【インタビュー】サンドラ・ブロック 経験値がもたらした40代での“新たな発見”

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サンドラ・ブロック/『ゼロ・グラビティ』 -(C) Armando Gallo / Retna Ltd./amanaimages
  • サンドラ・ブロック/『ゼロ・グラビティ』 -(C) Armando Gallo / Retna Ltd./amanaimages
  • サンドラ・ブロック『ゼロ・グラビティ』/(C) Getty Images
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • 『ゼロ・グラビティ』-(C) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • サンドラ・ブロック&ジョージ・クルーニー/『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • 『ゼロ・グラビティ』-(C) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
2度目のアカデミー賞「主演女優賞」受賞を推す声に当人は即座に「No(ないわよ)」と笑ってかぶりを振るが、映画を観ればそうした周囲の期待の声が、お世辞でも単なる宣伝文句でもないことが分かるはずだ。サンドラ・ブロックこそが最新の技術を駆使して緻密に作り上げられた『ゼロ・グラビティ』の美しくも残酷な宇宙空間の映像に、絶望、喪失、そして希望と再生の人間ドラマ、物語という“灯”をもたらした張本人なのだから。

暗闇と無重力が支配する虚無の宇宙空間に放り出された宇宙飛行士が、極限状態の中で地球に帰還すべく模索する姿を描いた本作の魅力、撮影の苦労について話を聞いた。

まず本作を語る上で、欠かせないのが圧倒的な映像の力である。スクリーンに再現されるリアルな宇宙空間は、我々も主人公・ライアンと共に宇宙を浮遊しているかのように錯覚させ、漆黒の宇宙空間は吸い込まれるかのような恐怖を、そして宇宙から見た地球は特別な感慨をもたらしてくれる。

「残念ながら、私自身は演じながらそれを感じることはできなかったわ。映画で観客が観るような映像を、演じているときは見ることができないんだもの」とサンドラは苦笑する。そう、当然のことだが、彼女はあくまでも目の前に広大な宇宙空間と青い地球があることを想像しながら撮影に臨まなくてはならなかった。

「ヴェネチア国際映画祭で初めて完成した作品を観て、みんなが『なんて美しい映画なんだ!』って言ってくれたけど、監督(アルフォンソ・キュアロン)の頭の中では撮影していた頃からあの映像が出来上がっていたのね」と文字通り、誰も見たことのない映像世界を作り上げた監督への敬意と称賛を口にする。

サンドラが演じたライアンは、宇宙空間でのミッションに参加するほど優秀な人物である一方で、大きな心の傷を抱えている。死と隣り合わせの状況の中で、彼女はかつて味わった、愛する者を喪失する痛みと向き合う――逆境におけるひとりの人間の再生が映画のテーマでもある。「普通のSFじゃないの」と彼女は言葉に力を込める。

「私も最初はそう思ったわ、『SFでしょ?』ってね。でもこの映画は、人生についてやいろんなエモーション――危機感や恐怖の中で愛情を強く感じさせてくれるようにできているの。

たまたま、宇宙を舞台にした人間ドラマ、愛情の物語ということね。男性と女性で感じ方も違うと思う。男性で観終わった後にわんわん泣いている人もいたと聞いてるわ。私自身、この映画を通じて、悲劇が私たちの目を見開かせてくれるということ、人生がどんなにかけがえのないものであり、1日1日を決して無駄にしてはいけないということ、それから愛する人にその気持ちを伝えることの大切さというのを教わった気がするわ」。

インタビューに先だって行われた報道陣向けの記者会見で、本作で「これまでにない新しい経験をした」と語り、「俳優というのは不思議な仕事ね」としみじみと語っていた。

『スピード』で一躍、ハリウッドでの成功の切符を掴んだのが30歳前後のこと。その後『あなたが寝てる間に…』『デンジャラス・ビューティー』、『あなたは私の婿になる』などでコメディエンヌとしての才能も発揮してきたが、一方で『しあわせの隠れ場所』で40歳半ばにして念願のオスカーを獲得。そして、わずか4年後。50歳を目前にして本作で再びオスカー候補最有力との高評価を受けている。

20代、30代の頃とは違った、40代を迎えてからの活躍、ハリウッドでキャリアを重ねるということについて、彼女はこう語る。

「長く現場に身を置いて、人生経験を積めば積むほどそれを仕事に反映させることができると信じているし、ハードな仕事の経験というのはその先に活かされていくものだと信じてるわ。でも、ショービジネスの世界では往々にして、経験を積んでいろんな表現ができるような年齢に達した頃には女性は切り捨てられてしまうことが多いの」。

彼女自身、大きな仕事の後に、一定期間の休暇を取るということを勇気をもって選択してきた。

「私が幸運だったのは、そうやって長い時間、休みを取っても仕事の現場にまた呼び戻してもらえたこと。この業界で学んだことの一つは『NO』と言うこと、仕事を断ることの大切さね。いい仕事をしたときほど、『じゃあ次も、その次も』とどんどん仕事をしてしまいがちなんだけど、結局、そうするとプレッシャーばかりが強くなり、完璧な仕事に近づくことは難しくなるわ。

いまは、年齢を重ねるごとに仕事に行くのが楽しくなるし、私自身の選択も変わってきていると思う。あとはこの仕事で大事なのはタイミングなのよ。こっちが『仕事したい』と思って準備ができていても、ちょうどいい脚本や監督がいるかは分からないもの。それでも若い頃は、何でもやってみようと思ってたけど、年齢を重ねたことで、今回のような一つ一つのチャンスや出会いにより深く感謝するようになったわ。人生経験を積むということがすごく大事なことなのね」。

世界で一番最後となる日本での公開の前夜。アカデミー賞の行方を占う上でも非常に大きな意味を持つ「第71回ゴールデン・グローブ賞」の候補が発表された。ケイト・ブランシェット、ジュディ・デンチにエマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレットら錚々たる女優陣と共に、「主演女優部門」に当然のように彼女の名が連ねられていた。
《text:Naoki Kurozu》

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