出会いの季節、春を祝してvol.2 種を超えた愛情と出会う『犬と私の10の約束』

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『犬と私の10の約束』  (C)- 2008「犬と私の10の約束」フィルムパートナーズ
  • 『犬と私の10の約束』  (C)- 2008「犬と私の10の約束」フィルムパートナーズ
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人生における出会いというのは、何も人同士に限ったことではありません。人と仕事、人と物、そして人と犬。犬バカの私にしてみれば、愛犬との出会いは人生最高の出来事の一つに数えられます。

そんな私が、特にこれから犬と生活を共にする人に、ぜひお薦めした…いえ、むしろ強制したい(笑)のが、『犬と私の10の約束』。ベースとなっているのは、世界に広まっている作者不詳の短編詩「犬の10戒」。10戒の内容は、飼い主が犬を飼う際に持つべき心得なのですが、ユニークなのは、犬から飼い主へのお願いごととして提示されていること。その一つが、「私は10年ぐらいしか生きられません。だから、できるだけ私と一緒にいてください」だったりします。犬が語りかけるというスタイルが、いつも愛犬に向かって「話ができたらいいのに…」とつぶやいている者としては、まるで彼からの言葉のように胸に響きます。そして、物言わぬ犬の、あの視線、あのしぐさを思い起こさせ、彼らと人生を共にする責任の重さを改めて感じさせ、襟を正させてくれるのです。

物語は、一匹の犬とある少女との出会いから別れまでの、かけがえのない10年を描いています。犬と過ごす時間の素晴らしさを知っている人が作ったんだろうなと思わせる作品からは、辛いときも、嬉しいときも、いつもそばにいてくれる犬の温かさ、柔らかさ、体温であたためられたほんわりとした匂いまでもが伝わってくるよう。予告編を見ただけで、なぜか号泣してしまう私は、正直言ってこの作品をまともに観ることはできません。愛犬の最期を看取った経験のある人の中には、同じ思いの人がいるかもしれませんね。だからこそ、私としては犬と幸せな日々を過した、またはいま過している人よりも、これから飼おうという人、そして、犬を何らかの事情で手放そうとしている人にお薦めしたいのです。

愛犬ブームの中、飼い主の都合により殺処分されていく犬が日本には毎年60万頭ほどもいるといわれています。保健所に持ち込まれても、新しい飼い主が見つかるのは、数パーセント。それ以外は…という、とんでもない実態が隠されているのが、わが国のペットブームの真相です。そして、この数字が示す何より恐ろしいことは、決して特別残忍なわけではない、ごく普通の人々がこういうことを行っているという現実。自分が直接手を下さないから、こんな数字になるのでしょうか。いずれにしても、こんな風に命を軽んじる行為、こんなことをしても平気でいられる人々が決して少数派ではないという事実が、日本という国に良い影響を及ぼすわけがありません。

この作品を観たら、ぜひそこまで考えていただきたい。この作品ならば、私のように説教くさくなることなく、命の大切さについて気づかせてくれるはずですから。動物に対して、いま以上に敬意を抱けるようになったり、もっと愛情を抱けるようになったら、彼らとの素晴らしい出会いが増えるはず。そうなれば、この映画との出会いこそが、人生における“素晴らしい出会い”ということになるのかもしれませんね。

《text:June Makiguchi》

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