『ホームレス中学生』古厩監督「田村さんは映画の芯のところでバシッと関わってる」

お笑い芸人の麒麟の田村裕の著書として、その衝撃的な内容とともに話題になった「ホームレス中学生」。最近、田村さんの兄が書いた「ホームレス大学生」も発売され話題になった本作が『ロボコン』('03)、『奈緒子』('08)の古厩智之監督の手によって映画化された。原作に忠実に、突然家を失った中学生・裕の孤独と苦い青春のひとときが原作以上のインパクトで観客の心に迫ってくる。

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『ホームレス中学生』 古厩智之監督
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  • 『ホームレス中学生』 -(C) 2008「ホームレス中学生」製作委員会
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お笑い芸人の麒麟の田村裕の著書として、その衝撃的な内容とともに話題になった「ホームレス中学生」。最近、田村さんの兄が書いた「ホームレス大学生」も発売され話題になった本作が『ロボコン』('03)、『奈緒子』('08)の古厩智之監督の手によって映画化された。原作に忠実に、突然家を失った中学生・裕の孤独と苦い青春のひとときが原作以上のインパクトで観客の心に迫ってくる。

「“生きる気力がなくなった”。その答えがある」

原作を読んだのは監督をすることが決まったとき。「芸人さんが書いた本で、話題になっているのは知っていた」と言う。
「読んでみるとすごい面白かったです。小説なんだけど、ネタの宝庫でもあるというところが楽しかったですね。“まきふん”とか“味の向こう側”とか…。だから愉快に読みました。あともうひとつ、“生きる気力がなくなった”みたいなところが、すごく共感できたんですよね。この物語を映画にしたいと、すごく思いました」。

古厩監督の作品には、誰もが感じるであろう“青春時代の孤独感”が底辺に流れている。内容は決してお笑いばかりではないが、それでもどちらかと言うと、ネタが先行している原作に対し、映画では裕の感じる無気力感が表に出ている。
「何で『ホームレス中学生』がこんなに普通の人に受け入れられたかというと、きっとみなさんが欲しいものがここにあるからでしょうね。“生きる気力がなくなった”、“生きる意味が分からなくなった”ときに、どうすればいいかということの答えがあるんだと思ったんです。何のために生きるのか、誰もそれには答えられないけど、この物語は、人と人のほんのちっちゃい繋がりがあれば、生きる価値があるんだよと、すごく小さい声で言ってくれている気がしたんです。そのエッセンス、それと裕がそれを理解する、自らつかみ取ろうと決める、というほんの少しの成長物語。そこだけには忠実に作ろうと、そこだけ外さなければきっと大丈夫だろうと思いました」。

「田村さんの気持ちだけは現場に来てました(笑)」

ところで、原作者であり、主人公でもある田村さんは、本作にどれくらい関わっているのだろうか?
「裕役を小池徹平さんで、と決めたのは田村さんなんです。芯のところでバシッと関わってらっしゃいますね。お忙しい方なので、撮影中でも気持ちだけは来てました(笑)。実は撮影前にお会いしたんですよ。そのときは僕の方が取材したい感じになってしまって。本に書かれていないことを聞き出そうとしてしまったんです。当時は本当に極限状態で、ほとんど記憶がないっておっしゃってました。そういうリアリティはすごく伝わってきました」。

田村裕=小池徹平。いろいろな意味で意外に思われたキャスティングも本編を観てみれば、ベスト・キャスティングだったと感じられるのは監督の手腕だろう。
「裕は、ものが分かって行動しているわけではないんですよね。だから、演じる側が、いまこういう気持ちだからこういう芝居をやろうと考えてしまうと理性的になって、外れていってしまう。ただそこにいるということが出来なくなっていくような気がして。だから朴訥としてくれることばかりを徹平くんに要求してしまいました。でも“俺、いま辛いんです”って説明してもあまり楽しくないから、説明し過ぎずにやりたかった。裕があまり意味も分からなく反射だけで行動したり、身体が動いていく中で何となく伝わればいいと思ったんです」。

「映画を作るときには、対象との距離感みたいなものに、うそをつかないことを心がけていますね。自分がどう見ているかとか、どう考えるかってことが、そのまま映るのが映画だと思うんです。その距離の振幅が映画の物語そのものだったりするし、そういうところが好きなんです」。古厩監督の映画哲学である。“説明したくない”、“うそをつきたくない”──監督の人柄をそのまま表しているようだ。
《text:cinemacafe.net》

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