【シネマモード】絶望の淵から“光”が差し込む――『光をくれた人』で描かれる夫婦愛

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『光をくれた人』 (C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC
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  • 『光をくれた人』ロケーション (C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC
絶望の淵にあるときでも、人はなんとかして立ち直るすべを見つけ、また人生を歩く第一歩を踏み出します。そのとき、手を差し伸べてくれる人がいるなら、人生はそれほど悪くないと言えるのかもしれません。

映画『光をくれた人』は、とっても切なく、やるせない物語です。戦争で惨劇を目の当たりにした元軍人トムは心を閉ざし、オーストラリアの孤島で灯台守となります。孤独な人生でしたが、美しく快活なイザベルを妻に迎え、思いもよらない幸せな日々に恵まれるのです。ところがそんな日常は長くは続きません。イザベルは立て続けに流産を経験し、深く傷ついてしまいます。そんな折、2人は流れ着いたボートに、男性の遺体と泣き叫ぶ赤ん坊が乗っているのを発見します。トムには、保全局へ報告する義務がありますが、イザベルは赤ん坊を手放したがりません。そして2人が下した決断は――。誰も悪くないというのに、人生の歯車が狂うとはこういうこと。でも、その中にも“光”をもたらしてくれる、そんな存在のいてくれる日々が描かれているのです。

2人が、結ばれるまでの物語もとてもロマンティックです。出会ってすぐに海によって隔てられてしまった2人は、しばらく手紙で思いを交わすのですが、互いにドキドキしながら郵便を待つ姿に、スローライフの趣を感じます。会えない時間、待っている時間が、恋心を募らせ、愛する覚悟を育むということを、すっかり忘れていたことにも気がつきました。

でも、この物語が最も美しいのは、結ばれるまでではなく結ばれた後。確かに、過酷な戦場から戻ったトムにとって、イザベルとの出会いは人生に喜びを見出す大きなきっかけとなります。ところが、流産という悲しい出来事が度重なり、2人は試練の時を結婚後まもなく迎えてしまうのです。

結婚はエンディングではなく、人生の第二章の始まり。結婚の誓いにもあるように、どんなときにも、むしろ逆境のときにこそ、愛を確認し、深め、支え合って生きるのが夫婦というもの。ハッピーエンドのその先にあるものを誠実に描く本作は、決して甘くはない結婚生活を映し出していきます。絶望の中にあるときに、夫婦は互いの光になれるかという問いを投げかけているかのように。

主に夫であるトムの視点から描かれることが多い本作。でも、彼にとって妻が光となったというだけではなく、妻にとって、夫はどう光になれるかを描いているようにも思うのです。あなたにとって、光をくれる人とは誰のことなのか。いま、そばにいる人に感謝することを思い出させてくれる作品です。
《text:June Makiguchi》

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