【インタビュー】榮倉奈々 『娚の一生』で魅せた「これまでと違う私」

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榮倉奈々『娚の一生』/photo:Nahoko Suzuki
  • 榮倉奈々『娚の一生』/photo:Nahoko Suzuki
  • 『娚(おとこ)の一生』-(C) 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会
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  • 豊川悦司(海江田役)/『娚の一生』-(C) 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会
  • 榮倉奈々『娚の一生』/photo:Nahoko Suzuki
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「恋はするものじゃない、落ちるものだ」と言うように、好きになるのに理由はなく、出会って、惹かれて、気づいたら自分の心のど真ん中にその人が居すわっている──。そんなふうに、いつの間にか人を好きになっていく心の変化を丁寧に描いているのが、西炯子の人気コミックを映画化した『娚(おとこ)の一生』。

都会の生活に疲れ果て、祖母が暮らしていた田舎の一軒家での静かな生活を始めたヒロインのつぐみは、そこで52歳独身の大学教授の海江田と出会い、なぜか一緒に暮らすことになり、彼によって「もう人を好きならない」と決めていた恋のスイッチが再び入る、大人のラブストーリーだ。

つぐみを演じるのは榮倉奈々。『余命1ヶ月の花嫁』『アントキノイノチ』『図書館戦争』『のぼうの城』などでタッグを組んできたプロデューサーの「次は、榮倉奈々で大人の恋愛を描きたい」というところから企画はスタート。それはある意味、これまでとは違う榮倉奈々を見せなくてはならない挑戦でもある。「一緒に仕事がしたいと言ってもらえるのはとてもありがたくて、その気持ちに応えていきたい。幸せですね。でも、プレッシャーもありました…(笑)」と語るその雰囲気は、映画の役の影響なのか27歳という年齢なのか、いままでとは違う大人の女性を感じる。

「人にはいろんな面があって、そのどこを切り取るかで映画でもドラマでも、その作品の色になっていくと思うんです。『娚の一生』が私にとって今までと違う大人の恋愛映画ですねって言われるのは、今まで切り取ってこなかった違う面を切り取ってもらったから。私はいま27歳で、プロデューサーや廣木隆一監督は私のことを20歳の頃から知っていて、現場以外でもよくご飯に行ったりしているんです。そういう近い人たちがパブリックなイメージになかった私の一面を切り取りたいって形にしてくれるのはすごくありがたくて。一方で、監督とは3年おきぐらいに現場でご一緒しているので、なんだその程度かって思われたくなかったですし、成長したなって思われたいし褒められたくて、身が引き締まる現場でもありました」。

つぐみというキャラクターについては「普遍的な部分を持った女性」と愛しい眼差しを向け、「共感というよりも理解できることがすごく多かった」とふり返る。

「恋愛だけじゃなくいろんなことに言えることだと思うんですけど、経験を積むと自分の頭のなかで勝手にその後の展開を予想してしまって、臆病になったりする。何か新しいことに踏み出すときに尻込みしてしまう。そういうつぐみちゃんの気持ちはすごく理解できたし、演じながら(海江田との)理想的な恋愛をしていくつぐみちゃんが羨ましくもありました」。

その羨ましさのなかにあるのは、豊川悦司さんの演じる海江田の大人の包容力。「練習のつもりで僕と恋愛してみなさい」「僕は君をひとりにはせえへんで」「恋なので、仕方ありませんでした」といった、真っ直ぐな愛の言の葉に女性はグッと心をつかまれる。そして「原作にもある印象的なシーンなので、映画でも絶対に入ってくるだろうなとは思っていました」と言うのは、“足キス”のシーン。唇と唇のキスシーンよりもエロティックで、つぐみの表情がなんとも艶っぽくて、スクリーンからつぐみの鼓動を感じような息を止めてしまうほどのドキドキがそこにはある。

「そのシーンの撮影日はスタッフさんたちが、気を遣ってなのか少しソワソワしていて、逆にそれが恥ずかしかったです(笑)。でも、ああいういうシーンはそういうものだなって思うし、実際、私も緊張していました。映画のなかで2人の気持ちが一番近づいたときに、マニュアル通りにいかない恥ずかしさとか大人の恋愛の距離感ゆえに足にキスなのかなって、私はそういう解釈でした。愛情表現としては伝わりづらいのかもしれないけれど、そこに行き着くまでの2人の気持ちを繊細に撮ってもらったからこそ成立したシーンだと思います。ポスターも気に入っています。ただ…実は恥ずかしくて試写ではそのシーンは目を逸らしてしまって、観てないんです(笑)」。照れくさそうに淑やかに笑いながら「でも、豊川さんが、本当に格好いいんです。豊川さんに恋しに劇場に行ってほしい」と、海江田という男の魅力を掘り下げていく。

「足キスのシーンはもちろんドキドキしたけれど、いいなぁと思ったのは、海江田さんがつぐみの遠縁の親戚の子供、まこと君と一緒にいるときのシーンですね。2人が薪割りをしているのを少し離れたところからつぐみが見ているシーンなんですけど、海江田さんとまこと君のやりとりが何だか子どもが2人いるみたいな感じで、すごく可愛くてキュンとしました。海江田さんは52歳ですごく年上だけど、50歳らしくとか年上らしくとか、“○○らしく”って振る舞っていないところが素敵ですね。つぐみへの求愛をいぶかしむ親戚の前で、恋をしたから仕方ないって言い切れちゃうところも素敵(笑)。あんなふうに“仕方ない”って言える責任感はカッコいいですよね」。

たしかに、カッコいい。そして、彼の気持ちにしっかり向き合うつぐみの生き方もカッコいい。不毛な恋に疲れた彼女が幸せを掴んでいく姿には、きっと“幸せになるヒント”があるわけで、榮倉さんがつぐみから受け取ったそのヒントとは──。

「結末とかゴールとか欲しいものを先に決めてしまわないこと、ですね。つぐみちゃんのことが羨ましいなと思ったのは、彼女はもう二度と恋をしないと決めたけど、ふと気づいたら恋をしてしまっていた。その“気づいたら”っていうのが羨ましい。恋だけじゃなく仕事においても、人って結果を求めて何かをすると、求めている通りじゃなかった時にすごく不幸な気持ちになるじゃないですか。こうなりたいとか結婚したいとか、将来はこういう家庭がほしいとか、つい理想を描いてそれに向かって動いてしまうとおもうんですけど、そんなふうに自分ひとりで結末を決めてしまうのはよくないなって、そう思っている最中です(笑)」。
《text:Rie Shintani/photo:Nahoko Suzuki》

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