クヮヴェンジャネ・ウォレス 21世紀生まれのオスカー候補は「アカデミー賞を知らなかった」

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『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』クヮヴェンジャネ・ウォレス/Photo:Naoki Kurozu
  • 『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』クヮヴェンジャネ・ウォレス/Photo:Naoki Kurozu
  • 『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』 -(C) 2012 Cinereach Productions, LLC. All rights reserved.
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クヮヴェンジャネ・ウォレス。日本人には何とも発音しづらいが、舌を噛んででも覚えて損はない名前だ。いや、たとえ名前を覚えなくとも映画『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』を観れば、その不思議な物語と共に彼女の存在が心に深く刻まれるはず。

本年度アカデミー賞では史上最年少となる9歳で主演女優賞にノミネート。同じく本年度の同部門で、彼女とは正反対に85歳で史上最年長(現在86歳)としてノミネートされたエマニュエル・リヴァ(『愛、アムール』)との年齢差はなんと76歳! 改めて女優という仕事の凄さ、人の心を動かす演技というものについて考えさせられる。

都会の文明から隔絶された“バスタブ”と呼ばれる居住区に暮らす少女の姿を描いた本作。破れた服に身を包み、泥にまみれ、怒りと悲しみに顔を歪めて泣き叫ぶが、それでも彼女は強く、そして美しい。撮影当時は6歳、21世紀生まれで初のオスカー候補はどのように誕生したのか――?

これまで一切、演技経験はなかったにもかかわらず、約4,000人もの子どもたちの中から少女・ハッシュパピー役を勝ち取ったクヮヴェンジャネ。オーディション当時は就学前の5歳。それから3年以上も後にこれほどの喧騒の中心に身を置くことも、プロモーションで日本を訪れることになることも、彼女は全く予想していなかったに違いない。

アカデミー賞へのノミネート、そして周囲の反応に対し「正直、ビックリしたわ。この年でノミネートされるということも驚いたし、楽しいことではあるけど…時々、混乱しちゃう」と偽らざる本心を明かす。ノミネートされるまでは「テレビで授賞式を見たこともなかったから、アカデミー賞の存在自体よく知らなかった」とのこと。アカデミー賞を指す“オスカー”という言葉に関しても、式の直前までオスカーという名の人物がいまも存在していると思っており、「いつ紹介されるんだろう?」と思っていたという。それでも、おめかしして臨んだ授賞式を楽しんだ様子。

「すごく楽しかった。こんなにエンターテイメント満載のイベントなんだ!? って思ったわ(笑)。スターのサイン? これまで、映画のプロモーションでテレビに出たときにもらったことはあるけど、アカデミー賞のときはもらわなかったわ。だって、私の憧れのスターはアカデミー賞ではなくて、みんなグラミー賞の方に出てるんだもん(笑)」。

映画の中には泥の中でのシーンから海を泳ぐシーン、動物と触れ合うシーンまで6歳の少女にはさぞや大変だったと思われる場面が次々と登場する。

「泥んこでの撮影はあまり楽しくなかった撮影の一つね。泥はあまり好きじゃないの。でも『やり遂げないといけない!』という気持ちで頑張ったわ。水泳のレッスンもあって、慣れないといけなかったけど、楽しい体験だったよ。動物は、私も犬を2匹飼っているから大好きなの。ただ、ブタに触るシーンは、テレビで見てブタはピンク色だとばかり思ってたから、黒くて毛が生えている大きなブタはちょっと気持ち悪かったかな…」。

世界と対峙するような激しい怒りの表情、そして壊れたかのように泣きじゃくる姿は観る者の心を激しく揺さぶる。ここまで大きな怒りや悲しみを爆発させたことはこれまでの人生でもなかっただろう。一体どのようにその小さな体から、あれほど大きな感情を外へとぶち撒けられたのだろうか?

「監督からは『いま、こういう感情が必要なんだ』って話があったわ。じゃあ、こんな感じ? という風にやっていったのだけど、元々あまり泣くようなタイプじゃないの。だから、あのシーンではおじいちゃんが亡くなったときのことを思い出して泣いたんだけど、『それじゃ足りない』って言われたわ。それで、監督やスタッフみんなが自分たちや家族に起きた悲しい出来事を話してくれて、それであの涙が出てきたの」。

この日も、オスカー受賞式のときと同様に愛犬をモチーフにしたバッグ(実に30種類近く持っており、その時々でどれをもっていくのかを選んでいる)を大切そうに抱きかかえるクヮヴェンジャネ。授賞式では「アルマーニ(ARMANI)」のドレスに身を包んでいたが、女の子らしくファッションに興味も!

「オシャレをするのは好きよ。でも“ファッショニスタ”は嫌いね。ファッショニスタというのは私の中では『あなたの肌の色にはその色は似合わないから、やめた方がいいわね』なんて言う人よ。そんなに細かくあれこれ言うのはイヤなの。ピンク色は大好きよ(笑)」。

現在、地元・ルイジアナ州の小学3年生。日本に滞在中も、取材の合間にお母さんと一緒に教科書を広げるなど、かなり勉強熱心だが、その先には将来の夢が…。

「将来は歯医者さんになりたいの。女優の仕事? もちろん、演技もあきらめずに続けるつもりよ」。

映画の中の“バスタブ”のような島で暮らしてみたい? それとももう、あんな生活はうんざり? そう尋ねると「両方かな? あの島はすべてが変わっていて、それが魅力だから」との答えが。ではバスタブとも、生まれ育ったルイジアナともまた異なる日本の印象は?

「イケてると思うわ。食べ物はちょっと変わってるけどね(笑)」。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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