オダギリジョー×キム・ギドク 言語は違えど中身で理解し合った2人の『悲夢』

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『悲夢』 オダギリジョー×キム・ギドク監督 photo:HIRAROCK
  • 『悲夢』 オダギリジョー×キム・ギドク監督 photo:HIRAROCK
  • 『悲夢』 オダギリジョー×キム・ギドク監督 photo:HIRAROCK
  • 『悲夢』 オダギリジョー×キム・ギドク監督 photo:HIRAROCK
  • 撮影中は毎晩のように酒を飲みに行ったという2人 photo:HIRAROCK
  • 本作、さらに『PLASTIC CITY』など海外のクリエイターとの仕事が続く photo:HIRAROCK
  • ゆっくりと言葉を選びながら作品について語ってくれた。 photo:HIRAROCK
  • この長髪が起用のきっかけ? photo:HIRAROCK
  • イ・ナヨンとの芝居もすんなりと上手くいった様子 イ・ナヨン
いま、世界で最も注目されているアジアの映画監督のひとりであるキム・ギドク。その最新作は、日本からオダギリジョーを主演に起用した『悲夢』。それぞれの恋愛の顛末から生まれた夢を通じて知り合った男女が共に味わう不可思議な体験を描く異色作だ。

「オダギリさんを起用した理由は髪が長いから」の真意は?

今回のミニ記者会見に先立って行われた取材では、オダギリさんの起用理由のひとつに「髪が長かったこと」と挙げた監督に、髪の長さにこだわる理由を尋ねた。
「男性について真っ先に思い浮かぶのは、髪の短い姿だと思いますが、『悲夢』では、衣裳も髪も職業にしても、何か長い時間を感じさせるものがほしかったんです。現実の世界に生きるというより、過去から来たのか、あるいはずっと過去に住み続けているのか、そんな人物をイメージしていたのです。時間の蓄積を感じられるのがいいと思ったので、長い髪がよかったんです」。

最初に送られてきた台本の第一稿では「役名が“ジョー”だったんです」とオダギリさんが明かす。
「びっくりしちゃって(笑)。役として読む感じじゃなくて。ジョーですから(笑)、監督が自分の物語を書いてくれたように、読んでしまったんですよね。でも、ほとんど台詞に出てこなかったんですよ。イ・ナヨンさんが一度名前を呼ぶだけだったんで、撮影が始まってから監督が『一応名前つけようか。仁にしよう』と言われて、『あ、いいんじゃないですか』と決まりました」。
 
監督はオダギリさんにまずシノプシスを送り、それを土台に台本を書き始めた。「その時点からコミュニケーションを取りながら執筆していたんです。オダギリさんもシナリオを読み込んで下さって、共感も理解も深かった。オダギリさんは普段から夢日記を書いていたそうですが、私も書いていたので、お会いしたときは夢の話をよくしましたね。現場に入る前に2人でいろいろな話をしていたので、演出で特に説明することはなかったですね」(監督)。

「夢には通訳いらない」(監督) 「感情、感覚を読み取った」(オダギリ)

タイトル通り、『悲夢』は夢がモチーフとなる作品。監督は「夢というものには限界がない。きちんと土台があってそこに建物が乗っかっている、というような映画ではないから、いろいろな表現をしながら作っていきました」と言う。そのひとつが、韓国の俳優たちは韓国語で、それに対してオダギリさんは日本語で演じるというスタイルだ。
「夢には通訳がいらない気がする。言葉は人が作ったもので規則もあるし、現実では通じませんが、夢の中なら自由なんじゃないかと思ったので。観客が違和感を覚えるかも、という心配も少しありましたが、最初にオダギリさんとイ・ナヨンさんが台本の読み合わせをしたときに、『これはいける』という手応えを感じました」(監督)。

演技を勉強していたときに受けた授業が役に立ったとオダギリさんは語る。
「何語でもない言葉で喋り合うとか、同じ言葉をただ2人で繰り返すというトレーニングをずっとしていたんです。相手の感情に乗せて同じ言葉を繰り返す、相手はそれを受けてまた繰り返す。言葉を重要視してないと言うと大げさですけど、それよりもっと気持ちを集中的に見るという訓練です。相手がどう思っているかが鍵で、僕はそれを読み取ろうとするだけでいいい。言葉がわからなくても、感情、感覚とか相手の中身を見ようとする。それが根本にあるので、例えば日本人同士でも、中身が動いてないのに台詞だけ出ている役者さんと芝居するよりは、全く問題なく出来ました」。

前作『ブレス』に続いて、男性の主人公に韓国人ではない俳優を起用したが、それは偶然で「韓国とか外国というような意識はない」と言うキム監督は、映画には地域色が強いと指摘する。
「韓国映画、日本映画というように地域を限定して語られることが多い気がしますが、これからはそういう枠を取り払い、人間という根本的な存在の意識の部分を、国にとらわれずに表現していきたいと思っています。これからは場所もここだと限定せずに、広い視野で選んで撮ることも考えていきたいですね」。

《text:Yuki Tominaga / photo:HIRAROCK》

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