狂気の女を演じたベアトリス・ダル「男性が弱すぎる? 現実もそうでしょ!」

クリスマスイヴの夜、事故で夫を亡くし、ひとりで臨月を迎えたサラの元をある女が訪れる。女は家の中に入れてくれるように執拗に懇願し、ついには窓から侵入、ハサミを手にサラに襲いかかる。それは血にまみれたクリスマスイヴの惨劇の始まりだった——。妊娠中の女性のお腹に刃物を突き立てるなど、かつてない過激な描写で本国フランスのみならず、各国の映画祭で物議をかもした『屋敷女』。本作で狂気を秘めた謎の女を熱演したベアトリス・ダルに話を聞いた。

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『屋敷女』ベアトリス・ダル photo:Yoshio Kumagai
  • 『屋敷女』ベアトリス・ダル photo:Yoshio Kumagai
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クリスマスイヴの夜、事故で夫を亡くし、ひとりで臨月を迎えたサラの元をある女が訪れる。女は家の中に入れてくれるように執拗に懇願し、ついには窓から侵入、ハサミを手にサラに襲いかかる。それは血にまみれたクリスマスイヴの惨劇の始まりだった——。妊娠中の女性のお腹に刃物を突き立てるなど、かつてない過激な描写で本国フランスのみならず、各国の映画祭で物議をかもした『屋敷女』。本作で狂気を秘めた謎の女を熱演したベアトリス・ダルに話を聞いた。

本作も含め、社会の規範から少し外れた存在を演じることが多いベアトリスだが、どのように出演作を決めているのだろうか?
「この映画に関して言えば、2人の監督(アレクサンドル・バスティロ、ジュリアン・モーリー)の存在が全てよ。ただ、役を演じる上で、そのキャラクターの中に私自身が反映されていないと、興味がわかないの。もしかしたら、私自身とは全く違う人物に“変身”することはできるのかもしれない。でも、私にとってそれは監督のマリオネットになるのと同じことで、そんなキャラクターに魅力は感じられないわ。そういう意味ではこれまで演じてきた役柄は、全て私そのものだと言えるわ」。

では、今回演じた“女”のどのあたりに自分とつながるものを感じたのだろうか?
「彼女は“母性”に裏打ちされた凶暴性・激しさを持っている。私には子供がいないからかもしれないけど、自分の中に母性を感じたことはないわ。ただ、彼女と同じような凶暴性は十分にあるわね。私の場合、いまでは女優をしてるけど、高い教育を受けたわけでもなく、平凡な家庭で生まれ育ったの。そんな自分を守ろうとすれば、ある種の凶暴さ、激しさが必要だった。背景は違っても彼女と同じものを持っていると感じたわ」。

さらに、現場での役作りについてはこう語る。
「私から、監督に提案したのは、彼女のセリフを減らすこと。脚本の段階では、彼女がサラを口汚く罵るシーンがいくつかあったの。でも、彼女の目的は、決してサラを苦しめることではない。だから『極力語らずに、ただ目的のためなら何でもする女にした方がいい』と監督に言ったわ」。

凄惨なシーンが続く映画だけに、現場の雰囲気は暗いものだったのかと思いきや…。
「これまで参加した中で、今回の作品ほど笑いにあふれた撮影現場はなかったわ! みんな、本番の直前までゲラゲラ笑ってるのに、『スタート!』の声がかかると役にスッと入っていくの。不思議なものね(笑)」。

ベアトリス自身、他人の内臓をまさぐるという凄まじいシーンを披露しているのだが…。
「演技とはいえ、こんなことする機会はめったにないから楽しんだわよ(笑)。ちなみにあのシーンで出てくる作り物の内臓や脳みそだけど、あれはかなり高いクオリティだったわ」。

と、劇中同様に“強さ”を感じさせるベアトリス。一方で、映画の中に出てくる男性陣は揃いも揃ってほとんど無力。男性としてはちょっぴり寂しいところだが…と言ってみると、ベアトリスは爆笑!
「男の警官だって無力だったでしょ! 実際の人生も往々にしてそんなものなのよ(笑)」。

《photo:Yoshio Kumagai》

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