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ビョーク単独公演!800人が酔いしれたライブ“Biophilia”

2011年7月、英国のマンチェスターを皮切りに、アイスランドのレイキャビク、ニューヨーク、ブエノスアイレス、パリ、サンフランシスコ、ロサンゼルスと回ってきたビョーク(Bjork)のライブツアー「バイオフィリア(Biophilia)」が遂に東京にやってきた…

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Bjork 5年ぶりの単独公演『Biophilia Tokyo』@ 日本科学未来館(写真は8月3日の模様)
Bjork 5年ぶりの単独公演『Biophilia Tokyo』@ 日本科学未来館(写真は8月3日の模様)
  • Bjork 5年ぶりの単独公演『Biophilia Tokyo』@ 日本科学未来館(写真は8月3日の模様)
  • Bjork 5年ぶりの単独公演『Biophilia Tokyo』@ 日本科学未来館(写真は8月3日の模様)
  • 曲が終わるごとに「アリガト」「オツカレサン」と片言の可愛らしい日本語を話すビョーク(写真は8月3日の模様)
  • パワフルな肉声が間近で体感できる会場(写真は8月3日の模様)
  • LCDパネルが八面体となるように円く並んで、曲に合わせて有機物のように画像が変わった(写真は8月3日の模様)
  • ステージの周囲をぐるりと観客が囲む空間デザイン(写真は8月3日の模様)
  • 昨年のポリープ手術を乗り越えて復活したハリのある肉声を披露(写真は8月3日の模様)
  • 14人の女性コーラス隊「グラデュアレ・ノビリ」とビョーク(写真は8月3日の模様)
2011年7月、英国のマンチェスターを皮切りに、アイスランドのレイキャビク、ニューヨーク、ブエノスアイレス、パリ、サンフランシスコ、ロサンゼルスと回ってきたビョーク(Bjork)のライブツアー「バイオフィリア(Biophilia)」が遂に東京にやってきた。

アジアでは唯一の開催で、公演は7月31日、8月3日、6日の3回のみ。今回のライブツアーはどこの都市でも2,000人以下のスペースで行われ、東京公演「Biophilia Tokyo」では800人という更に絞り込まれた観客数となった。8月6日のラストステージではプレミアチケットを求めて、熱帯夜の中、当日券を求める人々が長い列をなしていた。そこは「私の夢を叶えてくれて本当にありがとう」とビョークがライブの後半、ステージからスタッフに向かって深く感謝の言葉を投げかけた夢の場所、東京、台場にある日本科学未来館である。

会場に入ると、ステージの真上に1,000万画素を超える高解像度で、宇宙空間に輝く地球の姿をリアルに映し出す直径6m、重さ13tの発光デバイス、「ジオ・コスモス(Geo-Cosmos)」が暗闇に浮かび、夜の地球に瞬く人口的な光を映し出していた。

ステージはアルファベットのDの字に似た形で、その周囲をぐるりと観客が囲む空間デザイン。7月27・28日のフジロックでは長方形のステージに、ビョークを軸にアイスランドから来た14人の女性コーラス隊「グラデュアレ・ノビリ(Graduale Nobili)」が左右対称に並び、まるで宗教儀式のような厳かさを醸していたが、日本科学未来館ではLCDパネルが八面体となるように円く並び、曲に合わせてコーラス隊が有機物のように形を変え、踊っていく。

一部の指定席以外はスタンディングエリアだったこともあるが、ビョークが登場した瞬間、あちこちから「近い!」「手が届きそう」「よく見える!」という声が一斉に挙がったように、今回の「Biophilia Tokyo」の最大の特徴は「空間の親密さ」だったと言えるだろう。ビョークの震える喉の動きを肉眼で確認し、昨年のポリープ手術を乗り越えて復活した張りのある肉声を感じ、テクノロジーを駆使したサウンドに合わせて刻むタッチパネルの映像を楽しむのだ。

アルバム『Biophilia』がテーマとするのは「Music(音楽)」「Nature(自然)」「Technology(科学技術)」だが、ライブにもその三要素が様々なパフォーマンスとして提示されていった。

例えば、『サンダーボルト』の演奏では、「シンギング・テスラコイル(Singing Tesla Coil)」という音によって稲妻を引き起こす超高電圧の変圧器が登場。ビョークと稲妻の競演に一気に観客のボルテージが上がる。『Moon』では音律を刻むハープの一音、一音に呼応してタッチパネル上で月齢が変わり、月の形が変化していく。

曲と曲の合間にはビョークの少女時代の憧れの人で、BBCの自然ドキュメンタリーの数々の演出を手掛けた映画監督、リチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough)のナレーションが入り、生命の不思議、地球の歩み、これからの人類の選択などを私たちに問い掛ける。

この日のビョークの衣装は曲名にもある『DNA』の二重らせん構造を想起させるもので、青とオレンジの無数のキューブが絡み合うもの。人によってはあまたの生命体の卵を宿す母の姿を想起した人もいただろうし、分子や結晶体などの美しき化学構造式を思い浮かべた人もいるだろう。

コーラス隊とのアカペラで始まった『Oskasteinar』から16曲目の『Solstice』まではメンバー紹介以外のMCはほとんどなく、曲が終わるごとに「アリガト」「オツカレサン」と片言の可愛らしい日本語を話していたビョークだったが、アンコールになって言葉数が増えたのも嬉しい出来事。3曲目のアンコール曲となった『Declare Independence』の前に、「If you want to dance, Don’t stop!(もし、踊りたいのなら止まらないで!)」と呼びかけたことで、観客席の興奮度はマックスとなり、盛り上がりは最高潮に!

タッチパネルでは海上に浮かぶばらばらの大陸が地殻変動で一体化し、更にはマグマが地底から湧き出て、そのエネルギーが新たな風景を形作っていく風景が広がっていた。それは硬直した常識や因習を打ち破って、自然とテクノロジーを素敵な関係で結びつけること。そんなメッセージをビョークから私たち観客に託された、夢のような数時間だった。

ビョークは今回、ライブツアーにあわせて子どもたち向けの「Creativity as a Learning Tool (学習ツールとしての創造性)」という音楽と科学について直感的に学ぶことができるワークショップも日本科学未来館で開催した。自然とテクノロジー、そして音楽。彼女の問いかけはこれからも続いていく。

―セットリスト―
・ Oskasteinar
・ Thunderbolt
・ Moon
・ Crystalline
・ Hollow
・ Dark Matter
・ Pleasure Is All Mine
・ Mouth’s Cradle
・ Virus
・ Sonnets
・ Unrealities XI
・ Where Is the Line?
・ Pagan Poetry
・ Mutual Core
・ Cosmogony
・ Solstice
―アンコール―
・ One Day
・ Nattura
・ Declare Independence

【REPORT】ビョーク単独公演!800人が酔いしれたライブ“Biophilia”

《金原由佳》

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