【美的アジア】『王になった男』イ・ビョンホン。彼が考える“男の必須条件”とは?

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 -(C) jino Park(studio BoB)
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前回の美的アジアでも話題になったイ・ビョンホン主演映画『王になった男』。韓国で1,230万人の観客動員を記録し、韓国映画史上歴代3位の大ヒットとなった本作が、日本でも現在全国公開中だ。そのイ・ビョンホンが、初の時代劇で暴君と化した王・光海と、彼の代わりに王となる道化のハソンの1人2役を演じた胸のうちや撮影エピソード、そして、自身が考える“男の必須条件”について本音で語ってくれた。

出演を決めたのは“コミカルで奇抜な構成”が気に入ったから!?

「史実の中に出てくる光海の印象は、暴君で、誰かに殺害されるんじゃないかと常に死の危険におびえ不安を抱えている、非常に敏感な人物という印象でした。そういった実在の人物を描きながらも、この作品はフィクションを加味しているので非常にコミカルで、(観客の方も)ワクワクして観られるなと思わせてくれるシナリオだったんです。重いテーマや人物が出てはきますが、作品としては非常に楽しい作品になりそうだと思っていたし、そういった構成が奇抜だなと思ったんです。たくさんの人に愛されるだろうなという信頼を持って撮影に挑みました」。

――本作では突然宮廷に送り込まれたハソンが食事から、下の世話まで驚くような習わしに慌てふためく姿や、唯一ハソンの存在を知る側近とのやりとりなど随所に笑いが散りばめられている。昨今の出演作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』や『悪魔を見た』などからは“イ・ビョンホン=コミカル”のイメージは想像がつかなかったが…。

「韓国の俳優仲間や映画関係者の方からも『意外だった』『こういう姿を待っていた!』と感想をもらいました。…ですが、実を言うと僕はコミカルな演技には自信があるんですよ(笑)。ただ、久しぶりだったので、さじ加減が難しかったです。どれくらい笑わせたらいいのか、押さえたらいいのかがとても重要だったので、『幼稚に見えないように、コミカルに撮りたい』と監督に相談しました。僕がアイデアを出して変わったシーンもあります。手を洗う水を飲んでしまうシーンは、当初1回飲んでまわりの顔色をうかがって終わりだった所を、それだとありきたりだし、どこかで見たことがあったので、『1回飲んでまわりの様子を見た後、さらに全部飲み干してしまう』のはどうかと提案して、その形で進むことになったんです。ただ、一方でコミカルな部分や笑いを誘う場面は“リアルに撮らなければいけない”とも思っていました」。

――“コミカルをリアルに”。イ・ビョンホンが考える“リアル”とは、こんなふうだ。

「コミカルなシーンって、シナリオは面白くても、演じたときには表面的になりがちなんです。例えば、ハソンが歯に海苔をつけたり、王妃のために幼稚な詩を読むシーンは、観客の方が(シラケて)笑ってくれないのではないかと悩みました。でも、笑ってくれなくてもいいのでは、という思いもあったんです。ハソンは王妃に対して純粋な気持ちで、真心を込めて接していたわけですから。例え幼稚に見えたとしてもハソンが王妃に関心を持っていて、一目でも笑顔を見たいという純粋な気持ちからやっているんだという“ハソンの気持ちが伝わればいいんじゃないか”と思ったんです。幸いお客さんが笑ってくれたのでありがたかったですね(笑)」。

どんな役も、自分の中にあるものでないとできない

――今回演じた孤独な王と、心温かく正義感溢れる庶民の男。全く異なる2人の人物も、イ・ビョンホンは「どちらも自分だ」と語る。

「どんな役でも自分の中にあるものでないと出来ないと思うんです。どんな人たちにも数百通り、数万通りの性格というのがあると思うんですよね。気づかないだけで…。俳優という職業はそれをデフォルメするのが上手く、それを仕事にするわけです。自分の中にある多重な面を引っ張り出し、それを楽しむのが俳優なのかなと思います」。


――光海のように、誰を信用すればよいのかわからず怯えることも理解できるとも言う。イ・ビョンホンが「心から信頼のできる人」を見極めるポイントはこちらだ。

「権力を持った人に対して媚へつらったりお世辞を言ったりする人っていますよね。常にいいことしか言わない。事実かどうかわからないけれど、とりあえずいいことだけを言う人(笑)。特に、いい時期や権力、パワーを持っている時ってそういう人がまわりにいがちですよね。誰のまわりにもいるかもしれません。そのような人たちが果たしてほかの人にどう接するのか、どんな行動をとったりするのかを見るようにしています。権力のない人にどう接するのかで信頼できるのかどうか見極められると思います。自分のまわりにいてくれる人についてはそういった点を考えながら見ていますね」。

――最後に、イ・ビョンホンにとって、男として、俳優として大切なもの=“男の必須条件”とは何なのだろうか?

「男にとって大切なのは“余裕”や“責任感”。俳優の仕事に限って言えば、作品は虚構の世界で、その嘘を本当であるかのように演技をするというのが僕の仕事なわけで…。少なくとも映っている短いシーンだったり、小さな感情ひとつであっても、演じているときには、『これが真実なんだ』と真心込めて演じるということが大事だと思います。どれだけ気持ちを込めて撮るかが作品を大きく左右すると思います。器用になんでもできる人や、政治や経済など、どんなことでも精通している人っていますが、それでも“何かひとつだけに秀でている人”って違うと思いますね。アーティストの方などを見ていても目立った痕跡を残しているような方って、ちょっと抜けている部分はあるんだけども、一つのことにのめり込める人ではないかと思います。何かに集中してのめり込む、というのがやはりプロだなと思わせる所だと思うし、僕も俳優という仕事の上で重要だと思っています」。

Photo:jino Park(studio BoB)

『王になった男』は全国にて公開中。
《text:Tomomi Kimura》

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