マリオン・コティヤールインタビュー 「特別な愛の物語」と男女関係の“魔法”

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『君と歩く世界』マリオン・コティヤール / photo:Toru Hiraiwa
  • 『君と歩く世界』マリオン・コティヤール / photo:Toru Hiraiwa
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『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、その後はジョニー・デップの相手役を務めた『パブリック・エネミーズ』『ダークナイト ライジング』などの大作に出演、ハリウッドでも順調にキャリアを築いているマリオン・コティヤール。ディオールのバッグ「レディ ディオール」のキャンペーン・モデルであり、ファッション・アイコンとしても脚光を浴びる彼女が、母国・フランスで主演した『君と歩く世界』の公開に合わせて、ジャック・オディアール監督と来日した。

マリオンが演じたのは、南フランスのマリンランドでシャチの調教師として働くステファニー。仕事中の事故で両脚を失い、深い絶望の中にいた彼女が、シングルファーザーのアリと出会うことで再生へと向かい、一方アリもまた、ステファニーとふれ合うことで新しく生まれ変わる。

力強く、心を揺さぶる感動作への出演の決め手は「ずっとジャックと仕事することを夢見ていたから」とマリオンは語る。「彼からオファーを受けて、彼の書いた脚本を読めるということ自体、私にとってはすごく特別なことだったの。一読して、物語にもステファニーという女性にも恋したわ。とてもミステリアスで、今までやったことのない女性像であることも、私にとっては重要だった」。脚を失ったショックにうちひしがれた女性をほぼノーメイクで演じ、いつものゴージャスなマリオンとはまるで違う印象だ。

もう一つ、彼女にとってうれしい驚きだったのは、作品がラブストーリーであったこと。「ジャックから、ラブストーリーの脚本が送られてくるとは予想もしていなかったから。それも普通のラブストーリーじゃない、本当に特別な愛の物語だったのよ」。

カンヌ国際映画祭で新人監督賞にあたるカメラ・ドール賞に輝いたデビュー作『天使が隣で眠る夜』('94)以来、前作『預言者』('09)に至るまで、これまでノワールな世界を描き続けてきたオディアール監督だが、「『預言者』を作った後、もう男だらけの暗く閉塞された世界を描きたくないと思ったんだ」と明かす。「共同脚本のトーマス(・ビデガン)とも『次は恋愛ものをやりたいね』と話していた。女性が登場し、光あふれる、広い世界を描きたかったんだ」。

原作であるクレイグ・デイヴィッドソンの短編集は、厳しい現実をありのままに描き、むしろ『預言者』に通じる匂いがある。そこから敢えて、過酷な運命と闘う男女の恋の物語を紡ぎ出したのは「こういう作品を撮りたいという自分たちの思いが形となった結果」と言う。そして『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』を観て以来、念願だったマリオンの起用については「脚本家として、特定の俳優を念頭に置きながら執筆することはない。でも、書き終わった時点で、誰にやってもらいたいかと自問したら、答えはすぐに出たよ」。

マリオンはかつて、演じることについて「役が現実の自分とかけ離れていればいるほど、やりやすい」と話していたが、ステファニーについても同様だという。「その方が、キャラクターに近づくための“鍵”みたいなものを、より多く手にしている気がするの。ただ、自分とキャラクターの共通項を探すようなアプローチではないわ。物語に恋をした瞬間、演じる役が私にピタリとはまり、私もその人物に馴染むようになる。そんな感じかしら。似ているところを探したわけでもないのに」と微笑む。

境遇も違い、出会うはずもなかった女と男が偶然出会い、そこから稀有な関係が始まる。友情、恋などと簡単に括れそうにもない不可思議で深い、その結びつきは、男女にとっての究極の理想というべき関係なのでは?

すると、監督は思案顔に、マリオンは「男女に理想的な関係ってあるかしら?」とつぶやく。そして「男女以前に、人間同士の関係で大切なのは誠実さと愛」と語り始めた。「2つの個人が築き上げていくものがあると思う。男女の関係には説明できない部分というか、説明してはいけない何かがある気がするの。ただ、魔法がかかったように特別な、偽りのない結びつきは存在すると思うわ」。

監督の頭に浮かんだのは、現代における恋愛のあり方。「初めて出会った2人がその夜に関係を持ってしまうこともめずらしくない世の中だ。そんな世界で、どうやって愛を語るのか、ということに興味を持った。昔は、多くを語り合い、互いを知ったうえで、そういう関係になったけれど、いまは逆だ。まず一緒に寝て、じゃあ、その後に一体何を話す? かつては、友情から愛情への変化は明確にあった。では、いまは? 友達という関係から、恋人に変わるのはいつ、どんな感じなのか? 『君と歩く世界』は、そんな思いから生まれたんだ」。
《photo:Toru Hiraiwa / text:Yuki Tominaga》

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