瀬尾まいこのベストセラー小説を原作に、ある家族の崩壊と再生を綴った『幸福な食卓』。「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」という衝撃的な台詞で始まる本作で語られるのは、中学生の少女・佐和子の目線を通して見つめた家族のドラマだ。3年前に自殺を図った父親、その事件をきっかけに家を出て一人暮らしを始めた母親、大学進学を辞めて農業の道を選んだ兄——。そんなシリアスな要素が独特の穏やかな雰囲気でくるまれているが、母親を演じた石田ゆり子自身、最初は「原作の優しい空気感を映像に表すのは難しいんじゃないかと思いました」という。
「原作の一ファンとしては、映像にするのが怖いくらいだったんです。でも、家族のひとりひとりがすごく優しくて、優しさゆえに距離を置こうとし、ぎくしゃくしてしまう。そんな家族のドラマを演じてみたい気持ちが勝りました。あと、怖いといえば、中学生の子のお母さんならまだしも、20歳を超えたお兄ちゃんもいるお母さんを演じるなんて……という不安もあったんですけど(笑)」
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