【シネマモード】人生をリフレッシュさせるスイッチ『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

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『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』 -(C) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
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読者の皆様の中には、このお正月休みを海外で過ごされた方、新年を海外で迎えた方も多いことでしょう。言葉が通じなかったり、文化が違ったりと大変なこともあるけれど、海外旅行好きにとっては、そこがまさに驚きや刺激の根源。とても魅力的な部分です。ただ最近は、まさにそこが面倒で、海外旅行なんて嫌いという人が意外に多いこともわかってきました。でも、海外に行くのは“人生のリフレッシュ!”にもってこい。それを教えてくれるワケありの男女が登場するのが『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』です。

「神秘の国インドの高級リゾートで、穏やかで心地よい日々を」などという美しい謳い文句と綺麗な写真に惹きつけられたのが、人生の岐路に立つイギリス人の初老の男女7名。ところが、彼らを待っていたのは、“近い将来、豪華になる予定”のボロボロホテルと、嘘をついたつもりも、悪気もない若きオーナー。ここからが、彼らにとっての異文化の洗礼、人生のリフレッシュのはじまりでした。

主人公は、夫を亡くして新天地を求めたイヴリン、判事を突然辞めてある決意を胸にしているグレアム、官僚ダグラスとその恐妻ジーン、恋を追い求めるノーマンと、夫探しにやってきたマッジ。彼らは一様に、人生の岐路に立っているのですが、一番私が興味を抱いたのは、本当はインドが嫌いなのに、手術のためにしぶしぶやってきたミュリエル。滞在を楽しむつもりなど一切なし。現地の食事は怖がってとらず、心を閉ざしているのです。他の6名が、少なくとも希望を胸にインドにやってきたのに対し、ミュリエルは、やむをえずやって来た唯一の人物。長年メイドとして働いていたのに暇を出され落ち込み気味。さらに必要な手術を英国で受けようとしたところ、長く待たなくてはならなかったため、待ち時間の短いインドに来ることを選択したのです。

決して変化を望んでいないのに変化を強いられ、さらには異文化の洗礼を受けなければばらないというのは、かなり辛いことでしょう。それは年をとっていたら尚のことかもしれません。全く予想もしなかったインドの常識を、笑って受け入れられるイヴリンとは対照的。イヴリンが、ポジティブに違いを受け入れられる海外旅行向きの人物だとすれば、常に違いにケチをつけるミュリエルはかなりドメスティックな人物。彼女にとっては、インドは一生来たくなかった場所。ところが、彼女はしぶしぶ訪れた地で人生を変える出会いを手にします。身分の低い配膳係の姿に自分を重ね、心を動かされるのです。それは、自分の意志だけでは、決して訪れなかった出会い。それによって、変化していくミュリエルを見ていたら、人生には、知らず知らずのうちとはいえ、自分で制限してしまうにはあまりにもったいない経験というものがあるのかもしれないと思えてきます。ネットを使い、自宅にいながらにして気軽に世界中の情報が収集できるとしても、体験に勝る喜びはないはず。多少の対価を支払ってでも、あえてやっておいた方がいいことというも世の中にはあるのでしょう。

イヴリンを演じたジュディ・デンチはロケで訪れたインドを「それまで当然だと思ってきたものすべてを攻撃してくる」「1日の仕事を終え、夜に自分のねぐらに戻る途中で象とすれ違うなんて、人生でそうあることではない」と話しています。こんな風に、頭をガツンと殴られたような衝撃、喜び、面白さは、停滞してどんよりとした人生をリフレッシュさせる強力なスイッチになり得るのです。

変化を望まない人にとって、これは要らない刺激なのかもしれません。でも、好奇心のない人生は、きっと人を老けさせます。監督のジョン・マッデン曰く、「この物語では、年齢や成熟が意味を持ちません。登場人物たちは自分たちが置かれた状況下でふたたび若返るのですから」。新しいものが好きで、好奇心旺盛の人というのは、もしかすると常に心がリフレッシュされていて、知らず知らずのうちに若返っているのかもしれません。悲しみや苦しみで帰路に立ったときこそ人は、人生のリフレッシュが必要なのです。それでこそ、前へ進んでいける―。

いったい誰が、驚きや刺激のない人生の中で、どんよりと漫然と年を取りたいでしょうか? 「NO!」と言ったすべての人にとって、この映画が刺激ある人生の扉となりますように。そして2013年が皆様にとって、素敵な1年となりますように!

(C) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
《text:June Makiguchi》

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