艶という女と駆け落ちをして大島に移住してきた松生(阿部寛)は、妻の不貞に悩まされ続けてきた。そんな妻の艶が癌に冒され、昏睡状態に陥っている。松生は何度裏切られても献身的に妻を愛してきたが、妻を失うことに耐えられない。遂には、艶を殺そうと企むも、やはり無理であった。そのとき松生に、艶が関係を持った男たちに、彼女の死を知らせるという考えがひらめく。艶という女性の危篤を知らされた夫の、恋人の、父のそれぞれの様子から艶との肉体関係に感づいてしまう女たちは、彼女の存在に困惑する。よく知っているはずの「男」が自分の知らない顔を見せたとき、女たちは「自分の男」を見つめ直すのであった。
行定勲