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モノクロで描かれるエストニアのダーク・ラブストーリー『ノベンバー』10月公開決定

幻想的な白黒映像で海外で高い評価を得たエストニア映画『ノベンバー』が10月29日(土)より公開されることが決定。日本版ティーザーポスター、場面写真、予告映像が解禁された。

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幻想的な白黒映像で海外で高い評価を得たエストニア映画『ノベンバー』が10月29日(土)より公開されることが決定。日本版ティーザーポスター、場面写真、予告映像が解禁された。

月の雫の霜が降り始める雪待月の11月、「死者の日」を迎えるエストニアの寒村。戻ってきた死者は家族を訪ね、一緒に食事をしサウナに入る。精霊、人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは「使い魔クラット」を使役させ隣人から物を盗みながら、極寒の暗い冬をどう乗り切るか思い思いの行動をとる。農夫の娘リーナは村の青年ハンスに想いを寄せている。ハンスは領主のドイツ人男爵の娘に恋い焦がれる余り、森の中の十字路で悪魔と契約を結ぶ。

真夜中の十字路での悪魔的な出会い。満月の狼への変身と愛の特効薬。ペストを村から追い出すための奇策。白装束の死者の列。森の暗い松の間から漏れる月光…。フォークロア、ゴシック、ロマンス、ブラックユーモア、そして愛と哀愁をシームレスに縫い合わせ、凍てつく朝のように冷たくも美しい、ただひたすらに詩情溢れる少女と水と風の美しい物語が展開する。

原作はエストニアの作家アンドルス・キビラークの「レヘパップ・エフク・ノベンバー(Rehepapp ehk November)」。2000年に発表されるや、エストニア内の全図書館において、過去20年間で最も貸し出された本としてカルト的ベストセラーとなる。現在では、フランス語、ポーランド語、ノルウェー語、ハンガリー語、ラトビア語、ロシア語に翻訳されてヨーロッパ各国で愛読されている一冊だ。

「ノベンバー」原作書影

監督のライナー・サルネは“全てのものには霊が宿る”というアニミズムの思想を基に、異教の民話とヨーロッパのキリスト教神話を組み合わせ映画化。撮影監督のマート・タニエルが夢のようなモノクロームの世界を撮影し、その独創性に溢れた映像美が高く評価された。

儚い恋心に揺れる農家の娘リーナを演じるのはレア・レスト。喜びと、ほろ苦さと、痛みなど、複雑なキャラクターを魅力的に演じ切り、本作を別次元の作品に導いた。

男爵の謎めいた娘には、パフォーマンス・アーティストとして活躍するジェッテ・ローナ・ヘルマーニスが扮し、そのエキゾチックな容姿で無垢なる役柄を演じ、彼女の記念すべき女優デビュー作となった。

この2人の美しいゴシック・ヒロインの気を引こうとする農家の青年ハンスにヨルゲン・リイイク。憂鬱な表情を浮かべては、愛に満ちた笑みを浮かべ、ストーリーを思いがけない方向へ誘う。

男爵には『ムカデ人間』(10)のハイター役でカルト的人気を誇るドイツの名優ディーター・ラーザー。スパンコールのジャケットを身につけ、凛とした男爵の力強さと痛々しさを絶妙なバランスで演じる。2017年に撮影した本作が氏の遺作となった。

そのほか、魔女、幽霊、得体が知れない老婆などの多くは役者経験のない村人が務めたが、皆がまるで催眠術にかかったかのように、役になり切ることで、本作の悪夢的世界を彩る。

解禁された予告編からは、美しく魅惑的な映像とともにどこかおどろおどろしい本作の世界観が垣間見える。その漆黒の深みと白い雪のような映像美も確認することができる。

本作は、トライベッカ国際映画祭、ミンスク国際映画祭での最優秀撮影監督賞、アメリカ撮影監督協会スポットライト賞を始め、名誉ある賞を次々と受賞。アカデミー賞外国語映画賞2018年のエストニア代表に選出され、日本では同年に開催された第10回京都ヒストリカ国際映画祭「ヒストリカワールド」部門で上映されている。

『ノベンバー』は10月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。


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《シネマカフェ編集部》

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