がんばれ、おじさん。おじさんアクション花盛り! vol.14 野獣でも、美女とお近づきになれる方法

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「おじさん!」と気安く呼ぶにはあまりにも偉大すぎるおじさんルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン。資料などで見る限り、偏屈そうでとっつきにくそうな顔をしています。伝記などにも、暴力的とか、激情型とか書かれていて、一説には、唾を吐き散らし、人前でもオ○ラを発するような下品な人物だったとも。いくら才能があったとしても、品がなく、繊細さのかけらもないおじさんには、近づきたくないのが女性というもの。でも、たまにいるんですね。「才能が素晴らしければ、全てに目をつぶってお慕い申し上げる」という女性が。

エド・ハリスが驚きの変身を見せた『敬愛なるベートーヴェン』には、ベートーヴェンの晩年、彼に寄り添った良き理解者、女性コピイストが登場します。演じるのは美しきダイアン・クルーガー。女性音楽家がほとんどいない時代ですが、優秀だからと、楽譜をコピーするためにベートーヴェンの家に派遣されてしまうのです。どう考えても、そこに展開しているのは、音楽業界版“美女と野獣”的世界。はじめは、「天才音楽家のお側にいられるなんて!」と興奮気味のアンナですが、師匠の奇行にやがて辟易し始めます。それでも、音楽という大きな力を媒介に、2人は特別な師弟愛で結ばれていくのです。

もちろん、この作品はアクション映画ではありません。でも、2人の関係を象徴する“第九”初演のシーンは、感情がほとばしり、興奮が最高潮に達していて、汗だくだく。これをアクションと呼ばずしてどうするのだ!という激しさなのです。難聴でうまく指揮ができない師のために、弟子のアンナがオーケストラのリズムを伝えるシーンですが、これは2人の俳優にとって、大きな挑戦だったとのこと。実際にそらで指揮ができるほど、楽譜を頭に叩き込み挑んだ場面なのだとか。長時間に渡る指揮の演技は、かなりの重労働だったよう。それでも見事に師弟愛の始まりを描くことに成功しているので、2人の役者の苦労も報われたというものです。

そんな師弟愛が生まれる背景には、ベートーヴェンの類まれなる才能がありました。彼は美男子でも良い人でもなかったので、一度は離れたアンナの心を引き止めたのは他ならぬその才能。アンナだって荒れまくった彼の生活態度を見て「あ、この人って寂しそう」と少しは母性をくすぐられたりはしたでしょうが、あの容貌であの性格、おまけに下品ときたときには、素晴らしき才能がなかったならば関わりあう覚悟など生まれないはず。つまり、他の欠点を遥かに圧倒するレベルで秀でた何かがあるならば、くたびれたおじさんだって美女にかまってもらえる(かもしれない)ということなのです。がんばれ!

そういえば日本にも、山下達郎氏と竹内まりあさんというカップルが。もちろん山下さんは、天才なのは同じでもベートーヴェンとは比べものにならないくらい、素敵な性格の方だとは思うんですけど……。うーん、音楽の世界って、素晴らしい!

《text:June Makiguchi》

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