本作でカイリー・ミノーグが演じるのは、ジーンというキャラクター。廃墟と化したサマリテーヌ百貨店でジーンが歌う印象的なオリジナル曲は、カラックス監督自身が作詞を手がけた。「Who Were We?(私たちは誰っだったの?)」という本作ならではの不思議なフレーズが、『ホーリー・モーターズ』の世界観に観る者を迷い込ませる。実はこの歌のシーンは、今年大ヒットを記録した『レ・ミゼラブル』で話題となった“同時録音”の手法で撮影されたものなのだとか。
カラックス監督は彼女の起用について、こんな言葉で語っている。「私たちはメルドのさらなる冒険を描く『Merde in USA』という長編をN.Y.で撮りたいと思っていました。いわば『美女と野獣』みたいな話です。その後、映画祭でエヴァ・メンデスと出会い、私たちは一緒に映画を撮りたいと思いました。彼女はエロティックでありながら、同時にロボティック(無機質)でもあるんです」と。
本作にはほかにも、エディット・スコブ(『顔のない眼』)、エリーズ・モロー(『Des Filles en Noir(黒衣の少女たち)』)、ジャンヌ・ディソン(『トムボーイ』)ら様々な年代の女性たちが出演し、オスカー氏の奇妙な1日を彩っている。