【美的アジア】600万分の1の確率で“お弁当”が引き寄せた男女の揺れる思い

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『めぐり逢せのお弁当』-(C) AKFPL, ARTE France Cinéma, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm―2013
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「料理」がメインにくる作品を、私は「おいしい映画」と呼んでいます。「おいしい映画」には、世界の食事情や、そこに住む人々の暮らしが如実に現れて、遠くの国がほんのちょっと身近に感じることができ、お得で“おいしい”のです。それに加えて、人生の“酸いも甘いも、辛いもしょっぱさ”をも教えてくれるのが「おいしい映画」の素敵なところ。「料理」に寄り添う、人々の思いは、私達、観る者にもさまざま味を教えてくれます。

今回ご紹介するのは、インド映画『めぐり逢せのお弁当』。「料理は愛を深める」という上の階に住むおばさんのアドバイスに従って、夫の冷めた心を取り戻そうとイラが愛情を込めて作った特製弁当が、ひょんなことから妻に先立たれ、早期退職を控えた見ず知らずのサージャンの元へ。やがてお弁当を通して交流が生まれていくのです。

なぜ、お弁当が他人の所へ? と思いますが、インドでは「ダッバワーラー(お弁当配達人)」という仕事があり、その誤配送の確率はなんと「600万分の1」なんだとか!? そんな奇跡のような偶然に出会うのもロマンティックではありますが、そこから、お弁当とともに2人が短い手紙でメッセージのやりとりを行うのもなんとも素敵です。

「どんな人が私の作ったお弁当を綺麗に残さず食べてくれているのだろう」…顔の知らないサージャンからのメッセージを見ながら、彼のことを想像したり、彼のためにお弁当を作るイラの思いは、女性なら共感せずにはいられないでしょう。なにせ夫は、イラが誤配送されていることを知らないと思って適当なことを言うんですから!

古典的な「手紙」のやりとりも、いまの時代だからこそ、とても新鮮、かつ羨ましくも思えてきます。見えない相手だからこそ、心の奥に隠した本音を伝え合えることってありますもんね。

本作では、「お弁当」や「手紙」の交換を通して、ゆっくりとそれぞれの「思い」が熟成されていく過程を楽しめるのが見どころであり、ラストシーンで、ふたりがどんな「料理」を完成させるのかに注目して楽しんでみてください。

もちろんイラの作った料理の数々も見逃せません。4段重ねのランチボックスをテーブルに広げ、料理を前に微笑むサージャンの姿を見てしまったら、映画館を出た後きっとインド料理が食べたくなるはずです。暑いこの季節にインド料理、ぴったりかもしれませんね!
《text:Tomomi Kimura》

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