ポール・ダノ&ゾーイ・カザンインタビュー 実生活でも恋人同士で作るラブストーリー

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『ルビー・スパークス』  -(C) 2012 Twentieth Century Fox
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  • 『ルビー・スパークス』ポール・ダノ&ゾーイ・カザン インタビュー
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2006年、『リトル・ミス・サンシャイン』で世界中を魅了し、アカデミー賞を沸かせたジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスの夫婦監督コンビが、6年ぶりに待望の新作『ルビー・スパークス』を発表した。今回取り組んだのは、19歳で天才作家として華々しくデビューしながらも、その後10年間ベストセラーを書けずに悶々とし続けているカルヴィンと、彼が小説のヒロインとして描き始めたものの、なぜか現実世界に飛び出してきてしまったキュートなルビーとの、ちょと風変わりで、ちょっと切ない恋物語。始めは自分が変になってしまったのだと驚くカルヴィンだが、ほかの人にもルビーが見えることに気づく。やがて自分が小説を書き進めるたびに、ルビーを意のままに操れることを知ったことから、カルヴィンは何もコントロールせず2人の関係を自然にまかせるべきかどうかで葛藤するというストーリーだ。

ファリス監督は、「映画は質問を投げかけているわ。もしも自分が愛する人を変えられるとしたら、人はそういう誘惑に耐えられるかどうか? 仕事とか人間関係とかをコントロールできるという誘惑を見せて、そういう支配によって自分が愛するものが壊されてしまうことを描いているのよ」と話す。つまり、カルヴィンが経験することは、実際の恋愛関係についてのメタファーとも言えるのだ。実は、物語だけでなくこの作品にユニークさを添えているのが、主演を務めている2人。カルヴィン役を演じるのはポール・ダノ、ルビー役を演じるのはゾーイ・カザン。2人は、アメリカのエンターテインメント界注目の若手カップルで、私生活でも恋愛関係にある。そして、本作の脚本は、ゾーイが手がけたものだ。ゾーイはポールのためにカルヴィンというキャラクターを書いたのだという。

「そう、ゾーイは僕の恋人だ。彼女はブルックリンにある僕たちのアパートのカウチに座って、この『ルビー・スパークス』を書いた。僕らはとても運が良かった。10ページを書き終える頃には、『これを書き終えたら、ジョン(デイトン)とヴァレリー(ファリス)に送るべきだよ』と言ったんだ。あの2人はこの映画の監督としてぴったりだと思ったし、以前に仕事(『リトル・ミス・サンシャイン』)で組んで知っていたからね。でも、本作であの2人と組むというのは夢にすぎなかった。本当に実現するなんて思いもしなかった。だから、こうしてこの映画を作ってこのセットにいられて、とんでもなくラッキーだと思っている」。

「ゾーイが書いている間、邪魔をしたという点では脚本執筆に手を貸したと言えるかも」と笑うポール。役と自分との共通点があるかどうかについては、「さあ、どうかな」と首をひねる。
「運良く、ゾーイはとても才能のあるライターで、あの役に僕の性格の一部を使ったし、長所もいくつか取り入れた。僕の性格が多少、反映されているか? たぶん、そうなんだろうと思う。恐らく、カルヴィンには僕が気づいていない部分が組み込まれているんだろうな。おかしなことだよね。役者というのは、どんな役でもできるだけ自分を生かそうとするけれど、同時に本当の自分からは思いっきり距離を置こうとするんだから」。

実生活でも恋人のゾーイと、恋人役での共演というのがとても気に入っているというポール。ゾーイも同じ意見のようだ。
「彼とは『MEEK’S CUTOFF』で共演したことがあるし、実は、お芝居に出演していて出会ったの。ポールと一緒に演じるのはとてもやりやすいわ。彼はすばらしい人でとてもいい役者だけど、この映画を作るのは、ある意味、とても大変だった。私たちは仕事場と家を一緒に往復して、毎日14時間一緒だった。一緒に多くの時間を過ごしたけれど、それは恋人だからではなくて映画のためだった。あの状態は、赤ちゃんが生まれたばかりの状態にちょっと似ているような気がする。睡眠時間が足りないって意味でね。いつも映画の世話をしていなければならないから。私たちは、いままで一度も口ゲンカをしたことのないようなことでモメたわ。車の中で聞く音楽のこととかね(笑)」。

脚本の執筆も行ったゾーイは、ピグマリオン神話からインスピレーションを得たというこのユニークなストーリーの主人公を、ポールに演じてもらいたいと早い段階から考えていたという。
「私は、すぐに満足を手にしたいタイプなの(笑)。舞台で演じているせいで身についた悪い癖ね。舞台では人々の反応をすぐ耳にしているから。脚本を書いたら、いつもポールに見せているわ。仕事に疲れて帰ってきた彼に、『すぐにこれを読んで!』と言ってね。実際、そうしたの。ある朝、最初の5ページを急いで書いて、ポールに向って、『これ、いいと思うわ』と言ったの。彼はそれを読んで、『僕たちのために書いているんだね』と言ったわ。そんなこと考えていなかったんだけど、そう言われて『もちろん、そういうことよ』と答えた。私はカルヴィンの姿を、痩せていて背が高く、メガネをかけていると書いた。明らかに、ポールのことを書いていたのね。それで、残りの部分は、ポールをカルヴィン役に考えながら書き上げたわ」。

そんなゾーイが興味を持つのは、人間関係はどう変わっていくのかということだとか。
「2人が付き合いだしたときというのは、最初の1、2年は強制的な考えに囚われると思う。“私はあなたのそばにいるべきだ。あなたの匂いを嗅いで、触れていたい”。それから少し時間が経つと、そういう強制的な感覚が薄れる。その次に来るのは選択。“私はあなたといることを選んだ。あなたを裏切らないこと、あなたを愛することを選んだ。この言い争いを忘れて辛いときを乗り越えることを選んだ”という具合に。強制と選択は正反対のもので、本作では一部で、それについて描いている。冒頭では、全てが強制の話だけど、ルビーとカルヴィンが付き合い始めると、突然、今度は選択の話になる。カルヴィンにとっての選択肢は、“彼女をコントロールするか? 彼女を変えるか?”ね。カルヴィンが抱えている悩みは、“ルビーはハッピーなのか? 彼女は僕を捨てるだろうか?”ということ。彼はそういう考えに怯えて、普通ならやらないかもしれないことをやってしまう。不安に襲われる状況に陥ると、極端なことをやる人は大勢いると思うわ。愛を失うことの恐怖はとても大きいから」。

そんな恋人同士のリアルな感情を表現した本作で、夫婦、恋人同士という親密な関係にあるクリエイティブな4人が現場に集まったことについては「そのおかげで映画製作のプロセスでもっと協力し合うことができたわ」とゾーイは話す。
「私たちはとてもオープンに話し合いをして、全員が参加した。ジョナサンとヴァレリーの関係や、2人の仕事ぶりを見ていると、どうしてああいうふうにできるのか分からない。2人には独特の魔法があるみたい。お互いに支え合っているから、相手の考えていることが全部分かるの。20年後に、ポールとあんなふうに仕事ができたら、とても嬉しいわ」。

まさに、現実とフィクションが交差する『ルビー・スパークス』。面白くないはずない!

《text:June Makiguchi》

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