【MOVIE BLOG】いま最もアツい(?)トロントニアン

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毎年恒例のサンタクロース・パレード
  • 毎年恒例のサンタクロース・パレード
  • リール・アジアン・フィルム・フェスティバルが開催された劇場
と言えば、間違いなくトロント市長ロブ・フォード氏でしょう。

ご存知の方もいるかもしれませんが、3年前に就任して以来、何かとお騒がせな政治家なのですが、今年の春先から警察の捜査が進められてきたコカイン使用疑惑に関して、遂に先日認めてから芋づる式に飲酒問題やセクハラ疑惑など様々な疑惑が浮き彫りになり、遂には市議会から市長の権限を剥奪される羽目に…。いま、彼をテレビで見ない日はないのですが、そんな彼の半ば開き直りの問題発言の数々がカナダはもとよりお隣のアメリカで話題沸騰となっているのです。

もちろん税金を納めているトロント市民にとっては、腹立たしいを通り越して呆れ返る事実なのですが、不名誉な形で一躍カナダの時の人となった彼は「Saturday Night Live」や「Jimmy Kimmel Live」、「Late Night with Jimmy Fallon」などアメリカの人気深夜番組の恰好の標的に…。問題発言が炸裂した記者会見をパロディにしたり、繰り返される彼の問題行動がギャグの対象になっています。

ここトロントでも、彼の写真入りTシャツやポストカードが店先に飾られたり(コカイン疑惑が浮上した時も相当でしたが…)、ジョークを織り交ぜた見出しのフリーペーパーが各所から出ていました。これは、日本ではなかなか見られないバッシングの光景かもしれませんね。

そんな渦中の彼、当然と言うべきか先日開催された100年以上続く恒例のサンタ・クロースパレードでも、主催側から出席を拒否される始末。勝手なお世話ですが、今年は安らかなクリスマスは過ごせそうにありませんね。

さて、マスコミでは彼の話題で持ち切りになっている間、私はアジア映画祭に参加してきました。

アカデミー賞の前哨戦とも言われるトロント国際映画祭(TIFF)だけでなく、多人種・多文化の数だけ大小様々な映画祭が開催されるのも映画好きにとっては魅力的なトロント。その中でアジア映画にフォーカスした映画祭「リールアジアン・フィルム・フェスティバル」が開催され、私もボランティアで参加してきました。今年で17回目を迎える本映画祭。中国や韓国、日本など東アジアの映画を中心に、タイ、フィリピン、インドなど広範囲にわたるアジア映画がどどっと上映されていました。TIFFに比べたらかなり小規模ではありますが、多くのアジア系カナディアンがボランティアスタッフとして参加しており、TIFFとはまた異なるアットホームな雰囲気が漂っていました。

日本からも『桐島、部活やめるってよ』のほかに『エヴァンゲリオン』『舟を編む』が出品されており、中でも『エヴァンゲリオン』は深夜の上映にも関わらず熱狂的なファンが長蛇の列をなしていました。私自身は残念ながら日本映画を観る機会はなかったのですが、その代わりに興味深いドキュメンタリー映画を2本鑑賞しました。

1本目はフィリピンの女性監督ラモーナ・S・ディアスが撮った『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』。日本でも既に公開している本作は、大御所バンド「ジャーニー」のフロントに突然選ばれたフィリピン人歌手のアーネル・ピネダに密着した映画です。その監督が上映に合わせてアメリカから来加し、本作やこれまで撮ってきたドキュメンタリー映画について語ってくれたのですが、映画そのものももちろん、監督の快活でチャーミングな語り口にすっかり魅了されてしまいました。中でも印象的だったのが「ドキュメンタリーで人物を撮るのは、恋のようにスリリングなもの」と楽しげに語っている姿。彼女の過去作にも興味津々です。

2本目は、台湾系アメリカ人で初めてNBAプロ選手となったジェレミー・リンに密着した映画『Linsanity』。こちらもアメリカン・ドリームを手に入れたアジア人という括りでは「ジャーニー」のアーネルと同じなのですが、彼と決定的に違うのはアメリカで生まれ育っているという点。映画では、昨年「Linsanity」(Lin+Insanity)という流行語を生んだ、彼のNBAでの目覚ましい活躍の裏にある並々ならぬ努力と苦労、アジア系アメリカンとして活躍する中での未だ残る差別、それに対する葛藤が描かれています。バスケットボールに関して全く無知な私は、この映画を観るまで彼の存在を知らなかったものの彼の信念の強さに心動かされるものがありました。また、一緒に観ていたアジア系カナディアンたちも大いに共感するところがあったようです。

トロントに来て早1年弱。多民族社会の中で生活することについては節々で考えるのですが、そこで生まれ育つのはどういう感覚なのか、というのを改めて考えさせられた映画祭でした。さて、トロントでは近々、スタジオジブリ作品の特集上映が1か月近くにわたり行われるとのこと。カナダでもファンの多いジブリ映画ですが、私もぜひ字幕付きで観てみたいなと思います。
《text:Izumi Kakeya》

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