどできそうにない…。そこで、ゲッペルスが呼び寄せたのが、世界的に知られるユダヤ人俳優のアドルフ・グリュンバウム教授(ウルリッヒ・ミューエ)だった。思いがけぬ状況に戸惑いを見せるグリュンバウムだったが、強制収容所に残された家族と一緒に暮らすことを条件に、この任務を引き受けることに。やがてスピーチの指導をするうちに、ヒトラーとグリュンバウムの間には、友情に似た感情が芽生え始める。だが、家族と同胞ユダヤ人、両者の間に挟まれて葛藤するグリュンバウム。運命の演説当日、彼はヒトラーさえも想像しえない行動に出る――。ヒトラーの新たな真実を大胆に暴いたヒューマン・ドラマ。
ダニー・レヴィ