矢田亜希子インタビュー 「いまだからできる」母親役で見せた強さ

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「空にいちばん近い幸せ」 矢田亜希子
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31歳になって、初めて巡ってきた母親役に、矢田亜希子は脚本を読んですぐに「やりたい。いまならやれる」と思ったという。幼稚園児の娘を持つ母親。いや、正確に言うならかつて、出産に際して哀しみと傷を背負い、周囲に支えられて母親となったひとりの女性——。先日よりauケータイにて配信がスタートした「空にいちばん近い幸せ」は来年公開される劇場映画『ジーン・ワルツ』のアナザーストーリーとして製作されたドラマ。母親になるということの重み、母親になった女性の強さを描き出すこの作品で、彼女は何を見つけ、己の中の何を表現したのか?

矢田さんが演じる砂羽は5年前の出産で辛い過去を背負っている。生まれてくる子が病を抱えて、長くは生きられないかもしれないと知りつつも彼女と夫は産むことを決断。だが、息子は生を享けた直後に息を引き取る。その後、周囲の支えで少しずつ立ち直った砂羽は、一人娘の星乃を授かるのだが、矢田さんは砂羽を身近な存在として感じられたという。
「すごく自分にとってリアルに感じられましたね。本当に誰にでもありうる話だと思ったし。その中で、やはり彼女に“強さ”を感じたんです。芯がしっかりしているというか…。お腹の子供の病状を宣告されても、自分のお腹の中でその子が“生きている”という証を求めて産むことを決断する。やっぱりその覚悟ができるってすごいことだと思う」。

脚本を読んで出演を即決。「いまの私ならできる」——その自信についてこう説明する。
「私自身、これまで“母性”ってものが全然分からなかったんです。『母性って何なんだろう?』って感じで…。それが、自分が子供を産んで、母親になることで自然と実感することができた。この脚本を読んだときも、まさに母性というものを強く感じました。そういう意味で、数年前の私だったら、この役をリアルに演じることはできなかっただろうと思います」。

もちろん彼女をこの役に惹きつけたのは、母親になったからという自らの経験の部分が大きいことは確かである。だがそれだけでない。物語の根底に流れる“生命観”こそが、彼女が母親や女性だけでなく、この作品を見る全ての人に伝えたいことだという。
「セリフの中に『この世に生まれてくること自体が奇跡。こうやって渋谷の雑踏を歩いていて、みながこうやって普通に健康に歩いていることが奇跡」という言葉があるんです。それは、この作品に出会う前からずっと私が思っていたことだったんです。最初に読んだときはびっくりしました。もう、これはやるしかないなって(笑)。いま私がこうやって健康でいられることが奇跡的なことだって思うんです。それは前から思ってたけど、子供が生まれてなお強く思うようになったことでもある。それを本当に肌で強く感じているからこそ、私がいま、伝えたいって思いました」。

そう語る彼女の口調、そして表情には、強さと落ち着きが感じられる。作品を通して、そしてこのインタビューを通して、(当然ではあるが…)10代、そして20代を経て矢田亜希子は確実に変化しているということを感じさせられた。矢田さん自身は自らの変化、成長をどのように捉えているのだろう?
「やっぱり、若い頃と比べて周りが見えてきたっていうのはありますね。若い頃は、自分のやるべきことだけ…セリフを覚えてとりあえず現場に行って、迷惑をかけないようにこれをやればいいって感じで(苦笑)。でもいまは、共演者の方のことや現場のこととかいろいろ考えながらやれるようになってきたかな、と。それは自分の表現の振り幅もそうですけど、歳を重ねるごとに、経験がプラスされていく感じはしますね」。

本作で女優としての新境地を…などというお決まりの評価など、吹き飛ばすかのように、矢田さんは「まだまだやりたいことがある」と語る。
「本当にいまは、やれることは何でもやりたいって気持ちですね。今回、役の上では初めてのことばかりでしたけど、自分が経験してきたことを役の上でできたのは、すごくよかったな、と思えるんです。いまは『こういう役をやりたい』という気持ち以上に『まだまだやってないことがいっぱいある』っていう気持ち。数年前なら出産シーンって聞いただけでも『えー? 出産?』ってなってただろうし、もっと若い頃はちょっと露出があるだけでも恥ずかしがってたのに(笑)」。

“母は強し”といったところか。インタビュー中もやんちゃ盛りというお子さんの話になると、一気に“女優”から“母”の顔への変身を見せていた矢田さん。女優として、そして母として——30代もいろんな表情を見せてくれそうだ。

LISMOドラマ公式サイト:http://lismo-drama.jp/
《text:cinemacafe.net》

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