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『アナ雪』だけじゃない! 魂を震わす楽曲のパワー…映画『チョコレートドーナツ』

東京の公開館となる老舗ミニシアター、シネスイッチ銀座での初日満席記録を塗り替え、公開劇場が続々拡大するなど、現在大ヒット中の映画『チョコレートドーナツ』。

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『チョコレートドーナツ』 -(C) 2012 FAMLEEFILM
『チョコレートドーナツ』 -(C) 2012 FAMLEEFILM
  • 『チョコレートドーナツ』 -(C) 2012 FAMLEEFILM
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  • アラン・カミング/『チョコレートドーナッツ』
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東京の公開館となる老舗ミニシアター、シネスイッチ銀座での初日満席記録を塗り替え、公開劇場が続々拡大するなど、現在大ヒット中の映画『チョコレートドーナツ』

ゲイのカップルと、母親に見捨てられたダウン症の少年との血の繋がりを越えた究極の家族愛に、号泣しながら劇場を後にする観客が続出。劇場側でも箱ティッシュを館内の通路やトイレに用意したり、貸出サービスをするほどの感動の渦を呼んでいる中、ラストに歌われる楽曲「I Shall Be Released」や、サウンドトラックへの問い合わせが殺到しているという。

いまほど同性愛に寛容でなかった1970年代後半の、アメリカ・カリフォルニア。あるとき、シンガーを夢見るルディと、弁護士のポール。麻薬依存症の母親に見捨てられた少年・マルコが出会い、幸せな家庭を築き始める。だが、やがてルディとポールがゲイのカップルであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ついに彼らはマルコと引き離されてしまうことに…。

映画コメンテーターのLiLicoさんを始め、著名人や劇場関係者からも感動を呼んでいる本作。血は繋がらなくても、法が許さなくても、深い愛情で結ばれたルディ、ポール、マルコの姿には、Twitterなどでも感動の声は後を絶たない。

中でも、主人公・ルディを演じたアラン・カミングがラストに生歌で歌い上げる名曲「I Shall Be Released」には、「音楽でここまで感動したのは生まれて初めて!」「アラン・カミングの歌に心揺さぶられる」「主役のアラン・カミングの演技と歌声にやられました。こんなに胸に届く歌を歌える俳優はそうはいない!」など、歌に感動したという声が最も多く、「サントラがほしい!」という問い合わせも相次いでいる。

「I Shall Be Released」は、ボブ・ディランが1967年に作詞・作曲を手がけ、68年に発表された「ザ・バンド」のバージョンで親しまれた。ゴスペル音楽の影響を受けたこの楽曲は、“罪からの解放”という宗教的なメタファーと、文字通り“監獄から釈放される”という表現がかけ合されている。“監獄”というのは、ボブ・ディランの楽曲におけるテーマでもある司法制度の残酷さであり、“いつかはきっと、私は解放されるだろう”という歌詞には、"自由への追求"の意味が込められている。

いつの時代にも求められてきた“自由への追求”や“魂の解放”という普遍性ゆえ、これまでにもベット・ミドラー、ビートルズ、エルヴェス・プレスリー、スティングから、最近ではノラ・ジョーンズ、ジャック・ジョンソン、「マルーン5」まで、数えきれないほど多くのアーティストによってカバーされてきた。日本では忌野清志郎などがカバーをしていることでも知られている名曲中の名曲だ。

「ザ・バンド」の解散ライブをおさめたマーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリー『ラスト・ワルツ』でも、ライブのフィナーレでボブ・ディラン、リンゴ・スター、ニール・ヤング、エリック・クラプトン、ジョニ・ミッチェルなどの錚々たるメンバーが一堂に会し、「I Shall Be Released」を合唱する感動的なシーンがある。

本作では、パートナーのポールと共に差別や偏見と闘うも、大切な“我が子”マルコと引き離されてしまうゲイのルディが、魂込めて歌い上げている。ルディを演じるのは、「キャバレー」でトニー賞を受賞し、ミュージカルの本場ブロードウェイでもその実力を認められているアラン・カミング。

この歌について、アランは「感情や痛みを染み込ませて、このように美しい歌を歌えることはパフォーマーとしても素晴らしいことでした。この歌のシーンは、ただのパフォーマンスではなく、音色としても歌詞としても、映画のストーリーを伝えてくれる大事な存在。映画のラストが、“めでたし、めでたし”という分かりやすい見せ方で終わるのではなく、心に訴えかけてくる歌で終わるのがとても気に入っています」と語る。

「観客に、歌で映画を理解してもらう。そこがとても素晴らしい」と、ラストを彩る「I Shall Be Released」への深い思い入れを明かすが、実は劇中で歌うことが決まるまで、アランはこの曲を知らなかったという。

そのため、トラヴィス・ファイン監督は彼に、ベット・ミドラーがゲイバスハウス(ゲイが集まるバー)でバニー・マニロウのピアノ伴奏でこの曲を歌っているYouTube動画を送った。その心揺さぶられるカバーを聴いたアランは、本作ではどのように感情を顕わにするかがポイントだと思ったという。

「(スクリーンから)僕が必死に自分を保ちながら歌っているのが伝わるでしょう。感情をただただ発散させて歌うよりも、(感情を抑えた方が)心に響くと思ったのです。心から、自然と感情がわき上がるような、生の歌にしたいと思いました」。

この歌のシーンは、映画の撮影においても最後のシーンとなった。ルディの悲しみを存分に感じながら、アランはそれを歌に込めた。「僕は誓うよ、愛する人、僕たちは解放されるんだ」と、彼がポール(ギャレット・ディラハント)に向かって歌う瞬間は、どこか神々しささえ感じるほどだ。

また、「(マルコ役の)アイザックがセットを訪れていたのですが、僕が『I Shall Be Released』を歌うのを聴いて、彼は泣いて、泣いて…声をあげてとにかく泣いていました」と話すアラン。撮影が無事終了したのは朝の5時半頃だったそうだが、「とてもすばらしかった」とアランはふり返っている。

これほどまでに、演じた者だけでなく、観た者たちの心をもとらえて離さない「I Shall Be Released」。G.W.中には早くもリピーターが劇場に駆けつけることになりそうだ。

『チョコレートドーナツ』はシネスイッチ銀座ほか全国にて公開中。
《シネマカフェ編集部》

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