※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

いけちゃんと恋愛小説家 vol.2 梅田みか 少年と少女、男と女それぞれの思い

今年、デビュー20周年を迎えた漫画家・西原理恵子。彼女の手による絵本で、文芸界を始め各界の著名人の中にも多くのファンを持つ感動作「いけちゃんとぼく」(角川書店刊)がこのたび実写映画化された。少年時代への郷愁、家族、そして最愛のひとへの想いと様々な感情を描き出す本作。小説家の方々に、その魅力を語ってもらう特別連載企画の第2弾には、エッセイ『愛人の掟』シリーズ(角川文庫刊)のほか、「お水の花道」、「よい子の味方」などのドラマの脚本も手がける梅田みかさんが登場。梅田さんの目にいけちゃんや主人公のヨシオ、そして彼らを取り巻く物語はどのように映ったのだろうか?

最新ニュース インタビュー
注目記事
『いけちゃんとぼく』 -(C) 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
『いけちゃんとぼく』 -(C) 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
  • 『いけちゃんとぼく』 -(C) 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
  • 『いけちゃんとぼく』 -(C) 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
  • 『いけちゃんとぼく』 -(C) 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
  • 「いけちゃんとぼく」 -(C) 西原理恵子、角川書店
今年、デビュー20周年を迎えた漫画家・西原理恵子。彼女の手による絵本で、文芸界を始め各界の著名人の中にも多くのファンを持つ感動作「いけちゃんとぼく」(角川書店刊)がこのたび実写映画化された。少年時代への郷愁、家族、そして最愛のひとへの想いと様々な感情を描き出す本作。小説家の方々に、その魅力を語ってもらう特別連載企画の第2弾には、エッセイ『愛人の掟』シリーズ(角川文庫刊)のほか、「お水の花道」、「よい子の味方」などのドラマの脚本も手がける梅田みかさんが登場。梅田さんの目にいけちゃんや主人公のヨシオ、そして彼らを取り巻く物語はどのように映ったのだろうか?

自らの子供時代を重ね合わせながら、映画について、そして“いけちゃん”という存在について、こう語ってくれた。
「(映画を観て)子供の頃の懐かしい記憶が蘇ってきましたね。毎日の中に小さな冒険があって…。ヨシオのそばにいけちゃんがいるように、そのときのことを思い出してみると、一人だったはずなのに、なぜか“誰か”がそばにいて、話しかけていたような、そんな気がするんです」。

その一方で、“少年”と“少女”の違いについてもこう言及する。
「男の人はいつまで経っても少年っぽくて、子供が真っ直ぐそのまま大きくなったようなところがありますよね。でも女の子は、いろんな現実が押し寄せてきて、そのままではいられない、どこかで“大人”にならなくてはいけないんですね。少年が体験するものとは別の、ある種の“残酷さ”の中で生きているような…。私の娘が11歳なんですが、いま、娘を通してもう一回、子供時代を追体験しているような感覚ですよ。いろんな人間関係や感情があって『もう嫌だ、聞きたくない!』って思いつつ(笑)」。

梅田さんは、TVドラマ「よい子の味方」、「あした天気になあれ。」など子供たちを描いた作品を世に送り出しているが、そこには母親たちへのメッセージが込められているという。映画もまた、原作では描かれない、ヨシオの母親・美津子(ともさかりえ)の視点から、母の複雑な感情を映し出している。
「子育てって幸せで、楽しいこともたくさんあるんですが、やっぱりすごく大変。自分よりも大切な存在が出来たということへの責任、それを失うことへの不安、恐怖がのしかかってきます。映画の中のヨシオのお母さんも、夫を亡くして、がんばらなくちゃと一人で背負ってしまう。子供はかわいいし、意地もあるし…。私自身、シングルマザーなので、このお母さんの気持ちはすごくよく分かります。でもその結果、余裕がなくて子供の前で笑わなくなってしまう。でもそこで少し心を開けば、周りに助けてくれる人は必ずいるんです。映画の終盤で、美津子が空に向かって笑いかけるシーンはすごく印象的です。絶対に出口があるってことを教えてくれます」。

さらに、梅田さんはこの映画が持つ“壮大なラブストーリー”としての側面について、男女の恋愛観の違いを踏まえつつ、こう語る。
「男の人は、女性の最初の恋人になりたくて、女は、愛する男の最後の恋人になりたいものなんです。そういう意味で、人間だった頃のいけちゃんは、すごく短かったかもしれないけど、幸せな恋をしたんだろうな、と。愛する人の過去、自分と出会う前の姿を見たいっていうのは、多くの人が願うことですよね。そういう意味で、すごく普遍的な愛、願望を描き出していると思います。うちの娘も言うんです、『将来付き合うことになる“運命の人”と実はもうどこかで出会っているのかな?』って」。

梅田みか(うめだ みか)
東京にて、作家・故梅田晴夫の長女として生まれる。慶應義塾大学文学部卒業後、執筆活動に入る。現在は、エッセイ、小説、脚本など、幅広い分野で活躍中。「anan」などの人気雑誌にも数多く登場し、若い女性たちの“恋愛のカリスマ”として絶大な人気を博している。著書に、小説『書店員の恋』『年下恋愛』(マガジンハウス刊)、『別れの十二か月』『愛された娘』、エッセイ『愛人の掟』シリーズ、『思いどおりの恋をする80の方法』(いずれも角川文庫刊)、他多数。テレビドラマの脚本に「お水の花道」「よい子の味方」「あした天気になあれ。」「CAとお呼びっ!」等がある。

特別連載「いけちゃんと恋愛小説家」
・vol.1 小川洋子
・vol.3 角田光代
『いけちゃんとぼく』蒼井優インタビュー
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/interview/2009/06/6101/index.html

© 西原理恵子、角川書店、 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
《シネマカフェ編集部》

関連記事

特集

【注目の記事】[PR]

特集

page top