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パリ・オペラ座のエトワール『オーロラ』ニコラ・ル・リッシュ来日インタビュー

日本でも大ヒットを記録したドキュメンタリー映画『エトワール』で、パリ・オペラ座の舞台裏にカメラを向けたニルス・タヴェルニエ。そんな彼が監督を務めた新作『オーロラ』は、バレエ映画の新境地とも言える異色の作品だ。ある王国の王女オーロラを中心にしたフィクションの物語を展開させながら、華麗なダンスシーンをふんだんに盛り込む。この大胆な試みの実現に一役買ったのが、パリ・オペラ座のエトワールとして絶大な人気を集めるトップダンサー、ニコラ・ル・リッシュだ。「この映画には独特のトーンがあるんだ。夢幻的なお伽話のようでもあるし、ダンスをフィーチャーした作品でもある。しかも、それが1本の映画として成立し、ひとつの魅惑的なオブジェになっている。物語が展開していくリズムも独特で、まるでロマンティックバレエのようなんだ。そういったところが『オーロラ』の魅力だし、僕自身が惹かれたポイントでもあるね」

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パリ・オペラ座のエトワール『オーロラ』ニコラ・ル・リッシュ来日インタビュー
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  • 『オーロラ』 サブ2
日本でも大ヒットを記録したドキュメンタリー映画『エトワール』で、パリ・オペラ座の舞台裏にカメラを向けたニルス・タヴェルニエ。そんな彼が監督を務めた新作『オーロラ』は、バレエ映画の新境地とも言える異色の作品だ。ある王国の王女オーロラを中心にしたフィクションの物語を展開させながら、華麗なダンスシーンをふんだんに盛り込む。この大胆な試みの実現に一役買ったのが、パリ・オペラ座のエトワールとして絶大な人気を集めるトップダンサー、ニコラ・ル・リッシュだ。「この映画には独特のトーンがあるんだ。夢幻的なお伽話のようでもあるし、ダンスをフィーチャーした作品でもある。しかも、それが1本の映画として成立し、ひとつの魅惑的なオブジェになっている。物語が展開していくリズムも独特で、まるでロマンティックバレエのようなんだ。そういったところが『オーロラ』の魅力だし、僕自身が惹かれたポイントでもあるね」

「もともと芝居が好きで、機会があれば挑戦してみたいと思っていた」というニコラ。この映画では、ヒロインのオーロラ姫に心奪われる画家バンジャマンを演じている。裕福な国の王子たちとの見合いを強いられながらも、密かに自由を愛し、大好きなダンスに身を投じるオーロラ。そんな彼女を静かに見つめ続ける彼の瞳の演技が印象的だ。「演じる上で最初に取り組まなくてはならなかったのは、監督のニルスがイメージしたバンジャマンの役割を理解すること。その過程がとても重要だったし、理解してからは自然に演じられたね。バンジャマンはオーロラを女性として意識してはいるけれど、同時に、ひとりのダンサーの誕生と成長を目撃し、見守る役目も担っている。バンジャマンがオーロラを見つめる眼差しは優しく、決してジャッジをしたりはしないんだ」

こう穏やかに語るニコラを見ていると、目の前にいるのはバンジャマン本人なのではないかとさえ思えるが、キャラクターには自分自身を投影させたのだろうか。「難しい質問だね。この映画に限らず、僕が携わる企画は自分自身を投影できるものが多いと思う。バンジャマンは画家で、僕はダンサー。その違いはあるけれど、感性に共通点はあると思いたい。相手のことを理解しながら、穏やかで優しい視線を向けられる人間でありたいと僕自身も願っているから。…この質問に答えるのは本当に難しいね! 僕自身を語ることになってしまうなぁ(笑)」

オーロラを優しく見守り続けるバンジャマンと同様、ニコラがオーロラ役の若手ダンサー、マルゴ・シャトリエに向ける眼差しも、現実的ではあるが優しい。マルゴはパリ・オペラ座バレエ学校に通う新星で、まさに大抜擢の映画出演となった。「マルゴとの関係はもちろん良かったけれど、彼女のことはついバンジャマンとして見てしまうんだ。見守るという意味でね。この映画で彼女が見せるダンスは舞台上のものではなく、カメラに向けてのもの。ダンサーとしての彼女をジャッジするべきではないし、それはなかなか難しいことだよ。今はまだね」

トップダンサーの地位に君臨するニコラ・ル・リッシュならではの、真摯で重みのある言葉が聞けた。

《渡邉ひかる》

映画&海外ドラマライター 渡邉ひかる

ビデオ業界誌編集を経て、フリーランスの映画&海外ドラマライターに。映画誌、ファッション誌、テレビ誌などで執筆中。毎日が映画&海外ドラマ漬け。人見知りなのにインタビュー好き。

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