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世界の映画館vol.21 サンティアゴ「それでも僕は観ていない!」

「イシコさんも好きですねぇ。成人映画を観に行ったんですか?」

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地下に入る映画館=成人映画? photo:ishiko 
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「イシコさんも好きですねぇ。成人映画を観に行ったんですか?」

僕が旧市街の映画館に行ったことを話すと、現地在住の女性から予想外の返事が返ってきた。言っておくが、僕は成人映画を観ていない。スペイン映画だと思って入ったが成人映画だったので…、いやいや、スペイン映画だと思って入ったが、ハリウッド映画だったのである。

「地下の映画館っておっしゃいましたよね? だとするとやっぱり…」。

完全に彼女は疑っていた。どうやらサンティアゴの旧市街では、地下に入る映画館=成人映画と相場が決まっているらしい。別に成人映画を観たっていいじゃないか? 逆に、チリでどんな成人映画をやっているか興味を持ったっていいじゃないか? いやいや、ちょっと待て。だから僕は観ていないんだって。2,200チリペソ(約440円)支払って約60名程度のミニシアターに入ったんです。内容だってキチンと言えます。地下の駐車場で狂った係員に閉じ込められて、脱出しようとする女性の話。え? 分からない? 子供の頃から、本でも映画でも内容を人に説明するのが苦手なものでして。

「内容はポスターで何となく分かりますもんねぇ。だって、近くの映画館でハンガリー映画を観るっておっしゃっていましたよねぇ…。まぁ、イシコさんも男ですからいいじゃないですか?」

そうですね。ついつい女性の裸のポスターに釣られて…、ってそうじゃない。ホントに観てないんですって。確かに僕の宿泊先の近くで独立系シアターがあり、ハンガリー映画をやっていて興味はあった。しかし、映画館に行くと、この映画は3時間もあり、スペイン語さえ分からない僕がハンガリー語を聞き続ける気力は危うく、しかも内容もシリアスで言葉が分からないと楽しめなさそうだったので断念してしまったのである。

「へぇ〜」。

必死に説明する僕の目を見ないで、彼女はチリでよく飲まれる葡萄の蒸留酒「ピスコ」で作ったカクテルを注文した。こんなことなら成人映画を探して入ればよかった。もう一度、言っておく。それでも僕は観ていない。どこかで聞いたことのあるようなセリフだなぁ。

(text/photo:ishiko
《シネマカフェ編集部》
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