“カメレオン”藤原竜也「ギリギリまで作りこんだ挙句『ダッピョーン』って…(笑)」

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『カメレオン』藤原竜也 photo:Yoshio Kumagai
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『カメレオン』というタイトルが良く似合う——。攻撃的なところを感じさせず、柔らかい印象を与えつつも、どこか捉えどころがない。インタビューの最中も、気さくで丁寧な口調で語りつつも、ふとした瞬間、どこまで本気でどこまで冗談なのかと惑わせ、こちらを慌てさせる。大ヒットした『DEATH NOTE デスノート』シリーズ以来の映画出演となった『カメレオン』でも、まさに変幻自在の演技を見せる藤原竜也に話を聞いた。

今回の映画出演を経て「阪本(順治)監督に自分の新たな一面を発掘してもらった」と言う。
「初めての経験なんですが、完成した作品を観終わって『“普通に”スクリーンの中に立っている自分がいるな』と思えたんです。と言うのは、これまで特殊なキャラクターや世界観を持った人物を演じることが多かったんですが、その中で自分が持っているある種の癖が出てしまうことが多かった。あるときにそれは間違った方向に行ってしまったり、過剰に表現してしまったり。そういう部分を監督に見事に修正していただいたと思います。『そこはそんなに低音響かせないで』とか『間を大事にしてボソボソと話して』という感じで細かく演出してくださったので、僕の新たな一面引き出され、役の幅が広がったと感じています。かなり激しいアクションもやらせていただきましたし。アクションの撮影がある日は『今日、1時間遅刻して行ったらアクションやらなくて済むかな…』と考えてしまうくらい(笑)、相当ハードでしたよ。でもやはり完成した作品を観て『肉体を駆使して正解だったな』と思いましたね。改めて映画の楽しさを気づかせてくれた作品です」。

伍郎というキャラクターについても「現場で監督と1カットずつ作り上げていった」と語る藤原さんだが、一方で阪本監督のシュールな演出に驚かされたところもあったようだ。
「伍郎という役は、近づいたと思ったら離れていくようで、本当に難しい役でした。最初に大量のマッチとタバコの『ピース』を監督から渡されて『伍郎はこういう感じだから』って(笑)。撮影中も『階段を降りていく途中でティッシュ拾って“何だ?”って言ってみて』とか『セリフの間に“昭和が懐かしいよ”って入れてみて』とか急に言われたり。僕の中ですごくハマるものもあったんですが、全く訳が分かんないのもあって…。ラスト近くのシーンで木島役の豊原功補さんに『右手一本で、外で待ってるぜ』と言うシーンがあるんですが、その頃には役にもかなり入り込んでいて、人を喰ったような憎たらしい表情で言おうと、自分なりに作っていたんです。そしたら本番直前に監督が『藤原くん、“ダッピョーン”って言ってみて』って(笑)。言う通りにしてみたら『“ダッピョーン”のときどんな顔する?』って聞くので『こんな顔ですか?』ってやってみたら『じゃあ“ダッピョーン”は口に出さずその表情で』と。あれは分かんなかったですね。映画観たら良いシーンになってたんで、監督の計算通りなのかと…(苦笑)」。

「分からない」といった表情で首をかしげる藤原さん。だが、その藤原さん自身もかなりシュールだ。伍郎が鬼のような凄まじい形相に“変身”するシーンの役作りについて尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「あれは銚子でのロケだったんですが、海辺での撮影でフナムシとかがいっぱいいるし、寒いし、『早く帰りたいな』という気分でした。『でも、家に着く頃には午前2時か3時か…』という怒りが生み出した表情ですね。あのシーンは一発でOKが出ました」。こう言って屈託なく笑う。やはり、どこかつかみどころがない…。

デビュー以来、蜷川幸雄を始め、名だたる演出家・監督との仕事を数多くこなす中で、当たり前のように“天才”という言葉で形容されるようになった。だが、本人はこうした周囲の評価に踊らされるでも、戸惑うでもなく自らを冷静に見つめている。
「蜷川さんとの仕事って本当に大変なんですよ。蜷川さんに拾っていただけたのは確かに幸運でした。でも、そこからひとつひとつの戯曲と向き合って本当に大変な思いをしてきましたからね。“天才”の2文字で片付けちゃうのは簡単だよな、という思いはありますけど(笑)。常に不安や恐怖もありますし、まだまだこれからやってみたい作品、組んでみたい演出家の方もいます。この間、井筒(和幸)監督の作品を観て『どんな演出されるんだろう?』ってすごく気になりましたね。あと『三谷(幸喜)さんとやりたがってた』とぜひ書いておいてください!」

これからさらに、どんな違った表情を見せてくれるのか? やはり、月並みな形容詞ではこの男を表せそうになさそうだ。

《photo:Yoshio Kumagai》

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