※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【インタビュー】渡辺謙×吉田修一 作家が産み落とした『怒り』と俳優が受け止め、体現した『怒り』

渡辺謙が半ばあきれ顔で漏らす。「最初に犯人を決めずにこの小説の連載を始めたって? なんて恐ろしいことをやる人なんだろうって(笑)」…

最新ニュース インタビュー
注目記事
渡辺謙&吉田修一『怒り』/photo:Naoki Kurozu
渡辺謙&吉田修一『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 渡辺謙&吉田修一『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 渡辺謙『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 吉田修一『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 『怒り』(C)2016 映画「怒り」製作委員会
  • 渡辺謙&吉田修一『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 『怒り』(C)2016 映画「怒り」製作委員会
  • 渡辺謙『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 吉田修一『怒り』/photo:Naoki Kurozu
――吉田さんは、執筆されているときは映画になるとは…

吉田:書いている最中は、そんなこと考える余裕はなかったですね。でも、書きあがったときに「李さんはこれをどう読むかな?」ってすごく興味がわいてきて、送ったんです。

渡辺:馬の前にニンジンをぶら下げたようなもんですよ(笑)。

吉田:いま考えると、渡辺さんが、物語の構成を変えて、犯人を追う刑事の役(※映画ではピエール瀧が演じている)を演じるってのも、ありだったかなってふと思ったんですよね。いまとは全く違う映画になるでしょうけど、あの刑事に焦点を当てた物語も面白いだろうなって。でも、李さんは、渡辺さんに洋平をやってもらうと。

――洋平は、千葉の漁港組合で働く男で、妻を亡くして娘の愛子(宮崎あおい)と暮らしている男ですね。愛子に幸せになってほしいと願う父親ですが、決してキリッと強いタイプではなく…。

吉田:どちらかというと、優柔不断で決められない、弱い男ですよね。渡辺さんが洋平…。『許されざる者』での李さんと渡辺さんの関係性があるからこそなんでしょうが、かなりチャレンジャーだなと(笑)。やっぱり、いまでも不思議なんですよ。いや、逆にお聞きしたい! なんで洋平役を受けてくださったんですか?

渡辺:役の大小とかかっこよさではないんですよね。その役を生きて、心を震わせるかってところで、僕はこの物語を読んで、それを深く感じたんです。とはいえ、どこか洋平という男を掴みきれないまま、「これは監督と一緒に悩みながら作っていけばいいのかな?」と走り出したところもあります。

――千葉編は洋平と愛子の親子、数か月前に街に現れて洋平の下で働くようになり、愛子と恋仲になる田代(松山ケンイチ)の3人を軸に展開しますね。田代は事件の真犯人なのか? というミステリ部分はもちろん重要ですが、それと同じくらい、洋平の愛子に対する自信の持てなさ――自分の娘は決して幸せになれないんじゃないか? と考えてしまう弱さの部分がドラマとして際立っています。

渡辺:それが顕著なのは、事件の真相そのものよりも、愛子が洋平のところに来て泣くところですよね。あそこはつらかったなぁ(苦笑)。田代を疑っている自分がいて、愛子も同じ思いを持っていて、それに苦しんでる彼女を目の前にして…本当に悲しかったです。人間て不思議なもので、結果や真相以上に、その過程で疑いを抱いてしまっている自分に苦しむし、それが弱さなんですよね。
《photo / text:Naoki Kurozu》

関連記事

特集

【注目の記事】[PR]

特集

page top