犬映画のセオリーを無視 『わさお』錦織良成監督インタビュー

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『わさお』 -(C) 2011 映画『わさお』製作委員会
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  • 『わさお』錦織良成監督
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一見“犬離れ”したライオンのような出で立ちと、“ブサかわ”な風貌で全国区の人気を集める秋田犬“わさお”。青森県鯵ヶ沢町に実在するわさおの自然な姿を、そのままフィルムに焼き付けた映画『わさお』が誕生した。「いままでの犬映画とは違う」方法で、メガホンを取ったのは『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』で、第二の人生に賭ける男と家族の絆を映し出した、錦織良成監督。初めての犬映画という挑戦に込めた思いを語ってもらった。

わさおは“三船敏郎以上の存在感”

実は、映画化のオファーを受けるまで「わさおのわの字も知らなかった」と明かす監督だが、監督を引き受ける決意は、わさおに会って確信に変わったよう。
「元々この企画は、わさおの顔を見て『三船敏郎以上の存在感』と認めたプロデューサーの伊藤(満)さんが持ち込んだものだったのですが、実際に初めてわさおに会ったときは、“孤高の犬”という印象を受けました。訓練犬ではないので、簡単にしっぽも振らないし、人間に媚びないというのがかっこよかったですね」。

訓練犬でもタレント犬でもない、わさお“本人”の大抜擢は、並大抵の挑戦ではなかったはずだが、そこには大の犬愛好家としても知られる主演の薬師丸ひろ子さんの並々ならぬ思いによる支えがあった。
「薬師丸さんと初めてお会いしたときに、『わさおは僕たちの言葉も気持ちも汲み取るから、本当に優しい気持ちで撮らなければならない』と約束したんです。わさおの前では、わさおの演技ができてないとか言わない、そう思わないこと。形としてとりあえず動いてもらうのではなく、心からわさおにいい演技をしてもらいたいと思いながら現場で動く、というかなりアナログな体制をとりました。そこには、ペットとして、動くぬいぐるみのように可愛がる人たちに対しての、柔らかい戒めも入っているのですが、人間と犬の対峙、わさおも犬としてそこに存在しているというのを尊重したうえで人間が見てあげるという。もし、わさおの姿がすごく自然体に感じられたら、それは一同がわさおを信じて撮ったおかげかなと思います」。

そこで監督が打ち立てたスローガンは「わさおのNGカットはなし」! 多い時には一日5、6時間わさおのためにカメラを回し、全く動かない時は2、3時間待ち続ける。わさおの撮影シーンだけで55時間にも及んだ。
「お手もお座りも無理なので、我々がわさおに何かをやらせるというのは到底無理で。わさおが寝るシーンでは全部待ってますから。だから、思っていた画が撮れなくても『仕方ないな、明日撮るか』という雰囲気で現場を後にしていたので、苦労したかと言えば本当は苦労だと思わなきゃいけないんだけど、現場でそう思わないようになっていたので、気がついたら一か月で撮れきっていて。動物だからテレパシーみたいなものが伝わるんじゃないでしょうかね、最後の一週間は『台本を読んでたんじゃないの!?』と思わせるくらい、ミラクルショットの連続で、3、4割のシーンは最後の一週間で撮れてるんですよ。諦めずにカメラを回した、無欲の勝利ですね」。

犬と人間でも「気持ちは通じる」

この“自然体”へのこだわりは、わさおだけでなく、鯵ヶ沢町で暮らす人々を演じる周囲のキャストにも伝播していった。わさおの飼い主、菊谷節子さんを演じた薬師丸さんもそのひとり。スクリーンに映る薬師丸さんの目には、本物の“愛”がこもっている。
「実際の節子さんは、多くを語らないけどみんなを見守っている“日本のお母さん”のような方なんです。一日に2時間のわさおの散歩を3回もするのですが、一切不平不満を言わない。わさおがいることで自分も元気になるし、みんなを繋ぐから、そのためにもわさおが元気でいなくてはいけないという姿勢に頭が下がるばかりで。現場で薬師丸さんとも話して、節子さんの思いのところで嘘をついてはいけないと。薬師丸さんには、演技を超えた愛の伝わる演技をしていただけたので、何も言うことはなかったですね」。

わさおを撮ることで、「気持ちが通じる」ということを自身で体感したという錦織監督。スクリーンに映る、わさおからはその“気持ち”がきっと伝わってくるはず。

特集「『わさお』犬好き女子が証言!“ココが違う”わさおが大好き!」
http://www.cinemacafe.net/ad/wasao/
《text:cinemacafe.net》

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