【シネマモード】絵本だからって侮れない! 大人の心に響く“癒し”と“教訓”

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-(C)  1964 AB SVENSK FILMINDUSTRI ALL RIGHTS RESERVED
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  • 『なまいきチョルベンと水夫さん』 (C)1964 AB SVENSK FILMINDUSTRI ALL RIGHTS RESERVED
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子どもの頃に出会った絵本や文学というのは、心に強い印象を残すもの。それが良質の物語となれば、一生の宝物になります。みなさんも、覚えがあるのではないでしょうか。「ぐりとぐら」「いやいやえん」「ふたりのロッテ」など、大人になったいまでも大切に思っている方は多いことでしょう。

今回ご紹介するのは、「長くつ下のピッピ」や「ロッタちゃん」シリーズで知られるアストリッド・リンドグレーン作の児童文学「わたしたちの島で」を原作に持つ映画。『なまいきチョルベンと水夫さん』です。スウェーデンの人々にとっては、心の友とも言うべき物語だそう。

チョルベンも、ピッピやロッタと並び、長年にわたって愛されてきたキャラクター。ぽっちゃりとした体型の笑顔がキュートな少女ですが、筋の通らない大人にはきっぱりと言いたいことをいう大胆さも持っています。貫録のある姿と物おじしない様子は、確かに大人からすれば“なまいき”かもしれませんが、子どもからみれば勇敢な正義の味方なのです。そんな彼女が愛犬の水夫さんと暮らすのが、避暑地のウミガラス島。首都ストックホルムから北東に約20km、船で約1時間のところにあるヴァックスホルム島がモデルとなっていて、独特の赤い壁のサマーハウスが立ち並ぶ海岸の村が舞台となっています。

ある夏、チョルベンは漁師のおじさんからアザラシの赤ちゃんをもらい、モーセと名付けて友人たちと可愛がっていたのですが、モーセが高値で売れると知った漁師のおじさんから「返してくれ」と言われ激しく抵抗。漁師と子どもたちとの攻防戦が展開するのです。さらに、水夫さんが巻き込まれる大騒動も勃発。大人も子どもも、さまざまなことを学びながら、ひと夏を過ごすのです。

登場する悪者は、悪人というよりずるい大人。ずる賢さも、恥ずかしいことなのだと伝えていて、間違を犯したら素直にそれを認めて謝るべきなのだ、正直に生きるべし、という強いメッセージが感じ取れます。人としてあるべきことをシンプルに、分かりやすく、愛を込めて伝える本作は、子どもはもちろん、大人の心にも響く物語。日頃の自分を省みて、ちょっと襟を正しくなる作品です。

そんな素晴らしさもさることながら、大人にとって楽しみなのが、北欧のお洒落なシンプルライフ。スウェーデンの国旗を思わせる、ブルーとイエローを多用したファッション&インテリアは、本作が1964年に公開されたものだとは思えないほど新鮮です。夏の日差しを存分に楽しもうとする人々の心を映し出す鮮やかな色使いのファッション、自然を愛する人々の心を映し出す木目を生かした家具、シンプルをこよなく愛する人々の心を映し出す白く統一されたインテリア、素朴なお洒落心を感じさせるチェック柄のクロスなどは、どこかノスタルジックでありながら、真似したくなるほどスタイリッシュ。カゴ、陶器、缶など人の手仕事を感じさせるアイテムの数々にも、使い勝手の良いものを長く愛用しようとする哲学を感じます。

ここで紹介されているサマーハウスでの暮らしは、多くの日本人が憧れる北欧ライフの、まさに典型。ストイックに生きるだけでなく、隣にある自然を楽しみながら、豊かさのあるシンプルな暮らしを生きる。それはどこか、江戸時代の人々の暮らしを感じさせたりして。北欧に惹かれる日本人が多いのも、その精神性に相通じるものがあるからかもしれません。
《text:June Makiguchi》

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