『パンドラの匣』仲里依紗インタビュー 「時々、自分が分からなくなります(笑)」

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『パンドラの匣』 仲里依紗
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生誕100周年を迎えた太宰治。『斜陽』、『ヴィヨンの妻』、『人間失格』と怒涛の映画化ラッシュが続くが、中でもひときわ異彩を放っているのが『パンドラの匣』である。ギリシャ神話にある「この世に不幸をまき散らした」という匣(はこ)をモチーフに、戦後間もない結核療養所でのドラマが描かれるのだが、“異質”というのはこの作品に漂う“陽”の要素。パンドラの匣の隅に最後に残されたのが“希望”であったという挿話の如く、映画は太宰らしからぬポジティブな世界観を一貫して映し続ける。この映画の空気を体現しているのが、仲里依紗扮する看護婦・マア坊の存在である。映画の公開を前に、仲さんに話を聞いた。

「すごいですよね、マア坊の能天気さ(笑)」

太宰作品の映画化とあって、観る者はどこか身構えてしまうが、そんな思いを映画は鮮やかに裏切る。仲さん自身、「こんなに読みやすく、ポップな本(脚本)てなかなかないなってびっくりした」と語るように、驚きをもって受け止めたという。では、自身が演じたマア坊の印象は?
「小悪魔的な存在ですね。好きな人の前でわざと心配させたり…私にないところですね、取り入れていこうかと(笑)。映画の冒頭では戦争に負けたってのが描かれるのに、マア坊が出てきた途端、全くそんなこと感じさせなくなるんです。すごいですよね、この能天気さ…。『キミはどこで何してるんだ?』って言いたくなる(笑)」。

冨永(昌敬)監督は仲さんの演技を見て「本人に近かったのでは?」と語っているそうだが…。
「…(笑)。今回は特に、監督の世界観に染まったというのはありますね。というか、ほとんど監督の趣味ですよね。マア坊がシーツで遊ぶシーンがあるんですが、脚本には一言『シーツにくるまって遊ぶマー坊』って(笑)。どんな感じなのか監督に聞いたら『え? シーツにくるまって遊んだことないの?』って聞き返されました…。しかも目の前でやって見せてくれたんです。何か、シーツの中で自分だけの世界が見えるそうです…妄想ですね。あのナース服も監督の趣味ですから(笑)!」

この作品を特徴づけるもう一人のキーマンであり、マア坊とは真逆の存在として描かれているのが川上未映子扮する婦長の竹さん。では、仲さんの目にこの竹さんはどのように映ったのか?
「もったいないな、という感じです。すごく美人なのに女の武器を使っていない。同性から怖がられてしまうんですね。いや、でも大人の男に好かれるんですかね? 頼りたくなるタイプで…。マア坊になら男たちは『好き』って言えるんですよね。言われたマア坊も『私も好き! へへへー』って感じで(笑)。でも竹さんには『好き』って言えなさそう。美人ほどモテないというか…。そういうとこ、文芸作品というより本当に現代劇ですね。改めて太宰治、すごいです」。

「次はずるがしこいタイプの悪いヤツを演じてみたい」

先の冨永監督の言葉ではないが、映画の中の仲里依紗は、観る者にいつも役柄そのものという印象を与える。そう伝えると「自分でも自分が分からなくなることがあるんです」といたずらっぽい笑みを浮かべた。
「自分じゃないものになっていく瞬間、別の人間を自分のものにしていく作業がすごく楽しいです。(今回)マア坊になっていく過程で、私生活でもかわいくなれたりするんですよ。自分でも自分が分からなくもなりますし、母親にも『あんたってわかんないわね』って言われます。『あなたの娘ですよ! 19年間何を見てきたの?』って言いたくなりましたけど(笑)。いろんな人に出会い、いろんな役を演じ、自分でも知らなかった一面が溶け出してきて、いろんな自分を発見して…親からも『分からない』と言われるまでになったと(笑)。まあ好きなことをやってるのでいいか、と」。

では、今後やってみたい役柄は?
「いまは“いい子”を演じることが多くて周りにも『いい子だねー』って言われるので、悪いヤツをやってみたいですね。ずるがしこいタイプの。それを演じているとき、周りにはどんな風に映るんでしょうね(笑)?」

その笑顔は仲里依紗? マア坊? それともまた別の役柄? とにもかくにも太宰の“サニーサイド”を見事に体現した、彼女の笑みをスクリーンでご覧あれ!
《text:cinemacafe.net》

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