東京国際映画祭、今年の見どころは?コンペ出品作15本を選んだ男に直撃インタビュー

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『ACACIA』 -(C) 2008
  • 『ACACIA』 -(C) 2008
  • 東京国際映画祭作品選定ディレクター 矢田部吉彦
  • 東京国際映画祭作品選定ディレクター 矢田部吉彦
  • 東京国際映画祭作品選定ディレクター 矢田部吉彦
  • 『テン・ウィンターズ』(コンペティション部門)
  • 『エイト・タイムズ・アップ』
  • 『激情』 -(C) Telecinco Cinema S.A.U, Producciones Rabia LTDA, Think Studio S.L
今年で22回目を迎える東京国際映画祭(TIFF)が10月17日(土)に幕を開ける。東京サクラグランプリを競うコンペティション部門を始め、アジアの佳作を紹介する「アジアの風」、さらに多様な日本映画の新作を上映する「日本映画・ある視点」に各国の映画祭で高評価を得た作品を日本で初めて上映する「WORLD CINEMA」などなど、多岐にわたる作品が9日間にわたって一挙上映される。ズバリ、今年のTIFFの見どころは? そして気になる日本代表作品の評価は? 開幕を前にコンペティション部門の作品選定ディレクターを務める矢田部吉彦氏に話を聞いた。

今年のコンペ出品作の特徴は“物語の強さ”

1月のロッテルダム国際映画祭(オランダ)を皮切りに、矢田部さんが作品選定を兼ねて訪れた国は10か国。そして、鑑賞した作品は驚くなかれ、約600本! 数か月にわたって「とにかく時間があればDVD」という生活を送っているが、特に今年は例年に比べて応募作品が100本ほど多かったとか。そこから厳選された15本のコンペティション部門出品作品の傾向を尋ねると「物語の強さ」という答えが返ってきた。
「毎年、『こういう映画を選ぼう』といったテーマは決めずに、あくまで良いものを選ぶようにしているんですが、出揃った作品を眺めると、雰囲気やセンスといった要素よりも物語が観る人を引っ張る作品が多い気がします。そういう意味で、観ていて退屈する作品は全くないですね」。

日本のファンにとっては、辻仁成監督、アントニオ猪木主演の『ACACIA』がコンペティションでどのような評価を受けるかが気になるところだが…。
「東京で開催する映画祭として、どういう日本映画を選ぶかは大きなポイントです。不安であり、楽しみでもありますがそういう意味で『ACACIA』は嬉しい出会いでした。辻さんと猪木さんという組み合わせに対して期待は大きかったけど、正直、観る前は不安もありました。でも、観始めて数シーンで『いいなぁ』と思えるものが伝わってきて、『ありがとう』という気持ちになりましたね。これが単に猪木さんの存在感というだけならここまで喜ばないです。映像が美しく、音楽と映像のコンビネーションも脇役も素晴らしい、アンサンブルの映画として評価したつもりです。お客さんの反応が楽しみですし、コンペに入れられてよかったなぁ、と思います」。

続いて、話題は映画界の現況に。一部の大作が市場を引っ張る形で邦画の好調が伝えられるが、一方で洋画、特にアート系の作品にとっては厳しい現状が続いている。こうした状況の中で、映画祭が果たすべき役割とは?
「僕は、映画祭の究極の役割は、お客さんを映画館に戻すことだと思っています。以前であれば劇場公開されていたような、海外の映画祭で高評価を受けた作品が日本では公開されない、ということも多くなっています。だからこそ、TIFFでどんどん上映できればと考えています。普段、欧米の単館系の映画を観ない人がたまたま観て『意外といいじゃん』と感じてくれたら、観ようと思ってた邦画が売り切れで、その隣りで上映してた作品を観て『面白い』と感じてくれたら…。長い道のりかもしれませんが、そういう人が一人でも映画館に足を運ぶという好循環を作る可能性を秘めているのも映画祭だと思っています」。

「普段は観ないタイプの映画をぜひ観てほしい」

最初にも触れたが、約600本の中からたったの15本を選ぶ、すなわち残りの数百本を落とすということは肉体的にも精神的にもつらい作業である。そうして選び抜かれた15本の中からさらにお薦め作品を尋ねるのは失礼かもしれない…。が、あえてこれから映画祭に足を運んでみようか? と考えているシネマカフェ読者に薦めるなら?
「そうですね…もちろん全てがお薦めです(苦笑)。でも、例えば20代、30代の働く女性なら『エイト・タイムズ・アップ』はいかがでしょう? 失業し、アパートも追い出されてしまうような女性のお話で、つらいテーマなのになぜか爽快で、気持ちよく感情移入できると思います。それから、すごく“とんがった”作品なら『激情』を薦めたいですね。普段、女性がなかなか観ないタイプの映画かもしれませんが、個性的な強いラブストーリーです。もう少し若い方には『テン・ウィンターズ』。10年に及ぶ男女の愛を描いていますが、ゴンドラや観光名所の出てこない、“生活感のある”ヴェネチアが舞台になっています。映画祭という貴重な機会であり、特にコンペ作品は1,000円ですので、普段は観ないタイプの作品にぜひチャレンジしてほしいです。騙されることはない…はずです! 騙されたと思ったらブログにコメントしてください(笑)」。

「優柔不断な自分が嫌になるし、ウジウジとずっと考えてしまいます。8月の最後の週あたりは『この仕事向いてない! もうハゲる、ハゲる!』って悩んでます(笑)」とは作品の選定についての矢田部さんの弁。そこまで悩みに悩んだ上で満を持して上陸した作品の数々、ぜひご注目あれ!

東京国際映画祭2009特集
http://blog.cinemacafe.net/special/091007/index.html

第22回東京国際映画祭公式サイト
http://www.tiff-jp.net/ja/

矢田部吉彦「映画業界人ブログ」
http://blog.cinemacafe.net/showbiz/archives/yatabe/
《text:cinemacafe.net》

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