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【美的アジア】『あなた、その川を渡らないで』チン・モヨン監督が語る、愛することのヒントとは?

現在公開中の『あなた、その川を渡らないで』の2人が羨ましい!! 「理想の夫婦」、「憧れの夫婦」と誰もが思うであろうこのふたりを、一番近くで見続け、撮り続けてきたチン・モヨン監督はどのように感じたのか。当時のふたりのこと、作品についてお聞きしました。

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『あなた、その川を渡らないで』(C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.
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  • 『あなた、その川を渡らないで』奥原しんこによるポスタービジュアル(C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.
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人と人は、こんなにも思い合えるのだろうか。連れ添って、寄り添って76年。98歳のおじいちゃんと89歳のおばあちゃんは、今でも顔を近づけあってはたわいもない会話をし、付き合いはじめの恋人のように初々しく笑い、おどけ、そしてはしゃぐ。「生まれ変わっても世界で一番あなたが好きよ」とおばあちゃんは言い、「足が痛い」という彼女の膝におじいちゃんはフーフーと息をふきかける。愛し、愛されるということが、なんだかとても「奇跡的で特別なこと」のように感じてしまう現代の中で、いとも自然に「愛する」行為を繰り返すふたり――。

――と、なんだか真面目くさったテキストを書き綴りながら、ただただ現在公開中の『あなた、その川を渡らないで』のふたりが羨ましい!! 「理想の夫婦」、「憧れの夫婦」と誰もが思うであろうこのふたりを、一番近くで見続け、撮り続けてきたチン・モヨン監督はどのように感じたのか。当時のふたりのこと、作品についてお聞きしました。


――監督が本作を撮ろうと思った最初のきっかけは、おじいちゃんとおばあちゃんが紹介されているTV番組を見たことだったそうですね。

監督:このふたりをテレビで初めて見た時、「あまりにも凄い夫婦だ」と思ったのです。「色鮮やかなお揃いの民族衣装を着て町に出る老夫婦」ということで注目され、テレビで紹介されていたのですが、実際おふたりは本当に仲睦まじく、私はそんなふたりにストーリー性を見出したのです。テレビで一瞬だけ紹介されて終ってしまうにはあまりにも残念だと思い、世界中の人たちに見てもらう方法として映画で撮ってみたいと思うようになりました。

――「あまりにも凄い夫婦」とはどのような点からそう思われたのですか?

監督:最近の人たちを例に取って言いますと、若い方々はイベントを行ったりして愛情を表現し、確かめあったりしますよね。そういう一過性のものは誰でもできると思うんです。この夫婦は、日常のとても些細なことに愛情を込めて、それを何十年もの間ずっと続けてきた、お互いに対する愛情を常に持ち続けてきているんです。これって簡単なことではないと思います。どうしたら長い年月変わることなく、愛情を持って接することが可能なのか、というふうに考えた時に、ふたりがどのような暮らしをしてきたか、ふたりの生活ぶりの中に何かヒントがあるのではないか、そう思いふたりに密着させてもらうことにしたのです。

――ふたりの生活の中に特別変わったことは本当に描かれていないですよね。ふたりで食事をし、掃除をし、買い物に出かけたり。そんな誰もが日常的に行っている行為が、なぜだかまったく別世界のように光輝いて見えます。

監督:学識のある立派な方たちが言葉で表現するよりも「百聞は一見にしかず」で、とにかくおふたりの暮らしぶりを見てもらえれば、私が「凄い夫婦だ」と思ったことも伝わると思います(笑)。愛情を長く持続するための鍵が何なのかが、見るだけで伝わると思います。

――おふたりに密着して撮影するにあたり、印象的なことはありましたか?

監督:韓国では特別問題がない限りだいたいの方は撮影をOKしてくださるのですが、おふたりは「一日だけ時間を下さい」とおっしゃいました。撮影をすることで、子どもたちがどう思うかを知りたかったそうです。お子さんたちは、ご夫婦が高齢だということが心配だったそうですが、最終的には、「おふたりの良い記念の映像になる」ということで撮影を許可してくれました。

――監督からおふたりや家族の方に何かお願いしたことなどはあったのでしょうか?

監督:私からはひとつだけご家族にお願いをしました。おふたりともご高齢なので、「もしかしたら撮影中に病気になるかもしれないし、最悪の場合亡くなるかもしれない。それでも最後まで記録を撮らせて欲しい、最後まで撮影をさせて欲しい」といったことです。お子さんたちもご本人たちも同意をしてくださって、本来、おじいさんが亡くなるということは予測していなかったのですが、最終的に亡くなるところまでを撮ることになりました。

――約15か月もの間、ほぼ3人で過ごしていらっしゃったのですものね。それだけ長い間密着していれば、本当の家族のような関係になったのではないですか?

監督:家族という表現はあまりふさわしくないかもしれません。私としては「映画を創る人間」という立場で存在していたつもりです。ただですね、ご夫婦だけで住まわれていたので、私がおじいさんの最期の瞬間まで、最も至近距離で、最も長くおふたりを見ていたということで、互いにかなり情が湧いて、仲良くなったのは事実です。お子さんたちにも話したことがないような話をひとつずつ話してくれることもあり、映画を観たお子さんたちが「こんな話は初めて聞いた」と非常に驚かれていました。

《text:Tomomi Kimura》

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