消防士、レーサー、ヒーロー、バンドマン…家族全員を巻き込んで、それぞれが“やってみたかったこと”をテーマにコスプレし、その姿を撮影したユニークすぎる家族写真で写真界の芥川賞・木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家・浅田政志。受賞をきっかけに各地の家族から撮影依頼を受け、家族写真家としてようやく軌道に乗り始めたとき、東日本大震災が起こる。かつて撮影した家族の安否を確かめるために向かった被災地で政志が目にしたのは、家族も家も全てを失った人々の姿だった。シャッターを切ることが出来ず、自問自答を繰り返す政志。津波で泥だらけになった写真を一枚一枚洗浄して、家族の元に返す写真洗浄の活動に参加し、そこで写真を見つけ嬉しそうに帰っていく人々の笑顔に触れることで、再び写真の持つチカラを信じられるようになる。そんなとき、一人の少女が現れる――。
中野量太