【シネマモード】『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』監督が語る、王女が“自由”を手にした特別な一夜

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『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』 - (C) GNO Productions Limited
  • 『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』 - (C) GNO Productions Limited
  • 『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(c) GNO Productions Limited
  • ジュリアン・ジャロルド監督
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先日、イギリスからやってきた友人とご飯を食べていて、映画の話になりました。


友人:最近、面白い映画を観た?

私:ああ、そういえば、若き日のエリザベス女王を描いた『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』を観たな。

友人:イギリスではちょっと前に公開されたけど面白かったよね。そういえば、監督は私の友人なのよ。知ってた?

私:ジュリアン・ジャロルド監督ね。そういえば、『キンキー・ブーツ』が公開されたときに、そう言ってたよね。

友人:そうだ、連絡を取ってあげるから、映画のことを何でも聞いたら?

私:ぜひぜひ!


…というわけで、友人が私とジャロルド監督を繋いでくれたわけです。後に女王となるエリザベス王女と妹のマーガレット王女が、生まれて初めてお忍びで外出した一夜の出来事(実話です!)を描く『ロイヤル・ナイト  英国王女の秘密の外出』。2人が初めて手にした“自由”が、どれほどの喜びと切なさに満ちていたかを、丁寧な心理描写で映し出した作品です。監督は忙しい合間を縫って、私が聞きたかった4つの質問に答えてくれました。


――映画、とっても楽しく拝見しました。映画を作る過程での苦労話などはある?

ジェロルド:よく、ロンドン塔には連行されなかったよ(笑)。女王がこの映画を見たら、にやりと皮肉っぽく微笑えんでくれたらいいなと思う。いずれにしろ、何かしらの反応が女王側からあるとしても、時間がかかるだろうね。とにかく、バッキンガム宮殿から映画撮影の許可をもらうのは難しかった。グリーン・パークの宮殿の門の外と遊歩道で撮影したかったから、宮殿からの許可は必須だったんだ。だから、脚本を提出しなければならなくて。許可を取るのに何年もかかったんだ。結局、許可してくれたけど。実は、ヨーロッパ戦勝記念日というまさにその日に、アーク灯のもとで、100名ほどのエキストラたちと宮殿の外で撮影した。皆、歌を歌い、歓声を上げたんだけれど、それはちょうどエリザベス女王のプライベートな居住施設の真下だったんだ。みんなで窓を見上げ続け、カーテンが動くのではないかと見守っていたんだ。彼女は僕たちを見たかって? さあ、どうだろうね(笑)。

――この作品が実話に基づいているとはいえ、ストーリーだけ聞くと、名画『ローマの休日』を思い出しちゃう人もいるでしょうね。もちろん、私は2つの作品が全く違うタイプの作品だと知っているけれど、観ていない人は、ちょっとそんな印象を持つかも。それは心配していない?

ジェロルド:そう言われることは決して嫌じゃない。この映画こそが実話に基づいていると知ってもらえることは、嬉しい。最終的に映像をまとめてみたら、それが『ローマの休日』にある意味で似ていると感じたんだ。実際のところ、僕もヨーロッパ戦勝記念日の夜、2人のプリンセスが群衆のただなかにお忍びで出かけて行って、宮殿の外でダンスし、英国国歌を歌ったという実話について耳にしたとき、それはありえないと思ったんだ。でもよくよくリサーチしてみると、それが事実であり、誰一人として彼女が王女だと気づかなかったと知った。フェイスブックもスマホもない時代。セレブリティ文化がまだ黎明期だった時代の話ならではだね。

――映画で描かれる王女様の一夜の冒険は、初めてエリザベスが知った“本当の世界”に対する驚きと喜びに満ちている上、ちょっとした淡い恋のようなものまで描かれていてチャーミングでした。でも、ひとりの女性として自由を謳歌するのは、この一晩限りで、永遠にエリザベスには訪れないという事実に切なくなりました。ロイヤルファミリーはすべて欲しいものを手にしている人たちだと思っている人も多いかもしれないけれど…。ただ、この経験が、彼女にとって、民の生活や自由というものを直接知る貴重な機会となったからこそ、彼女を国民に愛される女王へと成長させていったのかもしれないわね。

ジェロルド:全く同感だよ。第2次世界大戦下、ロンドンはひどく爆撃を受けていたし、バッキンガム宮殿も、実際に国王と王妃が住んでいたときに直撃されていたから、戦時中、2人の王女はウィンザー城に閉じ込められていたんだ。それに、王と王妃はとても保守的で、2人を洗練された社交界のみで生きるようにしつけていた。だから、あの一夜は姉妹にとって特別で唯一無二の体験となったんだ。エリザベスはまず民衆の喜び、楽観的な表情、幸福感を目撃することができた。この経験は、彼女の目を開かせ、自分の役割を自覚させることになったのだと思う。国王と王妃のいる宮殿と、群衆と一緒にいるエリザベスが門で隔てられているシーンは象徴的だ。映画の中では、そこで初めて自らが女王として担う役割と、それに伴う犠牲について本当の意味で気づくんだ。そしてもちろん、ジャックという男性との出会いとそれ端を発した冒険は、彼女の人間としての部分を浮かび上がらせ、宮殿に戻るということについて複雑な想いを抱かせるんだよ。

――本作を撮り終えた今、エリザベス女王に対する想いで変わったことは?

ジェロルド:実は、僕は君主制については、ずっと態度を決めかねていたんだ。階級構造や特権階級を守るものなのかとか、本当に我々の憲法で重要な役割があるのかとか考えていたから。とはいえ、ロイヤルファミリーはイギリスには大切な存在だし、外交的にも重要な存在なんだと認識できた。そして、彼女の90歳の誕生日(4月21日)を迎えた今では、もちろん多くの国民同様に、すっかりエリザベス時代の子どもたちだよ!
《text:June Makiguchi》

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