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【インタビュー】向井理×片桐はいり 可哀想で優しい“姉弟”の「不器用な関係」

家族も、恋人も、仕事も…すべてを大切にしながら、上手に生きられたら幸せだけれど、みんながみんな器用じゃない。無器用にしか生きられない人だっている。映画『小野寺の弟・小野寺の姉』は大人になっても一緒に暮らしている無器用な姉弟の…

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片桐はいり(姉)&向井理(弟)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
片桐はいり(姉)&向井理(弟)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 片桐はいり(姉)&向井理(弟)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 『小野寺の弟・小野寺の姉』ポスタービジュアル(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会
  • 向井理(弟)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 片桐はいり(姉)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 片桐はいり(姉)&向井理(弟)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 『小野寺の弟・小野寺の姉』(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会
  • 片桐はいり(姉)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 向井理(弟)『小野寺の弟・小野寺の姉』/Photo:Nahoko Suzuki
家族も、恋人も、仕事も…すべてを大切にしながら、上手に生きられたら幸せだけれど、みんながみんな器用じゃない。無器用にしか生きられない人だっている。映画『小野寺の弟・小野寺の姉』は大人になっても一緒に暮らしている無器用な姉弟の、温かくて、可笑しくて、そしてちょっぴり切ない物語。

一見似てなさそうだけれど、なんだか似ている小野寺の姉弟を演じるのは、向井理さんと片桐はいりさん。本当に“いそう”な姉弟に見えるのは、2人の芝居がとてもリアルで息がぴったり合っているから。

片桐さんの「実際には遺伝子的にありえないでしょ。日本一きれいな男と日本一ブサイクと言われている女が姉弟って…ミラクルじゃない? でも、ありえるって思ってもらえると人間の可能性が広がる気がしますね(笑)」という自由な発言に、「そっか、けっこう深いテーマだったんですね」と、さらりと受け答える向井さん。このやり取りだけでも2人の間に小野寺の姉弟としての“絆”がしっかり刻まれていることが伝わってくる。

出会いは今から約5年前。この映画の監督でもある西田(征史)さんが脚本と演出を務めた「ママさんバレーでつかまえて」で共演。その3人の出会いが現在へと繋がっている。そもそもの発端は西田監督のとある興味から始まった。

「『ママさんバレー~』で仕事をご一緒したときに、西田さんから僕とはいりさんをモデルに小説を書きたいって言われたんですよね。で、小説ができて、それを原作に映画をやりましょうということになって、映画だけじゃもったいないから舞台もやりましょうって、どんどん膨らんでいったんです。昨年の舞台『小野寺の弟・小野寺の姉』は、実は後付けで決まったんです」と、向井さん。舞台のステージで何十回も姉弟を演じているからこそ、何とも絶妙な間合いを表現できるというわけだ。

西田監督にとってこの映画は記念すべき初監督作になるが、映画『ガチ☆ボーイ』に始まり『半分の月がのぼる空』『アフロ田中』、ドラマ「怪物くん」『妖怪人間ベム』など数多くの脚本を手がけ、現在は“月9”ドラマ「信長協奏曲」の脚本を担当中の超売れっ子。向井さんと片桐さんは半分冗談まじりで「世界の西田」と呼んでいるが、その実力は本物。であるからこそ「脚本が面白すぎる苦労があった」と片桐さん。

「完成した脚本は本当に素晴らしくて。ただ、面白いからこそ、それを託される俳優側にとっては苦労でもあるんですよね(苦笑)。読んで面白いものをより面白くするにはどうしたらいいんだろうって…。でも、プレッシャーというのではないんですよ。ワンシーン・ワンカットを長回しで撮る、プレッシャーに感じるシーンも確かに多かったけれど、多少のギクシャク感も含めての長回しはいいシーンになっていると思います」。

より子(姉)がボケ役、進(弟)がツッコミ役。そんな小野寺家の毎日は穏やかそのもの。大きな事件が起こるわけではなく、毎日一緒に食卓を囲み、休日は一緒にスーパーの特売に行き、何気ない日々を送るが、ある日、配達ミスで一通の手紙が届いたことをきっかけに2人それぞれの恋が動き出す。そして考えさせられるのは、家族とは何なのか? 片桐さんは「仲がいいからこそ生まれるジレンマがある」と語る。

「仲がいいのは良いことだけれど、家族はいずれ離れなければならなくて、一方、夫婦はどうやっても一緒にいなくてはならなくて、それぞれの悲喜劇があるんですよね。そのなかでもこの姉弟はちょっと特殊で…。仲がいいということが幸せに繋がっていない、仲がいいのに離れなくてはならないって切ないですよね」。向井さんも「その通りだと思う」と、うなずき言葉を続ける。

「出来上がりを見て、痛々しさも感じたんですよね。優しさが時に人を傷つけるってよく言いますけど、この姉弟の場合は、傷つけるというよりは前に進もうとするのにお互いの優しさが足枷になっている気がします。姉ちゃんが幸せにならないと自分は…と言いながらも、実は幸せになることを面倒くさがっているところもあるのかもしれなくて。姉ちゃんを理解しているからこそ、ただ優しいだけじゃない生々しい優しさ、人間のいやな部分も含めた優しさも描かれているし。いい姉弟ではあるけれど、それと同じくらい可哀想な2人だなって思う。キレイゴトじゃない人間の感情が出ていて面白いんですよね」。

無器用に生きる進とより子を誰よりも理解し、微細な演技で観客をいつのまにか感動へと導く向井さんと片桐さんは、間違いなく“器用”な俳優だが、向井さんは言う──「無器用な人って空回りしているんだろうけど、空回りするってことは努力しているということですよね。努力している姿って素敵だと思うんだよなぁ」という弟の発言に、「でも、向井理としては無器用な女性は恋愛対象にならないんでしょ?」と、からかう姉。やっぱりいいコンビ。小野寺の姉弟のような生き方があってもいい、そう思わせてくれる彼らはたしかに素敵だ。
《text:Rie Shintani/photo:Nahoko Suzuki》

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