大泉洋インタビュー コメディ俳優が魅せる続・ハードボイルド「あぁ探偵だ。始まるな」

「BARにいる」と銘打っておきながらこの探偵、今回もあちこちを飛び回るハメになる。なんせ冒頭からいきなり、スキーのジャンプ台からいまにも落ちそうな姿勢で拷問を受けているかと思えば

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『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』大泉洋/Photo:Naoki Kurozu
  • 『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』大泉洋/Photo:Naoki Kurozu
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「BARにいる」と銘打っておきながらこの探偵、今回もあちこちを飛び回るハメになる。なんせ冒頭からいきなり、スキーのジャンプ台からいまにも落ちそうな姿勢で拷問を受けているかと思えば、バーに出向くどころか自宅から一歩も出ずにベッドの中で恋人と濃厚な時間を過ごしたり、はたまた事件の手掛かりを求めてオンボロカーで室蘭に赴きカーチェイスを展開したり…。

ちなみに噂のベッドシーンに関して大泉洋はインタビューの誌面を借りて “抗議”の意思を表明する。「いや、あのシーンに関しては僕が『こういうシーンを書け!』って言って加えさせたみたいになってるけど、そうではないんです! 確かに、昔の映画によくあった物語と関係ない笑ってしまうようなHなシーンがあったら面白いよねって話はしましたけど、決して僕がやりたいってわけじゃない。なぜか勘違いして伝わってるんだよなぁ…」。まあ言い訳はともかく、笑いあり、涙あり、アクションあり、そしてお色気ありの“人情ハードボイルド”がまた帰ってきたということだ。本シリーズを「ライフワーク」と位置づける主演の大泉洋に最新作『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』についてたっぷりと語ってもらおう。

第1作が公開されたのは一昨年の9月。公開前から大泉さんもシリーズ化を熱望していたが、蓋を開けてみれば狙い通りの大ヒットを記録し、公開後わずか1週間で続編製作決定がアナウンスされた。そこから脚本作りが始まり、再びクランクインしたのがちょうど1年後の昨年9月。「髪型を作って、あの衣裳を着たときには『あぁ、探偵だ。始まるな』と感じた」と語るが、一方で「最初のワンカット目まではどこかで『前作のようにできるのか』というプレッシャーや緊張感がありました」と意外とも思えるような不安をも感じていたという。

むろん、撮影が始まってみれば何ら迷いなく再び探偵になりきることができたが、そんな中で、前作よりも確実にハードルが上がった部分――それはアクション。脚本を読んでその激しさと多さに大泉さんは思わず「僕はジャッキー・チェンじゃない!」と嘆いたというが、まさに求められたのは“ジャッキーのような”魅せるアクションだった。

「この映画にはスケールの大きなアクションは必要ないんです。大爆破やビルの包囲を空撮するといった大掛かりなことがあるわけではないので、どちらかと言えばハリウッド的なアクションではなく、ジャッキー的な動きで工夫しながら見せなくてはならなくなってくる。終盤のオカマバーで戦うシーンも、ただの大乱闘じゃ面白くない。スプリンクラーを回してびしょ濡れになりながら大暴れすることで変わった映像になり面白くなるんですけど、やる側は生身でやるので大変でした(苦笑)。脚本のト書きを見ながら『どうなるんだ、これ?』っていうのはありましたね。しかも、ジャッキーとは違って、この探偵はそこまで強くないからやられることが多い(笑)。いくら相手がプロとはいえ、やられたらそれなりに痛いんですよ!」

そうボヤキながらも、大泉さんにとって、生まれ故郷の北海道を舞台にした本シリーズは「大げさな言葉で言えば、ライフワークとして続けていけたらと思う仕事」と語るほど特別なもの。「東映さんは“『トラック野郎』以来のプログラムピクチャーだ”なんて言ってくださってるんですが、とは言いつつも1本でも外したら続編はつくってもらえないでしょうからね(笑)」と警戒心のこもった眼差しで、プロデューサーをはじめ、居並ぶ映画会社の人々をジロリ。「シリーズ化したからと言って安穏と構えていられる要素は少しもなくて、1本ずつやっていき『あぁ、また作れてよかったな』と思うだけ。いまはとにかく、次の『3』が果たして作れるのかどうかが心配です」。そう漏らす口調からも強い思い入れがうかがえる。

同時にこの探偵という役は、日本アカデミー賞優秀主演男優賞をもたらすなど、“俳優・大泉洋”のキャリアの中で大きな分岐点となった役柄と言える。探偵役によって引き出された自らのこれまでにない一面について、大泉さんはこう語る。

「まずこの役をやるまで、激しいアクションをやるようなキャラクターはなかったですからね。それから、根底に流れているのがハードボイルド。いまの時代、そもそもハードボイルドな作品自体が少ない中で、僕は自他ともに認めるコメディ作品が多い俳優。そういう状況でこういうシリアスな一面も見せられる役をやらせていただけるのは、本当にありがたいです。この役のおかげでいろんな人に『初めて大泉さんをカッコいいと思いました』と言われましてね。『いままでかっこいいと思ったことは一度もなかったんですが…』なんて余計なことまで言われつつ(苦笑)。ライターの方にもよく『決して二枚目ではない大泉がなぜかカッコよく見える』とか書かれていました(笑)。前作の時に橋本一監督が『大泉洋の全てを出し切れた』と仰ってくださったんですが、コミカルな面もあれば本気で怒ったり悔しがって泣いたり、まさに喜怒哀楽を惜しみなく出す役。僕にとっては愛すべき男ですね」。

少し気の早い話だが『3』に向けて大泉さん自身の構想は? 本作では相棒・高田(松田龍平)のエンスト寸前の愛車で室蘭まで出向いたが、次に札幌以外の地で撮影を行なうならどの街がよいかと尋ねると「函館」という答えが返ってきた。

「あくまで僕個人の希望ですが(笑)。これまでも函館は多くの映画の舞台になってますが、本当に美しくて見どころが多い。教会群もあれば倉庫群もあるし、函館山の夜景って本当に凄まじいんですよ。僕も世界でいろんな夜景を見てきたけど函館はすごいと思う。それから坂もいろいろあって、そこから海を臨む景色も素晴らしい。やっぱり映画はロケーションが大事ですからね、キレイなところで撮りたいです」。

ロケーションももちろんだが、第1作での雪の穴への生き埋めの危機、そして本作でのスキージャンプ台と探偵を襲うピンチが作品を重ねるごとにエスカレートしていくのも楽しみのひとつだが…。

「期待していただくことはうれしいですが、私自身はピンチのエスカレートを期待しておりません! できればそっとしておいてほしいですね…(苦笑)」。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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