【インタビュー】クラウドファンディングに「未来を感じる」 2年越しで劇場公開つかんだ『ブルーハーツが聴こえる』

伝説のバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲を、6人の人気クリエイターが映像化した『ブルーハーツが聴こえる』。当初2015年夏に公開予定だったが…

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工藤伸一監督『ブルーハーツが聴こえる』/photo:Ryo Uchida
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  • 『ブルーハーツが聴こえる』(C)TOTSU、Solid Feature、DAIZ、SHAIKER、 BBmedia、 geek sight
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  • 『ジョウネツノバラ』
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  • 『少年の詩』
伝説のバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲を、6人の人気クリエイターが映像化した『ブルーハーツが聴こえる』。当初2015年夏に公開予定だったが、製作幹事会社の解散によって、一時は公開中止のピンチに陥っていた本作を“救った”のが、クラウドファンディングサイト「Makuake」だ。

飯塚健、下山天、井口昇、清水崇、李相日、そして工藤伸一という“ブルハ世代”の映像作家が、同バンドの楽曲を自由な解釈で映像化し、バラエティ豊かな6つの短編を作り上げた本作。取材に応じた工藤監督は「各々が違った素材の生地を持ち寄り、ブルーハーツへの思いという糸で縫い合わせたパッチワークのような作品になった。作り手がそうだったように、観客にも自由な解釈で受け取ってほしい」とユニークな構成に手応えを示す。

2013年に企画が立ち上がり、バンド結成30周年を迎える2015年の夏に公開される予定だった本作。工藤監督は企画段階から関わり、バンドの代表曲「情熱の薔薇」から着想を得た『ジョウネツノバラ』(永瀬正敏、水原希子出演)の演出を担当した。しかし、完成目前だった2015年3月というタイミングで、製作幹事会社の解散を知らされる。まさに寝耳に水。6作品の制作プロダクションがそれぞれ異なっていたことも、事態を複雑化させた。

「お蔵入りという言葉が一瞬過りました。すぐに、それまで面識がなかった各制作プロダクションのプロデューサーが一堂に会し、今後の対策を検討したんです。僕自身も(劇場公開に向けた)スポンサー探しに奔走したり…。企画段階ならまだしも、すでに完成している作品に手を差し伸べるのは、戦略的にも難しいこと。何かきっかけが必要だなと思っていたとき、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭での特別上映の提案があったんです」(工藤監督)

2016年2月に開催された同映画祭での上映には、映画ファンに加えて、熱心な「THE BLUE HEARTS」ファンが多数駆けつけ、立ち見でも入場出来ない程の大盛況。6作品の1つである『ラブレター』(井口監督)に出演する俳優・斎藤工の働きかけも奏功し、SNSを中心に、本作の公開を待ち望む声が一気に拡散していった。「ちょうどクラウドファンディングの注目度が上がっていたタイミング。僕らもその力を信じてみようと動き出したんです」(工藤監督)

結成30周年での映画上映こそ逃したが、2016年12月から、クラウドファンディングサイト「Makuake」で劇場上映のための資金調達がスタート。支援者には各作品エンドロールへの名前のクレジット、先行試写会に招待といった特典が用意され、予想を上回るペースで目標金額を達成し、念願の劇場公開が決定した。現在は1,200万円を超える資金を集めており支援は2月15日まで支援受け付け中だ。

「支援者の皆さんから届くメッセージを読むと、本当に涙がこぼれそうになります。作品を愛する方々の力に助けられ、どんどんフィールドが広がり、1人でも多くの人に見てもらえる環境作りができる。それって、THE BLUE HEARTSというバンドが、ファンの力によって大きな存在になっていった過程に共通しているように思えるんです。モノづくりの場を確立し、発表する手段として、クラウドファンディングには未来を感じています」(工藤監督)

工藤監督が手がけた『ジョウネツノバラ』は、ある男女が織りなす異様にして、ピュアな愛の形を描く26分の短編。「THE BLUE HEARTS」の楽曲をモチーフにしながら、エンドロールに流れる「情熱の薔薇」を除くと、セリフも劇伴もないのが特徴だ。原案、脚本を手がけるのは永瀬正敏さん本人。工藤監督とは以前から映像作品でのコラボレーションを重ねてきた信頼関係があり、脚本は「20稿以上練り上げて、完成させた」という。

「情報過多の時代ですし、観る人が想像を膨らます映画が減ってきていると思うんです。初稿ではセリフがあったんですが、永瀬さんと意見を交換しながら、登場人物の感情をシンプルに表現する事で、結果的にセリフに頼らない力強い作品になりました。僕自身、相米慎二監督作品の大ファンなので、(代表作『ションベン・ライダー』でデビューした)永瀬さんと、映画の現場でご一緒できて本当に光栄でした」(工藤監督)
《photo / text:Ryo Uchida》

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