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【MOVIE BLOG】東京国際映画祭 Day6

22日、火曜日。映画祭も後半戦。もう後半? 全く実感がない。時間の感覚が全くおかしくなっていて、あえて言えば、映画祭を通して長い長い1日を過ごしているような感じ…

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22日、火曜日。映画祭も後半戦。もう後半? 全く実感がない。時間の感覚が全くおかしくなっていて、あえて言えば、映画祭を通して長い長い1日を過ごしているような感じ。

天気は、曇り。なんとかもちこたえてほしいけど、台風情報がとにかく気になる。ゲストが帰れない事態に備えて、ゲストホスピタリティー担当者たちは真剣なシミュレーションを開始している。全く予断を許さない…。

という心配の中で朝が始まり、10時50分に劇場に行き、コンペティション部門『ほとりの朔子』の上映前舞台挨拶司会へ。

控室で、杉野希妃さん(プロデューサーとして映画祭会期中フルに走り回っているはずなのに、朝から微塵も疲れを見せず女優の顔になっているのがさすが)、二階堂ふみさん(映画祭のほかの作品を観て下さっているようで、感想が痛快)、鶴田真由さん(美しいのはもちろん、声がとても素敵だ…)、太賀さん(素晴らしい好青年で、僕はこれから猛プッシュすることを誓った)と簡単に打ち合わせし、深田監督のキャラクターについて面白おかしく語っているうちに深田監督ご本人が遅れて到着。楽しい1日のスタート!

舞台挨拶を15分行い、上映スタート。僕は事務局にいったん戻って、ミーティング2件。

13時15分に劇場に戻り、『ほとりの朔子』のQ&A司会へ。2度目の一般上映となる今回は、前回より小さめのスクリーンなので、お客さんが近く、より親密でリラックスした雰囲気でトークが出来るのがいい。

本作の撮影が『地獄でなぜ悪い』と重なっていて、全く違うキャラクターを同時期に演じていたエピソードなど、二階堂ふみさんが飾らずに話してくれるので、座がとても盛り上がる。いや、むしろ和む、という方が正確かな。不思議な力を持った女優さんだ。映画の余韻にひたるような、爽やかな空気が流れるQ&Aで、司会をしていて気持ちがいい。客席の反応がとてもよく、朔子の飛躍の予感がする。

14時に事務局に戻り、16時までミーティングや確認作業。そろそろクロージングの段取り確認をしなければならないだ。え? もうクロージングの話をするのか?

16時半から、『馬々と人間たち』の2度目のQ&A司会。やっぱり反応がとてもいい。

17時から、「日本映画スプラッシュ」の『そして泥船はゆく』のQ&A司会。渡辺紘文監督は、6年ほど前に『8月の軽い豚』という作品を観たときから僕の「今後チェックする監督リスト」に載っていた監督。今回破天荒で自由で笑えてスタイリッシュな作品を見事に仕上げてきたので、堂々と「日本映画スプラッシュ」でご招待できることになり、とても嬉しい。

主役の渋川清彦さんが、べらんめえで諦めたジョン・ルーリーみたいでとてもいい。画面もモノクロが効いているし、何と言っても音楽が映画の格調を高めていて、素晴らしい。突然の転調がとても刺激的だし、意欲的な若手が自由に、ヤケクソにすら見えるくらいの勢いで突っ走るのは、見ていてゾクゾクする。渡辺監督はずっと追いかけたい。

18時15分から、『馬々と人間たち』の記者会見司会。たくさん質問が出る。やっぱりね。

19時30から、『ブラインド・デート』の2度目のQ&A司会。

22時から、「ワールドフォーカス部門」で『ホドロフスキーのDUNE』のQ&A!ついに来た! カンヌで最も衝撃的に感動した作品だったので、東京で上映できてとても嬉しい。この作品の面白さは、並大抵ではないので。

ウルトラ猛烈ナイスガイのフランク・パヴィッチ監督が、超ポジティブ・ハイテンションで素晴らしい。質問に対して、パフォーマンスのような回答をする姿は、まるでホドロフスキーのパワーが乗り移っているかのよう。

ところで、終りの時間が迫って少し焦っていたことと、最前列で挙手している外国人記者にあてたくなかったことと(一般の観客からの質問を優先したいので)、ライトの逆光で客席の奥が見えなかったことと、いくつかの要因が重なり、最後の質問を「後方で挙手されている女性のお客様」と指名してしまった。赤い長髪しか見えなかったのでとっさにそう言ったら、「女性じゃないです」との声がして、しまった、ごめんなさい、とよく見てみると高橋ヨシキさんだった。

まずい、と思ったものの、高橋さんとは直接の面識がないので「あ、高橋さんでしたか」と言うのもはばかられ、そのままQ&A終了。しまったなあ。と思ってツイッター見たら(僕はツイッターやらないのだけど、映画の評判などをたまに見ることはある)、さっそく「高橋さんを女性と間違えた矢田部氏」と書かれたりしていて、あーあ。

まあ、そんなことはどうでもよくて(いや、高橋さんにはきちんと謝らないと)、『ホドロフスキーのDUNE』は超絶的に面白いので、これからも勝手に応援していくつもり。

22時50分から、コンペティション部門で『ハッピー・イヤーズ』のQ&A司会。ダニエレ・ルケッティ監督をコンペでお迎えするのは、本当に光栄だ。『マイ・ブラザー』以来、脂がのっているルケッティ監督。その新作を東京で即上映できる歓び。

ルケッティ監督は、さすがに取材慣れしているというか、あらゆる質問に間髪入れずに即座に答え、速射砲のように語って短時間でピタッと言い終える、何とも小気味良い受け答えがプロ中のプロを感じさせる。体は大きくないけど貫禄があり、威圧感もあるけど、ガードは低く、親しみやすい。僕はお会いするのは2度目だけど、プロを感じさせる佇まいは増している。とはいえ、Q&A中に冗談めかしたコメントをおそるおそるはさんでみたら(「イタリアで一番のハンサム俳優にお父さんの役をしてもらったことで、監督のお父さんも天国で喜んでいるのではないですか?」)、笑ってくれたのでよかったよかった。

だめだ、もう今日は限界。結局3時になってしまったけど、即引き上げて早く寝よう。
《矢田部吉彦》

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