【MOVIE BLOG】記者会見終えて、本格稼働へ

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矢田部吉彦/「第26回東京国際映画祭」記者会見
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3か月に及んだモグラ生活に終止符!

9月に入ってからの僕の業務としては、第1週にほぼ作品選定が終了、そのまま作品解説文の執筆に入り、さらにその校正作業、そして、残念ながら映画祭での招待が叶わなかった国内外の作品群へ、「ごめんなさいメール」の執筆と送付。

この「ごめんなさいメール」はとんでもなく重要な作業で、なんと言ってもお断りする作品の数は、お世話になる作品の10倍以上。なので、未来に繋がるのは、ご招待する作品以上にお断りする作品なのでした。いかなる気持ちを込めたら、次回作も応募してもらえるか。「2度と応募するかバカ」と言われても仕方がないわけで、とにかく真剣にメールに向かう以外に方法はない…。

さて、同時期、左の席の同僚Y嬢は、招待が決定した海外作品の出品元に連絡を取り、映画祭に必要な上映素材や各種データの取り寄せ連絡、そして彼女も作品情報を寄せてくれた出品関係者に対し、数百通に及ぶご挨拶メールを日夜執筆&送信。僕の右の席の同僚Y嬢は、ゲスト来日交渉でこれまた昼夜問わず時差を超えた業務体制。ゲストの来日可能日程が日々微妙にずれるので、それに合わせた上映スケジュールもなかなか組み終わらず、スケジュールを担当する後ろの席のM嬢の緊張は絶えることがない…。

そんな中、9月19日に今年の東京国際映画祭の記者会見が実施されました。ここで、今年の作品が全て発表されて、いよいよスタートというわけです。

この日に照準を合わせて作品選定を進めてきたので、僕の正直な気持ちとしては、何とか間に合ってよかった、というもので、果たしてラインアップが充実しているのか、それともイマイチなのか、もうよく分からないですね。ただ、やれることは全てやったという気もしているので、後悔はないです。うん、たぶん。

僕が担当したのは、「コンペティション部門」の全て、「ワールドフォーカス部門」の中の欧米作品。そして、「日本映画スプラッシュ部門」の選定にも関わっています。

記者会見は2部構成で、第1部が全体を紹介する本来の会見、そして初めての試みである第2部では、僕と、アジア部門のプログラミング・ディレクターである石坂健治氏が、それぞれ選定した作品について解説する、という構成でした。

メインの第1部でも、招待作品の発表や、スポンサー企業の紹介などに交じって、僕が「コンペティション部門の作品選定の傾向」みたいなことを話す時間が3分くらいありました。何を話すかなあと数日悩んでいたのですが、結果、下記のようなことをしゃべりました。下記は、僕が事前に書いた原稿です(原稿は読まずにしゃべったので、細部は異なっていますが、まあ大体こんな感じ):

「東京国際映画祭のコンペティションでは、その年の秋の新作を紹介することに重点を置いています。ワールドプレミアを追いますが、トロント映画祭でワールドプレミアの次に東京でアジアプレミアという作品も取り上げます。つまり、秋の映画祭サーキットに乗る作品、世界の秋の新作を取り上げたい、ということです。

そこに、世界の映画地図を提示したいという思いから、国や地域のバランスを気にします。そして、映画の多様性を提示したいので、ジャンルのバランスも意識します。さらに、東京は総合型コンペなので、新人監督とともに実績のある監督も同じ土俵で競います。ということで、監督のキャリアのバランスにも気をつけます。

以上はあくまで形式的な前提です。最終的には個々の作品のクオリティーを重視します。今年も1,000本を超える作品を検討しましたが、選定チームで手分けをして見込んで行き、クオリティーの高い作品を徹底的に絞り、ピックアップしていきました。

ではクオリティーって何だよ、ということになると思いますが、もちろん映画の評価には色々な考え方があると思います。僕は、最終的には監督の個性が発揮されていることを重視します。作家主義、という言葉を使ってもいいかもしれませんが、とにかく、作り手の個性やスタイルが強く感じられること、監督の指紋がフィルム(画面)に刻印されていることが、決め手になることが多いです。

さて、毎年、今年の傾向はありますか? という質問を受けます。いつも悩んでしまうのですが、今年は、敢えて言えば、『戦う映画』『抵抗する映画』がキーワードになっている気がします。時の政治体制や、旧世代の常識に戦いを挑む人々の物語が多く入ったということもありますが、内容だけでなく、監督の姿勢としても闘う監督の作品が目立ちます。

保守的な風潮が支配しがちな映画界において、個性を貫こうとする監督、常識や体制に流されずに表現手段としての映画の力を信じ、自分のスタイルを打ち出す勇気を失わず、チャレンジして戦っている作家が多い、というのが特徴かもしれません。

この傾向が時代を反映しているという気はするのですが、まあともかく、これは敢えて傾向を聞かれた時に答えようと準備しているもので、実際にはコメディーやサスペンスなども多く入っていますので、あまり肩肘張らずに映画を楽しんでもらえたら嬉しいです。」

随分と青臭くてナイーブなことを言っているなあと我ながら思いますが、まあ、結構本音です。で、上記に見合ったラインアップになっているかどうか、後は観客のみなさんのご判断に委ねるのみ…。

会見の第2部では個別の作品の紹介を行ったのですが、このブログ上でも今後、改めて詳しく書いていくつもりです。

さて、映画祭としてはこれからがいよいよ本番! であるのはもちろんなのですが、とりあえず自分の本番モードは6月からだったので、3ヶ月の集中期間を経て記者会見が終わり、少しだけひとヤマ越えたという気分です。会見の後、個別に取材を2件受けて、職場にもどってもうグッタリ。全く何も手に付かず、席で廃人。

いわゆる充実感や解放感には程遠く、どう受け止められるかがひたすら心配なのだけれど、とりあえず今週末の3連休、1日は休めそうなので、今はそれがひたすら楽しみ(これを書いているのは9月19日夜)。6月9日以来、105日ぶりの完全オフ!!ああ、何をしよう…。そうだ、映画館で映画を見よう!

(追記:9月22日に久しぶりにハリウッド映画『エリジウム』を見て、ランニングも3か月ぶりに再開!)
《矢田部吉彦》

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