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『eatrip』野村友里監督インタビュー “食”で体感、生きるためのスパイス

流行りのスイーツや行列のできるレストラン、健康に良い食材や食の安全の報道などなど“食”にまつわる情報が日々、押し寄せる現代。もちろん、映画の中でも食事は欠かすことができない重要アイテムであり、時に登場人物たちよりも強い存在感を放つことも。食それ自体をテーマにした作品も特にここ数年、物語、ドキュメンタリーの区別なく数多く製作されてきたが、フードディレクターとして活躍する野村友里が監督を務めた『eatrip』は、食を軸にした人々の繋がりを描き、様々な世代、性別を通して、それぞれの食の物語を提供してくれる。浅野忠信にUA、千 宗屋など、様々な世界の人々の食を軸とした日常の一部を切り取ることで、監督は何を伝えようとしたのか? CS日本映画専門チャンネルとシネマカフェが贈る特集「メインディッシュ〜彼女と美味しい映画たち〜」にあわせて、野村さんが食への思いを語ってくれた。

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流行りのスイーツや行列のできるレストラン、健康に良い食材や食の安全の報道などなど“食”にまつわる情報が日々、押し寄せる現代。もちろん、映画の中でも食事は欠かすことができない重要アイテムであり、時に登場人物たちよりも強い存在感を放つことも。食それ自体をテーマにした作品も特にここ数年、物語、ドキュメンタリーの区別なく数多く製作されてきたが、フードディレクターとして活躍する野村友里が監督を務めた『eatrip』は、食を軸にした人々の繋がりを描き、様々な世代、性別を通して、それぞれの食の物語を提供してくれる。浅野忠信にUA、千 宗屋など、様々な世界の人々の食を軸とした日常の一部を切り取ることで、監督は何を伝えようとしたのか? CS日本映画専門チャンネルとシネマカフェが贈る特集「メインディッシュ〜彼女と美味しい映画たち〜」にあわせて、野村さんが食への思いを語ってくれた。

浅野忠信、UA…出演者の言葉に感化

先述のように日々、“食”を巡って様々な情報が氾濫し、全てが日替わりのようにうつろうが、野村さんが食を通じて感じたのは「変わらないもの」の存在だった。
「食を通して様々な方々に出会い、体感し、感じていくうちに、変わらないものというのがフツフツとあるなと思うようになりました。そういうものを記録にひとつ残すということは、何か自分自身にも助けというか、気づきになるし、恐らく何人かは、観たことで何かを感じ得る人も居てくれるのではないかと思いました」。そう映画を作るに至った思いを明かす。

小さなテントという、必要最小限の布きれ1枚で作れるごくシンプルな空間の中で、親子家族、様々な関係の人々が寄り添い、語り合い、食事を楽しむ。劇中、その空気感から食べることの幸せが自然と伝わってくる。野村さん自身、そうした中で語られた各人の言葉に強く刺激されたという。
「青柳(拓次/本作の音楽も担当)さんの奥さんの民さんが『どうせ食べるんだったらポキって音がするくらいの新鮮な野菜と、最後はやっぱり家族と穀物が食べたい』と言っていたのは印象に残りました。浅野さんのお母さまが、浅野さんが自分の好きなものを食べる、ということについて『まあ私のご飯で育ったんだから当然よね』とおっしゃった言葉も、すごく内から出てきた言葉だなと思いましたし、UAさんの『UAらしく、全てが体内に入ってそれが表現の源になる』っていう考え方もそう。また、ご住職さまがおっしゃった『娑婆がいい、娑婆が。人は活き活き生きたいんだよ』とお話いただいた事もとても印象的でした」。

ただ彼女はこの映画で大上段に構えて、「食とはこうあるべき…」と訴えたいというわけではない。あえて言葉にするなら「食べたい」という欲望に素直にいることの大切さを伝える、ということだろうか。
「食べるは受け身だけでなく自分の意志も必要なことだと思います。触れたり頭に入れたりするだけなく食は体内にいれて直接の明日生きるエネルギーになる訳ですから、どんな人も生きている限り必要不可欠なこと。食と人の関わりの一部を垣間見ることで自分の生き方にも反映できたり共感できたりするということは皆、今の世を共に生きている同志なのですから、悪いことではありません。映像は必要以上のことを語ったり説明しなくても感じることができる表現方法、記録方法だと思います。触れられなくても香りがなくてもそんな五感が冴えてくるような人の生きるエネルギーが少しでも静かに伝わればと思っています。お腹が空いた時のご飯みたいに、素直な気持ちで観ていただけたらと思います」。

食=生きる証

ちなみに、野村さんの印象に残っている“食”を描いた映画は? と問うと次々と出るわ出るわ…。
「『バベットの晩餐』はすごく影響されましたし、好きな映画ですね。あとは『たんぽぽ』。食欲ということに関しても、『たんぽぽ』を観てすごく感じたし。あと、私が実際にキッチンで働く人間なので、そういう臨場感という意味では『ディナーラッシュ』とか『レミーのおいしいレストラン』! 原点といえる言葉を発していて、とても楽しめましたし…っていっぱいありますね(笑)」。

劇中、野村さんは人々に「あなたにとって食とは?」と質問するが、同じ質問を彼女にぶつけてみた? さらに今回の特集では、“メインディッシュ”をテーマに食にまつわる作品をフィーチャーしているが、監督にとってメインディッシュとはどういうものなのだろうか?
「(食は)生きる証なのかなって思うんです。心と体を作るものだし、それが全て反映されて戻ってくることだから。そう、“戻ってくるもの”というのは強く感じます。何を食べるかという選択肢もそうだし、どういう食べ方をするかっていうのもそう。そうした全てがいろんな意味で反映されてくるんだろうなと思います。それから、私にとってメインディッシュは、形が全部見えるもの。豚だったら豚の丸焼き、野菜だったら野菜そのもの、果物だったらそのままの果物。それをみんなで切り分け、分け合うっていうものなのかな」。

この“分け合う”というのは、劇中のテントの中での食事風景そのもの。人と人のつながりがメインディッシュを作り出していく。映画は優しく、温かくその幸せを教えてくれる。

特集「メインディッシュ〜彼女と美味しい映画たち〜」
http://www.cinemacafe.net/ad/maindish/

「メインディッシュ〜彼女と美味しい映画たち〜」
日本映画専門チャンネルにて、毎週金曜23:00〜放送中
公式サイト:http://www.nihon-eiga.com/

『eatrip』
放送日:3月25日(金)・26日(土)・31日(木)
© 2009スタイルジャム
《シネマカフェ編集部》

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