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世界の映画館vol.32〜アジアの旅〜 クメール人はホラー映画がお好き?

某映画配給会社の方から、世界の半分弱、つまり90か国近い国ではホラー映画が製作されているという話を聞いて驚いたことがある。それだけ世界中にホラー映画が好きな人々がいるということなのだろう。プノンペンの街にも2つ映画館があるのだが、どちらもホラー映画を上映していた。プノンペンに住むクメール人たちも、やはりホラー映画が好きなようである。というよりホラー映画しか選択肢がない。つまり、この街で映画館に行くということはホラー映画を観に行くということになるのだ。

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カンボジア・プノンペンの映画館 photo:Ishiko
カンボジア・プノンペンの映画館 photo:Ishiko
  • カンボジア・プノンペンの映画館 photo:Ishiko
  • クメール人はホラー映画がお好き? photo:Ishiko
某映画配給会社の方から、世界の半分弱、つまり90か国近い国ではホラー映画が製作されているという話を聞いて驚いたことがある。それだけ世界中にホラー映画が好きな人々がいるということなのだろう。プノンペンの街にも2つ映画館があるのだが、どちらもホラー映画を上映していた。プノンペンに住むクメール人たちも、やはりホラー映画が好きなようである。というよりホラー映画しか選択肢がない。つまり、この街で映画館に行くということはホラー映画を観に行くということになるのだ。

一つ目の映画館は、この街で唯一とも言えるデパートの5階にある。最上階の7階にあるレストランで、人生の中で一番まずいチャーハンを食べた後(どうでもいいのだけれど、この映画館を思い出すとセットで記憶が蘇るのです)、カンボジア製作のホラー映画を観た。90か国近いホラー映画生産国の中にカンボジアも入るというわけである。

観客の年齢層が若い。というか若い人しかいない。恐らく40歳の僕が一番年上なのではないかと思う。それが関係しているというわけではないのだろうが、この国は、40、50代以上の学者や弁護士、教師といった知識人が少ない。30年ほど前、クメール・ルージュ政権が、極端な共産主義の国を作ろうとした際、知識層の階級を大虐殺したからなのだそうだ。

さて、館内の客席は自由席なのだが、場内にいる案内係が座る席まで誘導してくれる。よって500名程度入りそうな客席の中央あたりにぎゅっと150名程の客を集めてしまう。みんなで固まってホラー映画を観ましょうという楽しそうな雰囲気ではある。その雰囲気に合わせるかのようにクメール人の若者たちは、よく話す。そのおしゃべりは映画が始まっても止まらない。おしゃべりしながらホラー映画を観るというのがカンボジア式ホラー映画鑑賞なのかもしれない。

映画の中で、ろくろ首のように首が長くなったり、首がはずれて飛んだりするシーンが登場する。本来、怖いシーンのはずなのだが、チープなCGのせいか、正直、あまり怖くない。むしろコミカルにすら感じてしまう。しかし、それでも客席からは悲鳴が聞こえる。そして、悲鳴の後に同じ人の笑い声があがる。まるで悲鳴をあげる行為自体を楽しんでいるかのように。タイ製作のホラー映画が上映されているもう一つの映画館でもその雰囲気は同じだった。タイ製作の映画はフィルムの質から照明、俳優の演技まで、カンボジア製作の映画とは比べ物にならない。よって、映画に対するホラー度も自然に大きくなり、ピンと張りつめた空気は場内に感じられる。そんな中で客席の悲鳴があがった後で、やはり笑い声が聞こえるのである。彼女たちの悲鳴と笑い声を聞きながら、それぞれの国のホラー映画鑑賞法なるものが気になり始めた。

(text/photo:ishiko
《シネマカフェ編集部》
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