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「それぞれの伝統文化を大切に」『ブータン 山の教室』監督が日本の学校とオンラインで繋がる

第93回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表に選出された『ブータン 山の教室』の特別先行上映と、パオ・チョニン・ドルジ監督がオンライン参加したティーチインが実施。

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『ブータン 山の教室』(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
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  • 『ブータン 山の教室』パオ・チョニン・ドルジ監督 (c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
  • 『ブータン 山の教室』ティーチイン (c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
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  • 『ブータン 山の教室』パオ・チョニン・ドルジ監督(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
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ヒマラヤ山脈、標高4800メートルにある秘境ルナナ村に都会から赴任した若き教師と、村の人たちと子どもたちの心の交流を描き、第93回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表に選出された『ブータン 山の教室』。この度、本作の特別先行上映と、パオ・チョニン・ドルジ監督がオンライン参加したティーチインが実施された。

>>『ブータン 山の教室』あらすじ&キャストはこちらから

3月30日(火)、ブータンとの交流・交換留学などを続ける星槎グループの全国の中学校・高校をオンラインで結び、オンライン教室試写会が開催。星槎国際高校八王子をメイン会場に、職員として働くブータン人の先生や北海道から沖縄、それぞれの教室から生徒たちが参加し、上映後、それぞれの感想をシェア。

『ブータン 山の教室』ティーチイン (c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
この日の試写を前に、前日にはブータンから来日し職員として働いているジミーさんから事前レクチャーを受けたそうで、生徒たちは一様に真剣な表情で本作を鑑賞。その後、ブータンの伝統衣装「ゴ」を着て登場したパオ監督を大きな拍手で迎え、オンラインでティーチイン開始。冒頭、パオ監督は「日本は私に色々な刺激を与えてくれた国です。ですので、私の映画をこのように迎えてくれ、また日本で公開されることは本当に光栄に思っています」と挨拶した。

今回、陸上や柔道の選手としてブータンから来日した留学生も本作を初めて鑑賞し、「この映画をみて泣きそうになりました。本当によかったです」と流暢な日本語で答える学生も。星槎高校の生徒からは「色々知れてよかった。さらにもっとブータンのことを知り、日本とうまくつながっていければよいなと思いました」という感想や、「教育の原点をみせてくれたと思います」という参加者、さらに「とてもおもしろかった!この映画をみて、すぐにブータンに行きたくなった」という生徒など様々な感想が語られた。

『ブータン 山の教室』パオ・チョニン・ドルジ監督 (c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
パオ監督は「映画は観客から認められることが重要だと思っています。そして観てもらってはじめて完成するものだと。観客の皆さんの言葉がアーティストを鼓舞し、もっと作りたいという気持ちにさせてくれますね!」と嬉しそうにコメント。

「この映画の舞台ルナナ村は、ブータンでも一番辺鄙な土地で電気も通っていないため、100%太陽電池を使って作った作品です。それがこうやって世界中の人たちと映画を通して繋がれたことが本当に素晴らしいことだと思っています。“自分の居場所を探す”という人間の普遍的な気持ちを描いているから、色々な国の方に理解してもらえるのでしょう」と続けた。

『ブータン 山の教室』(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
そして、生徒からルナナ村に実際行ったときの様子を聞かれたパオ監督は「ブータン人は強くて丈夫だと思っていたが、撮影隊の多くが高山病にかかってしまい働けなくなった」という過酷な裏話も披露しながら、劇中も語られる地球温暖化の状況を説明し、「氷河が解けて洪水を起こし、村人が亡くなったこともあり、ルナナの人たちはそれを恐れているんです」という切実な話には生徒たちも熱心に耳を傾けていた。

『ブータン 山の教室』(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
オンライン上ではあるが日本の学校との貴重なやりとりを受け、「この映画は、教育や学校について、また自分の幸せや自分の居場所を探すことについて描いています。そしてこの映画の中で一番大切な要素というのは、文化を保存することの大切さだと思っています」と語るパオ監督。そして「私は日本で上映されることが特に嬉しいんです。なぜならこの映画のインスピレーションのもとになっている一つが、谷崎潤一郎さんなんです」と発言。

『ブータン 山の教室』ティーチイン (c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
「谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読んで、東洋の伝統や文化を保存することの大切さを知りました。東洋的な文化には、影の中、あるいは暗闇の中に生き、その中から学ぶものがある、と。一方、西洋的な文化は、常にものを光で照らそうとしている。つまり谷崎潤一郎の考えは、暗闇や影を享受し、そこから学ぶことによって、はじめて明るさ、光と言うものを理解できるのだ、ということだと思うのです」と説明した。

さらに、「世界がグローバル化して、この映画の主人公ウゲンのようにブータンの若者は光を求めがちです。本作でいうとオーストラリア・シドニーという現代社会に幸せを求めていますよね。ルナナはブータン語で“暗闇の谷”という意味なのですが、本当に一番遠くの僻地で、グローバリゼーションとは真逆のところです。そこを旅する、つまり暗闇の谷を通ることで自分の文化の大切さを、それを保存することの大切さを初めて知るのです」と監督。

『ブータン 山の教室』パオ・チョニン・ドルジ監督(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED
「オンライン上の画面越しにたくさんの生徒の顔がみえます。今回、ぜひアドバイスを申し上げるとしたら、みなさん、日本あるいはブータンそれぞれの伝統文化というものを大切にしてください。そしてそれを大切にすることが、教育、学校の定義になってくると思います」と強いメッセージを送った。

最後には、パオ監督、参加者とともにブータンの言葉(ゾンカ語)で「カデェンチェラ(ありがとう)」と言い合いながら貴重なオンラインティーチインイベントは締めくくられた。

『ブータン 山の教室』は4月3日(土)より岩波ホールほか全国にて順次公開。

《シネマカフェ編集部》

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