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【MOVIEブログ】2016カンヌ映画祭 Day10

20日、金曜日。いよいよ終盤だ! 今朝も6時半起床、ルーティンこなして、7時20分に外へ。前半は荒れ気味だったカンヌの天気は後半すっかり回復し、連日の快晴。ただ、日陰に入ると肌寒く、全体としては例年より寒い感じかな。でも雨が少なくて良かった!

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"The Last Face" Sean Penn "The Last Face" Sean Penn
20日、金曜日。いよいよ終盤だ! 今朝も6時半起床、ルーティンこなして、7時20分に外へ。前半は荒れ気味だったカンヌの天気は後半すっかり回復し、連日の快晴。ただ、日陰に入ると肌寒く、全体としては例年より寒い感じかな。でも雨が少なくて良かった!

さて、8時半から、ショーン・ペン監督の『The Last Face』へ。アフリカの内戦地帯で活動する国際医師団の苦闘を描くもの。主演はシャーリーズ・セロン、共演にハビエル・バルデム。村人を残虐に殺される凄惨な状況を描く中に、ふたりのロマンスも絡んでいく。

南ア出身のシャーリーズ・セロンは、アフリカの状況改善に本気で取り組みたいと思っているだろうし、彼女の意思に賛同したショーン・ペンやバルデムが参加することで、スター映画としての予算も確保出来た企画なのだろうと想像する。彼らは、自ら広告塔になることを自覚して、アフリカの悲惨な現状を世界に訴えたいと本気で願っているんだと思う。

ただ、たくさんの人に見てもらうためにはラブストーリー要素も入れなければならず、それは結果として映画のメッセージを薄めてしまうリスクを負うことになる。かくして、著名人主導の企画は本当に難しい。だからと言って、ハードコアなリアリズム映画を作ってもお客は入らず、広くアフリカの窮状も伝わらないというジレンマ。このジレンマを打ち破るのはとても大変で、それでも真っ向からそこに挑み、信念を貫こうとするシャーリーズ・セロンらに敬意を表する次第。

続いて11時半から「ある視点」でアルゼンチンの新人監督(男女のコンビ)による『The Long Night of Francisco Sanctis』という作品へ。冒頭、小さなアパートの狭いキッチンスペースで親子4人が朝食を慌ただしく食べるシーンはとても良く、これは来たな! と良い予感に喜んだのもの束の間、そんなに単純な作品ではなかった…。

70年代くらいを背景にしているようだけど、説明はない。父は旧友から不思議な使命を突然与えられ、おそらく当時の軍事政権による相次ぐ誘拐や拉致が背景にあるはずなのだけど、説明はない。物語に起伏はなく、父が夜の街を歩くシーンが長く続き、90分を切る作品なのにリズムが悪い。

ということで、監督たちに物語映画を作る気がなかったのは明らかで、分かる人に分かってもらえればいいという作品。70年代のアルゼンチンの時代背景が、世界的にどれだけ自明のことなのか分からないけれど、ゼロ年代から台頭著しいアルゼンチン映画の多くが当時の暗い影をモチーフに用いており、同国映画を追っていれば何となく想像は出来る。

なので、分からないと放り投げるのではなく、一切説明を配したその意図を汲み取ろうとしながら見るべきであるのだけど、冒頭が良い物語映画の予感を持たせただけに切り替えが難しく、戸惑いのまま映画は終わってしまった。背景を抽象化したアート映画のつもりで臨んでいれば、随所によいシーンはあったはずなのだ。ストレートを待っていたらカーブを投げられて対応できなかった、という2流打者になった気分だ。なんだかとても無念。

これにて「ある視点」の作品は全て上映されたとのことで、僕は18本中14本を見たことになるのかな。部門の授賞式は明日(21日)で、作品賞や監督賞などが発表される。で、僕の推しは、ロシアの『The Student』、エジプトの『Clash』、イランの『Inversion』、そして深田晃司監督『淵に立つ』(あ、是枝さんは別格ということで!)。僕は未見で、とても評判がいいのがアメリカの『Captain Fantastic』と、アニメの『レッドタートル ある島の物語』。さあ、どうなるだろう?

14時半から、コンペでグザヴィエ・ドラン監督新作『It’s Only The End of the World』へ。前作『Mommy/マミー』以来2年振りの監督作、フランスのスター俳優を揃えて期待が高まる中、ズバリ僕はダメだった!

ドラン作品で僕が好きなのは、色々な意味での過剰性と、その過剰性の果てに訪れるカタルシスなのであって、今作も過剰ではあるのだけど、カタルシスが僕には感じられなかった。ただ、ドラン作品は受け取る人によって相当感想が異なるだろうから、高評価の人もいるはず。いずれにしても、細かい内容を書くのは控えておこう。

上映終わり、ホテルと会場を往復して、溜まった作品資料などを日本に送る手続きなどをして、ジャームッシュがイギー・ポップを撮ったドキュメンタリーの『Gimmie Danger』に上映開始ギリギリに行ってみたら、満席で入れず。覚悟はしていたので、まあこれはしょうがない。

またホテルに戻り、ブログを少し書いて、18時にまた外に出て、19時半から「監督週間」部門のクロージング作品であるポール・シュレーダー監督新作『Dog Eat Dog』へ。監督週間の各賞の授与式があった後、『Dog Eat Dog』チームが登壇。ウィレム・デフォーとニコラス・ケイジも登場し、会場は一気にヒート・アップ!いやあ、生ウィレム・デフォーのカッコよさに痺れた…!

22時半から、同じく「監督週間」の『Divines』というフランス映画を見て、本日の上映は終了。

上映終わって0時半。カンヌ市内のオープン・バー的なスペースで、深田晃司監督や古舘寛治さんらの『淵に立つ』チームと合流して、痛飲。

ホテル戻って、そろそろ3時。即ダウン!
《矢田部吉彦》

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